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 ヤングの2重スリット実験をしてみた。


「この意図が分かる人?」


「光は波だと言う事でしょうか?」


「惜しい、粒子性を以前示したと思う。だけど、明確に波でもあるんだよ?ってはっきりさせるための実験。この特殊性は分かる?」


「分かります。こうも綺麗な干渉縞って出ないですよね?」


「ひょっとしてやった事がある?」


「はい」


「これは通常水の上の波とかでやる実験なんだよ。その時ははっきりとした干渉縞ができる。ただの光でやった場合はこうならない。ぼやけてしまう。回折現象があるので光が波の性質があるのは分かってると思うけど、明確に分かりやすいのは多分これが初めて、最終的な意図は、明確に光は波と粒子の性質を2つもつ。これが最終的な今回の実験の意図」


 さて問題だ放射能や放射線について扱いたい。これをやらないと原子に対する理解が進まない。今のままでは原子は原子のまま、せいぜい原子に電子があるってだけだ。原子核ってイメージと水素が何故質量1なのか?を紐解く陽子や中性子で構成される原子核について知らなくはいけない。


 そう難しくない。ウランを使えばいい。問題は私はキュリー夫人を生みたくない。あの人は賢い人なのに無知で死んだんだ。いくつかの18世紀の偉大な科学者はガンで死んでいる。その人たちは高濃度の電磁波や放射線を浴びてることが多い。知らないから実験するたびに、頻度を上げてはならないものや強度を上げてはならないものを浴び続けた。


 最初なんだからと無茶させるか?私はドレイク海峡すら慎重に行かせたんだ。現場は無茶したらしいが、私は知ってるから無茶させたくないんだ。その姿勢はずっと変わらない。麻酔や外科手術も罪人を使ってる。まあ実験させて、いずれこれがやばいと理解してくれればいい。


 防護服は無理だが、ある程度遮断は可能だ。それだけでも野放図だった18世紀のものとは違うだろう。後数で補おう。そのうちどれだけ科学者としての好奇心が勝っても理解してくれるだろう。という事であらかじめ探っておいたウランを使う。これはかなり慎重に扱ったものになる。


 自然ウランはそこまで危険じゃないとはいえ、無防備に運ぶとやばい。元々ずっとこの運搬をどうするか?を考えていた。ここから濃縮するとやばい。自然状態でそれほど危険じゃないのは、ウランだけがあるわけじゃないのと埋まってるからだ。いくら濃縮してなくても、それらを掘り出して1か所に集めればアウトだ。


 上手くやったがはっきりいって関係者は被ばくしてる…。その点現代ほどの扱いはしてない。ただやばいほどはやってない。元々やばいレベルってのはかなり安全性を考慮した数値になってる。そのあたりはちょいちょい超えてると思うが、そこから大きくはやってない。ガイガーカウンターそのうち作るつもりだ。


 濃縮とはずっと後だ。科学の初期の実験に使う程度ならそこまでいらない。放射線これでも出るのは知ってる。キュリー夫人がそれを命をかけて証明してくれた。運搬より問題が実験だ。十分に注意させて、X線よりやばいと教えておけばいいだろう。x線の生物へのやばさは今研究させている。


 大きな前進があった。まず新しい元素が見つかった事。それにともない放射線放出による原子崩壊が起きてる事が確認された。さらに3種の放射線が区分された。ただまだアルファ線だけ何か?が分かってない。ベータとガンマは執拗に電磁波の研究をしていたためすぐに発見された。


 アルファ線はすぐに決定された。これは私が教えたものじゃない。実に見事な方法だった。電荷をもつ事は分かったので、アルファ線がある物質の固まったものだとみて電荷から水素イオンと比較して塊の個数を割り出すというものだ。そこからへリウムイオンだろうと決定された。


 確かに重大な発見だが突飛な発想によるものではない。だが、大きな発見を自分たちだけでやってのけたここに感動している。できるかぎり任せた方が良いよな。今とんでもないこの研究室レベルになってるな。世間じゃまだ工業化がこれからって所だぞ。しかもだ全く今現在この研究役に立たない。


 力富知が生きてるあかしだ。頑張ってきてよかった。本当に役に立ってない。これで良いんだ。役に立つ研究、金になる軍事に関わる研究をすでにしまくってる。その遺産。そりゃずっと稼ぐのは理想だ。だがそれが中国がダメで西洋で発達した理由なんだ。実際は錬丹術が中国にもあった。だがこれが科学に発達することはなかった。


 中国は役に立つ技術に偏り過ぎたんだ。かつオカルトの錬丹術がオカルトのままだった。技術には結びついたが学問として科学に発展しなかった。錬丹術は間違いなく高度な中国の技術に結びついてる。だがそこから錬丹術自身が科学知識に発展しなかったんだ。私が技術に偏りすぎる科学の発展を嫌ってる部分だ。


 科学の本質はそこじゃないと思ってる。だが同時に過去ギリシャから発展しなかったのも役に立つ部分が薄かったからだ。それでもギリシャで灰吹法や螺旋ポンプなど有用な技術もできてる。それでも錬金術後の西洋の科学への流れとはけた違いだ。理論に走りすぎた。最後はキリスト教に優秀な知性が奪われた。


 そして、科学と絡んだ技術が生まれたとき西洋は高い軍事力を持っていたため奪われるがなかったが、私はヒッタイトを知っている。もし軍事力の支えが無いと豊かさや高い技術は確実にノー無しの軍事国家に奪われる。鉄砲を中国から西洋に伝えたのはモンゴル人だ。技術力を支える知にかけるモンゴルでは鉄砲の発達はできなかった。


 中国が清末期不遇の時代を迎えるのはある意味自業自得だ。


 その後新しい原子モデルの論文を見せてもらうことになった。すべて目を通すのはきついから重大だと思うものについて選んでもらってる。だって高分子有機化合物すべて見てられないよ。ただ有用性などについて有益だったものは教えてもらってるが、中間物質がたち悪いんだよな…。まあ漏らしを考えていくつかこっちからこういうの出来てない?って聞くようにしている。


 新しい発見だが、分割不変だと考えられていた原子が変化したことでこれはどうなてるんだ?と原子の概念を刷新しなくてはいけない重大案件になった。そりゃそうだ私に持ってきたのは当然だ。私が教えたんだから…。しかもだまだ最初に教えた世代が十分現役の研究者たちだ。


 新しいモデル作りのために片っ端からいろんなものを原子に向けて反応を見た。その中でアルファ線の反応がとても面白かったのでそこからモデルを作り出してきた。もうこの世界ではそう呼ばれないのだろうがラザフォードモデルだ。実験はアルファ線がプラス電荷であるのは分かってるので、そのアルファ線が、原子の反応でまっすぐ進むものと曲がるものが現れた。


 これをより厳密に計る事で、プラスの塊が原子なのではないか?となった。そこで原子自体には電荷が無いそのため対極となる電子はどうなるのか?でそこで原子の周りにいるモデルが出来上がった。


 この実験の過程で1つの説を立てたものがいて原子がアルファ線によって変化してるのではないか?という説だ。ここで霧箱の登場だ。霧箱がX線に反応する事は分かっていたのでアルファ線も調査されて反応することが分かった。奇妙な発光現象が起こるため、何かしらの線が出てるのでは?と調査すると霧箱が反応した。


 その線が水素イオンである事が発見された。変化した元素、放出元素から原子核の内容物だと考えられて、プロトン陽子が原子核の構成要素であると認められた。これまでのすべてを見ると原爆にそろそろ繋がってきたな。後はエネルギーの放出、質量の減少とそれらを関係づける相対性理論だな。


 ただ原爆について焦ってない。何か科学者たちから興奮を感じる。私は今まで原子についてシンプルに教える立場だった。それらの常識が壊されて自分たちで新しい科学理論を作り上げてるって実感があるんだろう。ある日一期生に呼ばれた。


 「徳丸様実はこれらの事知ってたでしょ?」


「水差さないようにはしてた。だけどね、いくつか細かい部分分かってない事をもう君たちやってるからね?」


「そうなんですか?」


「うん、いつかは君らに教えてもらう立場になるよ。ただ後から知ってたなんて言っても後出しだからね。いくつかおかしな点を多分私出す。でも多分君だけしか気が付かない。どうおかしいのか?多分分からないから。でもそのおかしさはとりあえず秘密ね」


「分かりました」


 このおかしさは多分気が付かない。どういうものか?と言うと多分彼らはシュレデンィンガー方程式とかすぐには出てこない。私は教えるつもりだ。数学的発見は彼らの方が優秀だ。だが敢えて私から発見が遅いなら出そうと思う。そのおかしさに気が付かないのは、彼らの発見から思いついたという流れがあるからだ。


 だが、そんなすぐ思いつくか?そして私はたびたびこれをまだやるつもりだ。こんなすぐこんなすごい発見がポンポン出てくるのは無理なんだ。それが限界まで賢い人間の限界なんだ。私は発見してるんじゃない知ってるんだ。だからこの異常さが可能なのだ。これからは彼らに任せつつ時間を調整してって形になるだろうな。


 しかも彼らがこの異常性に気が付かないのは、科学の発展スピードの速さが早すぎるのが知らないからだ。私だけが人間の限界を歴史から知ってるんだ。これはすでに知ってるのでは?と見れば分かるんだ。だから彼だけが疑いを持ってるから分かってしまうかもしれないから伝えておいた。科学者として覚醒しつつある彼らに余計な事言わないでほしいからね。


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