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簡易的なラジオのようなものが出来た。ただ固定化された特定の電波しかまだ拾えないし一方通行だ。送信の装置が大きくて双方向はまだ無理だ。音声を電波にして送受信して、電波を音声に戻す。この流れが可能になったということだ。ただし増幅装置はできてる。さすがに何度もこれは真空管を他の実験で扱っただけの事はある。
後はチャンネル変換と工業的企画化を技術者を交えて進めれば良いかな。扱う情報を検討しなくてはいけないが、ラジオ局のような仕組みも検討した方が良いだろうな。いきなり娯楽はハードルが高い。それに装置が高価だ。トランジスタの開発まで送受信の無線システムは実験室どまりで工業的な実用化は先送りしよう。即電信網に代わるように軍事に使いたい。
まずは電信無線を船の救難信号に使うようにしよう。これを使って救難信号以外にも軍事利用もとりあえずはできないだろうか?全世界の船を使えばかなり密な情報網になると思うのだが。無線基地を作るのがやっかいなので、港に停泊した船を使て上手くできないだろうか?まあ考えさせよう。
鉄道と有線通信が進まないのって、金属が盗まれるから。これって、金属の価値が高すぎるんだよな。そりゃ分かるよこれが金銀なら現代人でもわかる。ただマンボール盗むとかあったが、くそ重い鉄の塊盗んで資材にするって現代人だと無いな。鉄や銅が貴重すぎるせい。これな鉄などの金属生産を増加させないといけないな。
目的があれば良いんだけど、一番作りたいのが鉄道網ってのが質が悪い…。その前提で金属を作りまくって価値を落とさないといけない。ああこれもう朝廷に丸投げして連中に考えさせて、他の領地にも技術を提供するか…。うちの領地が広すぎて、うちの領地の工業化だけでかなり発展しちゃうんだよな。でも鉄道網となると全国に波及しないといけない。
うちの領地だけで製鉄生産の量がどんどん増えてもうちが売ってるだけだだと格差が出来てしまっていずれ問題になる。だから自分たちに考えさせるのが最もいいんだ。なおかつこれいずれ海外からの輸入が必要となるので資源確保のため戦争にもっと積極的になる。
問題が生じるな、以前考えた海外に高度な手工業器械を最初に導入してハイテクを簡単に渡さないって方針があった。国内から消えてしまうと問題がある。親日の海外領土を利用して、積極的にこれらの技術を広めていけば良い。中国など支配国以外の親日国にまで波及すれば多分残るだろう。
おそらく最後に残るのは、ローマ、ペルシャ、騎馬民族草原地帯。これらの地域になる。これらの地域は親日になるまで慎重に対応しなくてはいけない。騎馬民族地域は単純な親日にはしない。接する国で我が国の影響のある国に共同で武装勢力に発展しないように管理させればいいかと思う。
ローマもややこしい。ペルシャは中華と似た感じで良いかな。ただあそこは大きな帝国があってもいい。人口が増えるわけないから。アフリカの計画が全くないので、ここを最終的に古い技術の集積場所にすればいいか。
合金のため世界各地から希少鉱物の調査をする。ただすべてが友好国や支配領域ではない。これが難しい。いきなり謎の鉱物掘ってくれと言うのは中々難しい。産物を貿易はしてるが、積極的に開発してもらってような地域はない。港など強制的に開発してるところもある。特にアフリカが希少鉱物が多いんだ。長期的に考えていくしかないな。
マイケルソンモーリーのエーテル測定装置が出来た。似たようなものなのか?なら似てる。これは現代の技術だと片道で測定できるらしいのだが、その高度なテクノロジーの装置は知らない。いずれ私たちも作れるのかもしれない。反射を使って往復させるて装置はどうしても似たようなものになってくる。
どうやらエーテルは無いとの結論になった。ただここで再びローレンツに言及することになる。エーテルの風と言うものだ。物体が縮むから正確に測定できない。勘違いと言えば勘違いなのだが、どうもこれ当時は全く違って、相対論か?エーテル理論かどちらか分からないってものだったらしい。
ローレンツが先に発表してしまったので、そのままアインシュタインは彼の名前を使うことになったが、なるほど確かにこれは勘違いなどと言うものではないな。地動説と天動説と似ている。地動説と天動説はかなりややこしい。科学の根底の部分になる。実証こそが科学の肝だと思う。
様々な理屈が過去から生まれたが、その大半が現代生き残ってないのは、実証を伴わない空想の論ばかりだからだ。それらの大半は淘汰されてしまった。ただエーテル理論によるローレンツの説明は難解になるばかりなので多分違うんだろうなと思う。果たして、その後どちらが正しいのか?を明快に導くことはいまだに出来ないようだ。
ただ、2つの点で大きな違いがある。ローレンツはニュートン力学のような絶対座標を考えていたようだ。それに対してアインシュタインはここが全く違う。もう1つはそもそも光=電磁波が粒子の性質も持つことだ。そもそも波のために出てきた理論なので、粒子的だとすると無用の産物になってしまう。
まあどちらが正しいか?を決定できないが、その後の科学の方向性からエーテル理論は破棄されるのを軽く皆に伝えておけばいいだろう。無理やりエーテルと言う科学史に出てきたものを恵みの書に乗せるだろう科学の話に組み込んだ。
もう科学について一つ手ごたえが無いな。初期の頃のいくつかはすごく良かった。一番重要なのは学校の科学にはなってはいけない。科学知識を教える教育じゃない。科学者を作る教育なんだ。それらの土台として富があり富を奪われない力がある。そして科学の知だ。この土台はほぼ完ぺきだ。
しかも最終的に力に知が後押しする。これは多くは兵法になっていくだろう。だがそうじゃないんだ。高度な科学技術を盛り込んだ武器や戦争の補助になる道具。例えば電子計算機なんて補助だろう。今はまだこれが活躍してないが、この発達で船などの砲撃ががらりと変わる。この時代はいつになるのか?分からないが。
そしてこれは中国でもやってたが、問題は中国は土台となる科学知識がほとんど発達しなかった。これが西洋との大きな差になった。だから私は科学技術って言葉があまり好きじゃない。土台となる科学知識と連動しない断片的な技術に対する知識は科学知識なのか?と言うとなんとも言えない。
中国の過去のやたらと高い技術をほめる人が多々いるが、私はそれが良くなかったと思う。科学が東洋で発展しなかった点だ。しかも日本は技術さえとんでもなく低かった。鉄砲はあれだけ頑張ったのに何故となるが?多岐にわたる技術が無いんだ。その点は火薬を早くから運用していた中国はすごい。
その根底に錬丹術がある。これが西洋の錬金術に当たるが、ここから科学に発展しなかったのは、その点イスラム世界と似てるんだと思う。西洋の錬金術と科学と見るのではなく、中国のそれはイスラムの錬金術と同じだと思う。そこに違いがあるとすると、ベーコンの存在の大きさがうかがいしれる。
さて問題は、その時代はもういい、次は科学者の数を増やさなければならない。このため農業からの発展がある。社会発展が重要になる。重商主義を取るのは当然だと思う。工業と農業の発展が商業に絡んでくる。重商主義が起こるのは商業が発展してるからで、かつ農業の発展による農民以外の層が増加したためである。
最後の決め手が、職業科科学者の誕生だ。職業なんだから爆発的に数が増える。この点はまだ駄目だ。かなり貢献してるが、企業と科学者の関係がまだ出来てない。分かりやすいのは、デザイナーと服飾企業だ。特に工業系の会社において科学者はデザイナーに近いものがある。
さらに高度な発展をすると単純な科学技術の発展による製品ってのはなくなってくる。全く無意味か?と言うとそうじゃないが、アイフォンみたいなものは他社でも使ってる技術の組み合わせだ。だが性能の向上などは科学的知識と絡んでくるとは思う。
後は国や後援者の出資による基礎科学を支える科学者はかなりまだ駄目だ。
ただ現在企業がまだ成熟してないので、私がやってしまってるからってのが大きい。その点企業科学者はもう誕生してると思う。特に有機高分子化合物による薬などは私の手を完全に離れてしまったが続々と出来上がっている。後は生物学のDNAやMRIなどの電子技術が発展すればまだ発展の余地があるが、これはまた医療とは別問題だろう。
今不満なのは、私が運営しない独立企業が科学者を抱える事。ここが1つ。後は基礎科学で大々的な化学的発見がまだまだ…。ただ企業の方は社会にも問題があると思う。資本自体は当分私から離れないと思う。その点は問題が無い。ただ運営はもう独立してどんどん作ってほしい。
私は敢えて貴族を残していこうと思ってるので、その点は欧州型の発展になるため日本の明治以降とは違うと思う。その点日本の発展歴史通りにする気はない。むしろ良くなかったと思ってる。企業的に見ると問題はないが、社会って視点で見ると貴族の影響が消えてしまったのは良くない。




