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「花香様洛陽から今討伐軍が出立したようです」


「そうか」


 いよいよ討伐軍が動いた。すでに準備が行われてるのは知ってたので、こっちも迎撃のための準備をしていた。しかし参ったな。準備はしていたが、占領した当時とは何かもう違ってきてるな。楽浪郡の時の交渉相手だった公孫氏が独立した勢力ではないとは。ただ徳丸様がこれを利用しようと方針をすぐ変更したのが良かった。


 おそらくこの軍は短期間で撤退する。同時に黄巾党を動かして反乱によって中央を混乱させる作戦だからだ。短期間持ちこたえるだけなら多分かなり楽だと思う。しかもそれが向こうの協力者と日本軍を助ける事になる。悲観的ない心情は捨てて、どれだけ相手を減らせるか?って考えにすでに切り替えている。


 本来ならこのややこしい事態の原因となった草原騎馬民族と共闘するべきだが、できるわけがない。こっちが追い出したからその圧力であっちこっちの騎馬民族が中国に攻めてるんだから。逆なでしてこっちに向かってきたら大変だ。まあ漢軍をこっちに引き寄せる事で影なら助けるようにするか。


 しかし漢ぼろぼろのはずなんだけどな。徳丸様が言ってたけど、衰退から崩壊ってのは簡単にはせんと。明らかに落ち目なのだが、完全にぶっ壊れるのはなんでも時間がかかると。さあ迎え撃ちますか。今回は兵数が豊富だぞ。武器便りの少数精鋭ではない。ずっと草原騎馬民族を仮想的として軍備を整えてきたからな。


 まさかそれが漢になるとはな。まあ今回はとても楽な陽動なのでまさにいつかくるその時のための予行連中ぐらいに思っておこう。相手の方が圧倒的不利だが相手はそれを知らない。こっちが侵攻したならそりゃ問題だが、一定のところから一切動かず何年も止まってるんだ。今更これから拡大侵攻すると見ないだろう。


 ただ取り返したいってのはあるだろうね。まあ大義名分としては、こっちの領土なんだけどね。ただ百年も前だからな。さすがに無理筋かとは思うけどね。


 今までずっと侵攻ばかりやってきたので、守る戦いが難しい。朝鮮半島は日本の砦などのモデルになった部分がある。環濠集落とかは中国が発祥だが、砦や防御陣地は朝鮮半島からの流れをくむそうだ。実際地形が山がちなので確かに似ていた。だが中華はやりにくい。平野が多い。そこで遼西にあるやや平野が狭い山脈が海に迫った個所を国境として城や砦を築いた。


 だがこれで安心じゃない。中華の山は2つのタイプがあって険しい山は日本以上だ。だがそうじゃない所で典型的なのが自分たちが苦労してる大興安嶺山脈の内モンゴル側になる。山脈と言うより高原で森林もまばらで馬による進軍すらできてしまう。そのため東側に境界を中々設置しにくい。


 特に騎馬に有効な山脈による防御効果が薄い。当然遼河周辺もそういう地域がある。そのため地元の人間にきいて危ない地域は砦などを追加で作っている。元々中華の領域なので、長城の内側になるためそんな設備ほとんどない。改めて防御を意識すると何故長城が作られたか良く分かる。砦や城を繋いでしまいたくなる…。


 だがあれはやっぱりさすがに無駄だ。そのため騎馬民族程機動力があるとは思えないので、こっちの機動力で補助することにした。機械化部隊や騎馬になる。後はいつものように山岳部隊の歩哨と山での狩猟民の監視体制を作った。ただ十中八九一番重厚に作った狭い平野を通ってくると思われる。


 ただでさえ疲弊した漢軍は兵站にかなり問題がある山道を通ると思えないし、そもそも洛陽からかなりの遠征になる。元々長城での防御はこの地域からの徴兵と現地へ中央から派遣した将軍で守られる。その大半がいなくなってるため隣の幽州の半分から徴収されるだろう。それでも中央軍がかなりの割合になると思われる。


 それらを総合すると万が一迂回路を通られた場合に備えておくだけだ。ただし、さらに可能性が低くなるのだが、この戦い長期戦に絶対にならない。そのため国境の戦いに手間取って回路って選択肢がまずない。すぐに撤退命令が出るはずだ。間違い無くすぐ出る。なにせこっちはほぼ同時の開戦が可能なので、逆にあんまり早く兵を引き上げられるとあっちの戦いで困る。


 後一つやっておかなければならない。追撃をどうやるか?になる。本来なら守ったから終わりだ。しかし、黄巾党の援護がある。そのためこちらが多大な犠牲を出してまではやらない。それでも数を減らしたい。撤退はほぼ決まってる。というかそれをこっちが掴んでると知らないだろうな。


 気球を使うか?見張りだと分かっていてもどうにもならないだろう。撤退の兆候が見えたらすぐ知らせて打って出てしこたま攻撃してやるか。


 連絡用気球から討伐軍が近づいてきたと知らせてきた。無線を使ってるただアンテナが小規模なので近い距離しか届かない。そのぐらいの距離だ。発見されないか?ならある程度距離があるのと上を見てる人間が少数なのとそもそも発見しても何かわからんだろ。


「漢軍が現れた。多分楽勝になる。今まで機密だったので理由を言わなかったが、実は日本の機密の道具を使って山東省の黄巾党と連絡を取っている。こちらに向かってくるのを向こうに知らせている。あっちで連絡を受け次第反乱を開始する。そのためおそらく洛陽から戻るように指示があるはずだ」


「「おおおーーー」」


 さて、後は迎え撃つだけだ。漢軍が到着したがすぐに攻撃するわけじゃないようだ。よしちんたらやってる間に燃やそう…。気球を飛ばしてガソリンなど強い燃焼剤をばらまく。他にも開発した良く燃える焼夷弾などがある。ちんたら陣形なんて組んでる間に燃やしちゃうぞ。


 効果てきめん、あっちこっちで密集した陣形に火が上がっている。空に浮かんだ気球に気が付いたようだ。矢を放ってきたが、それらの距離の実験はしてある。まず届かない。次に城壁に近づいてきた兵に矢に混ぜて銃をしこたまあびせる。とんでもない殺傷力が高い矢が混じる感じだ。


 後梯子などには火炎瓶投下だ。何台か投石機があるな。よし大砲で叩き壊そう。あれだけでかいと当たるだろう。目に見えて被害が大きくなったので、門を開けて戦車部隊を投入する。城壁との距離もあり、アウトレンジからの攻撃と、もう1つはおそらく移動すると考えたからだ。


 今まで単純に向かってきていたが、それは難しいと判断するだろうから追いかける必要が出てくる。後はそのうち迂回路を考える可能性があるから。そうなる前に撤退するだろうと見てるが、思ったより問題が生じてて撤退命令が来るのに時間が空いてしまう。これは不味いと思ったのですぐ開始した。


 当然城壁の中から出てくるので、混乱していた向こうも急いで何割かは立て直して向かってくる。確かに怖い。まだ壊滅程は減ってないから。攻撃によって完全に混乱した。だが問題がもある。混乱してるだけで実際の死亡は少ない。うーんこれは多少危険でもひき殺した方が良いな。この辺りの判断は任せてある。


 ようは一致団結して向かってくるとさすがに戦車でも不味い。すべての戦車が鋼鉄の塊ではない。かなりの割合で装甲車レベルのものがある。さすがに万を超える兵隊と戦うだけの数揃えられなかった。ひき殺す方が射撃砲撃より効率的に大量に殺せる。この辺り一度遠距離で崩壊させてからってのが理解している。


 過去に漢軍と戦った時に大体掴んでいる。ただ、これだけの規模だとやや不安だが、その分大量の戦車隊が投入されている。ひき殺す段階になって死者数がとんでもない事になってきた。これは不味い日本軍だけの勝利ではいけない。ただまだわんさかいる。城壁近くの軍隊は消えてしまっただけで。


 撤退命令さえあればな、歩兵騎兵も出して追撃できるんだがな。とりあえず一旦引いて偵察のため常に気球を周回させておく。


 次の日もなんの手立ても漢軍は打てずにどうやら迂回路の検討をし始めたようだ。斥候が街道を外れた地帯を調査している。それらはもうどうにもならない。いざとなったら山岳部隊で始末できるが。山の中から発見できるか?難しいのであくまで遭遇戦になる。そこまでして始末する必要性を感じない。どのみち大部隊を移動させるなら気球から発見できるのだから。


 迂回路を探りつつ数日攻撃してきたがこてんこてんに撃退した。結局迂回路作戦が実行されることはなかった。全くの偶然だが、洛陽からの連絡用だと思われる騎兵を発見した。その後明らかに攻撃が下火になった。ただ全くなくなることはなかった。多分撤退するってのを読んでるのを知らないだろう。


 あっちと連携してるなんて思っても即時対応ってのが不可能だから。しかも内乱と他国の討伐軍への反撃が即時連動してるなんて思いもよらないだろう。攻撃が弱まってるので、戦車隊をじわじわと後ろに近づけて攻撃した。簡単には反撃できないと見ている。相手の撤退をつかんだ時に、すぐに歩兵騎兵を城壁から出して追撃戦を開始した。


 当然殿、後方への防御部隊がいるだろうが、その蓋は閉じられない。戦車部隊の猛烈な砲撃によって穴をあけて歩兵騎兵弓や銃撃を行い、崩壊したら歩兵騎兵による近接による追撃だ。これですぐに殿は壊滅した。後はひたすらちまちま大軍を削ってやった。軍としての規律ある退却が不可能になったらもう追撃早めてこっちが撤退した。


 これ以上進むと漢の領域に入りすぎてしまう。そうなったら全くの兵が空っぽというわけじゃないから問題があるのと、兵站に問題が出る。退却ではなく敗走にはっきりなったので向こうに到着した時機能するかな?と疑問にもなるが、後は黄巾党に連絡して終わりだ。


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