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「今回集まってもらったのは生物学ってイマイチ発展してないよね?」
「はい…」
「非難してるわけじゃない。成果自体は農業でかなりの恩恵を受けてる。だが私は何度も言ってきたが、発展としての技術は科学が民衆や政府に必要とされるためにあるだけで本質ではないと言ってきた。世界の理の謎を解くって単純ななものが科学そのものの存在意義だと言えると思う。その点パッとしないって話」
「でそこにいよいよテコ入れする。多分もっと前に出来たけど、私は農業の成果が上がってるから敢えて放置してたのと、もう1つは別の分野の目覚ましい発展を先にして危機感を持ってもらうため。生物学にとっての原子を君たちに与える」
「手始めにやる事は、生物の最小単位が細胞であるのはさすがに分かってると思う。医療も独自に発展してる生物学と絡むものだと思う。で育種から生物が遺伝をしてるのは知ってると思う。じゃ遺伝は細胞のどこでしてるの?」
「分かりません」
「うんそこなんだよ。大雑把で良いから細胞の中でどんな機能があるか?分けていけば良いと思う。消去法で多分遺伝の重要器官が見つかるはずだから。はい頑張ってね解散!」
原住民対策があっちこっち、日本でも上手く行った。農業に組み込まれるように入り込んできた。そしてこうなると問題が出てくる。かたくなに拒絶する部族がいる。ここからが本番になる。現代日本は無責任に欧米の大航海時代の批判をするが、それは自分では彼らとともに参加できなかったからで参加していたら多分日本もかなり酷いことをしてたと思う。
そして、そのすべてを否定できるのか?と言うと、同じ民族での戦争である程度前の時代なら最後は武力での決着となる。そして今はその前の時代となる。出来うる限り狩猟部族の自治区を認めていくつもりだ。だが重要な地域がある。鉱山や油田。他にもいろいろだろう。農地は無理にとらない。だが資源は絶対に譲れない。
何故か?工業資源獲得のために海外進出をしてるからだ。犠牲を最小限にする。この点は欧米への批判的な気持ちはある。彼らは野放図で野蛮すぎた。だが、そのすべては否定しない。戦うべきところは戦うべきだ。同族なら武力で制圧するが、異民族ならできないって理屈はおかしい。
まああっちこっちで戦いを増やさないように最小限には進めていくつもりだが。今まで明確に避けてきたので重要なターニングポイントになるだろう。いずれはこれらを上手く進めて無軌道な原住民の虐殺弾圧を止めないと。将来の独立領土に向けても考えている。私たちが居なくなったら突然強引で野蛮な姿勢になるのは困るんだ。
だから敢えて暴力的でも道筋を示そうと思ってる。
機械化農業の発達などで農民から職人へと言う流れのせいで人が農地から移動して集まるようになってきた。徐々に分業化も進み工場などもできている。そうなると何が起こるか?食料の輸送が活発になる。この流れを受けて鉄道網を広げる事にした。移動時間が少なくなることで人が移動してする仕事も増えてくる。さらに鉄道網の価値が上がって広げられるようになる循環ができるだろう。
黄巾党に協力してる日本人の幹部熊子はある問題を抱えていた。それを幹部の李北に話していた。
「日本の方針としては同盟国として協力する代わりにかなえてもらいたい事がある。漢の天子を確保して王に仕立てたい」
「何を言ってるんだ?」
「悪い分かりにくいな。傀儡だ、ただしただの傀儡じゃ言う事聞かないだろう。だから外交と対外的軍事権だけ一部与える。外向けだけのための王だ。国内政治には一切関わらせない」
「ああそういう事か」
「ただ問題がある。黄巾党の合言葉がな…」
「蒼天すでに死すか」
「ああ、なんかこれうやむやにできないかな。いきなり民衆主導国家なんて成立しない。ただこれを諦めてまた黄巾党員が皇帝になるのじゃ。なんのための民衆のための組織なのか。皇帝の身分は全く重要じゃない。だって漢の高祖がそうだろ?大事なのは民衆の政治介入をきちんと出来るようにしておかないといけない」
「もちろん、最初はやるつもりはない。将来の道筋を作っておく。だから黄巾党員が独裁的な王になるのは困るんだ。あくまで民衆の代表でしかないって形を残しておきたい」
「それは素晴らしいな。それを言うと合言葉の方が問題じゃないか?」
「ああそうなんだよ。あんなもの実務的なものじゃないから。実質的に達成する方が大事で、黄の革命がなって民衆から皇帝が生まれましたじゃ意味がないんだよ」
「上層部だけ集めてこれはすり合わせをしよう。日本とつながりが深い俺が皇帝に一番近いと思う。その俺がそれを放棄したら行けるんじゃないか?」
「良いのか?」
「良いよ。大体皇帝になると言ったら協力しないだろ?」
「ああそこで手切れだ。考えてくれれば分かるがこっちとしては得が無いんだ。普通日本の属国を目指すだろ?うちの大将の考えは全く違う。あくまで同盟国の形をとって支配自体は現地の人に任せる。その中で得ってのがこれなんだ。政治制度としては、広い中国に一人の皇帝は無理があるという考えがある」
「とりあえず3分割してその3人または、彼らから選ばれた将軍と漢の皇帝で対外的な戦略を決定する。外交は戦略の1つなのでそこに組みいれられる。この3に意味はない人口が少なくなっただろ?また増えたら4,5と増やしていけば良い。ただ最低の3には意味がある。鼎の理屈らしい。3つは邪魔しあう理想の状態らしい」
「まあ大ぼらにしか聞こえないが、おおよそ3分の1支配したら残りの二人の方面軍の将軍を選んでほしい。彼らにその代表者になってもらえばいい」
「本当に大ぼらだな」
「勝つだけなら同盟国の日本が居れば多分勝てる。だからそう大ぼらに思ってない。後統治自体も圧倒的な工業力と農業生産力がある。問題は長期にわたる防衛だよな。1、2年で片付く話じゃないからね。後最大の問題は、張角たちを排除したいのと、もう1つは最初だけ漢軍と戦わないといけない点」
「そこ分からないな。張角は分かる。私利私欲でしか動いてない。あれは邪魔だ。最初はそうでもなかった。組織が大きくなるとすでにその兆候が見えてる。だが清廉派じゃない連中はやつらに頼るしかないからな」
「連中を無視して、戦端を開いてしまえば良いと思う。民衆の不満と組織の拡充の重なりで事を起こすだろう。それを邪魔してやるんだ。まだ準備が整ってない状態で、こっちが勝手に動く。通常不可能だが、ある程度分離出来てる今なら多分可能だ。それでこっちは素早く事を起こして防御を固める」
「だが連中への協力はあまりしない。弱体化したら構成員をどんどんこっちに引き入れて。最後まで奴らに従う連中は漢に掃除してもらうつもりだ。あんな首魁に従うやつらなんて自業自得だ仲間だと思わん」
「問題は漢だ、当然連中は同一視するだろ?上手く純黄巾党だけにぶつけるなんてできるわけがない。そこをどう乗り切るか?だ一度や2度は絶対勝てる。それを数に任せて何度も来るのがな…」
「難しいな」
「なんとか数と対抗できる兵器を作ってもらうよ。まだ急がなくていいから」
「漢軍が最初だけってなんだ?」
「秦の歴史もそうだろ?最初だけ秦軍と民衆は戦ったが、そのうちあっちこっちで勢力が生まれて内乱になっただろ?多分今回もそうなる。そうなる根拠がある。半島と東北地域が独立したが漢の介入が無くて公孫氏がずっと対応してるだ。これがすでに異常なんだ。最初だけ漢軍が来るのは、漢の軍隊として地方の権力者が集まって戦うが、漢自体が崩壊してるのだからそのうち瓦解する」




