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 宰相としてどうしても緊急性のある議題を取り上げなくてはいけなくなった。


「以前から進めてる軍事的な中華対策ですが、大きな問題が発生しました」


「なんだってー」


 ざわめきはじめた。うーん、そうだよなかなり先の時期になると言ってたもんな。


「と言うか中華の問題ではなくて、満州の問題です。満州から追い出した騎馬民族が中華に圧力をかけたせいで後手に回っていたのですが、余裕ができて満州方面にも漢軍が来る可能性があるとの報告が来ました。もちろんまだ来ていません。準備もありますし、おそらく現地の調査員が準備をし始めたら動きが出るので調べてくれるでしょう」

「で来たときに、これ利用しませんか?って話を持ち込みました。いや利用するべきです。日本軍の投入を早めるべきです。満州方面への出兵が決まったら、すかさず内乱を起こします。これによって兵力を2分します。これならどっちつかずでおそらくどっちも防衛に成功すると踏んでいます」

「そもそも漢の弱体化は既定路線です。この内乱で完全にとどめさせるのですが、問題は、内乱にはがっつり兵隊突っ込める余裕がまだある点です。でもこの圧力が2分してしまったらどうか?と言うとかなりいける作戦だと考えています」


「中華に勝てる?」


「元々勝つのは簡単なんですよ。問題は占領が無理なんです。そこで民衆の内乱を起こして漢にとどめを刺して群雄割拠の内乱状態にします。そこでなら1地域程度の占領なら余裕ですし、かつその兵隊の大半は内乱のきっかけとなった民衆を使います。時期をいつにするか?が問題だったのですが。向こうの都合で早められたとなります」

「後の問題は同盟軍として占領もせずに日本軍が戦う価値ですが、これについてはさらに続く問題があります」


「おいおい」


 うーん、ざわめてきたな。


「まあ、以前話してないので、きりが無いとなりますが、そんな事はないです。中華に親日政権が樹立さえできれば問題ないです。その北の騎馬民族をなんとか骨抜きにします。結局日本への問題って資源問題で日本への様々な資源を中華が邪魔をする点です。この邪魔の中で問題となるのが、騎馬民族の影響のある政権が樹立した時なんです」

「ほぼ例外なく、高圧的で好戦的な国家になります。中華がそういった影響がないならそれほど日本にとって脅威の国家となりません。ですが必ずなります。いつは言えませんが、騎馬民族を放置すると必ず強大な軍事帝国が出来ます。これが中華に影響を及ぼす可能性はとても高いです」

「まず直接的に中華の親日政権にする。次に、今の中華が親日的でもそれが騎馬民族の軍事的影響を受けるようになったら、全く意味がなくなります。ここで防衛をしっかりするですが、ですが、そうすると日本にとっては軍事的脅威になります。中華は、北の脅威が無いとすぐ軍事手を抜きます」

「あの国は北の騎馬民族との関係が無いと実際は軍事的脅威になりません。以前説明不足だったのは申し訳ありません。どうすれば解決できるのか?考えていて良い方法が見つかったので最終目標としてやってしまうと考えたわけです。後日本軍の訓練的な意味もあります。軍事的脅威が減ってもある程度は軍隊は維持しないといけません」

「常に兵器が刷新してるので、戦術戦略がどんどん変化しています。訓練だけじゃダメです。実勢を経験しないと兵器ばかり発達した中身のない軍隊になります。そのためある程度強国として軍隊を維持するための必要経費だと考えてください」


 その時が来たら日本軍の派遣は了承されることになった。正直言えば、まだ領地の返還はしてないため中身はほぼ私の私兵だ…。ただ将来的には領主は消える予定なので、今は形を先につくて置きたいから議題として皆に相談って形になってる。将来的には軍事作戦から手を引きたい。


 宗像から高位の軍人は送り込む予定だが、戦略自体は独立して考えてほしい。多少の軍事費の融通やアドバイザーぐらいはやるつもりだ。どうしても重要な私しか考え付かない大戦略がある。ただ個々はまあいずれ完全に任せていいだろう。


 ローレンツ変換について話していた。


「物体は光速に近づくと縮むというのがこれの意味するところ。以前あまり話さなかったのは私がベクトルについてイマイチ上手く扱えないのと言うのがある。君らとミンコフスキー空間について数学的な精緻化をしたから今ならなんとか出来ると思って、後ね、これって本来電磁波の媒質があるとして考えられたものってがある」

「これを曖昧なうちに話してしまうと説明が多分以前ならしどろもどろになってるから」


「今でも十分良く分からないのですが、何故ベクトルについて不得手の徳丸様が相対性理論を考え付かれた疲のですが?」


「それは良く分からない点にならない。疑問ってやつだね。それについてはローレンツ変換も同じだと思う。ありもしない電磁波の媒質を基にした計算式が何故思い浮かぶのか?これも繋がってる。いつものあれだ」


「恵みの書ですね?」


「不満に思う?疑問は構わないが、何故それを自分たちに見せないのか?それについてはちょっと不快に思うよ」


「いえ疑問であって不満ではないです」


「そっかそれならいいけど、こっちにもこっちの事情があるから君たちにその事情を教える気はない。それはまた科学の発展とは別問題だ。ただ言えるのは今後君たちが恵みの書の書き手になると自覚してほしい。謎の古代の恵みの書なんてこの時代の後には眉唾物の噂話程度になってしまうだろう」

「ただ再びいうけど、私たちの祖先は海の向こうの失われた文明からやってきた末裔だとの伝承もある。ただし、こうだとは言わない。そういう伝承もあるんだ。これは日本人がではない、宗像の起源に対する伝承だ。古来から海運にまつわる仕事を携わってきたので、断定はできないがあるのかもしれないと私は思ってるから」

「これからも疑問があればどんどん言ってくれれば良いが、恵みの書を見せろという不満は持ってくれないでくれ。起源などは神秘や謎があった方が良いだ。それに口を出すというのは宗像の権威を貶める行為だと思ってくれ」


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