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青銅器の鋳造の技術から鉄器の鋳造の有用性にも考えてほしい。鉄鉱石が無いのとたたら製鉄があまりにも有能なので鉄器の鋳造はほとんど進まなかった。隣の中国にあるのにである。おそらく火器の発明によって必然が生まれると思う。それさえも一時的で良いなら青銅で良い。いずれ一時的な武器とはしない。それまでに鉄器の鋳造を考えないといけない。
中国から学ぶのは苦しそうだ。高炉をいきなり作るのじゃなくて、中国のモノをモデルに日本で独自に発展させた方が良い。いずれ現物の中国のモノを見れば良いかと。中国のものは高炉ではない。高炉が鋳造の決め手でなない。高炉は熱効率がとても高い。そこに良さがある。現代まで使われてるので、高炉と言うのは改良型なんだと思う。
ただ不思議なのは欧州は鍛鉄技術から突然高炉が出来上がる。これはモンゴル帝国を通じて中国の鋳造が伝わった可能性が有る。どこかに未発達段階の中国に似た鋳造技術が欧州の東部か?中央アジアロシア辺りにあったのかもしれない。高炉が必然ではなく、ふいごを動かす動力に人力からの発展が大きな要因だろう。水車などでこれを補えば鋳造は可能ではないか?と考える。
倭国大乱までに作らないと焦っていたが、じっくり発展させて高炉に移ればいいと思う。その間に鉄鉱石の確保と次の段階である石炭の発掘かと。じっくりやれるならかなり余裕がある。そもそも日本には大量の鉄の供給がいろいろな理由から向かない。今現在金を使って大量に仕入れてるのは、後から力をつけて金を諸外国から取り返せばいいと思ってるからである。
唯一の弱点が、真似される点。相手が火縄銃を真似したら、こっちは火打石式による薬莢の銃を使ってる。その次の段階には機関銃とどんどん発展させていけばいい。やがては戦車にも向かえばいい。それを支えるのは科学知識となる。硝石に関してもハーバーボッシュ法による大量生産は科学知識と高度な科学技術の結晶である。
これは絶対に真似できない自信がある。日本が真似できたのは西洋が親切すぎた点になる。新技術でもある程度低レベルならすぐ真似できる。だがそれらが科学知識に裏打ちされたものなら、文明開化と言うのは西洋諸国の援助なしにはあり得なかった。科学知識そのものを懇切丁寧に学ばせてくれたからが大きい。ここを抑えてしまえば当面何もできない。
当時欧州はすべての国が高い知識水準にあったのでそれらを秘匿することは困難だったと思われる。だが日本と言う離れた島国でこれをやってのけたらどうだろうか?人類の発展には問題があるが、大量の殺りく兵器による戦争はなるべく避けたい。もう1つ大きな課題は、あえて環境問題を早く引き起こす。多くの時代が小氷河期にあるため温暖化が打ち消される。
早い発展によって早くから環境対策の技術知識を発展させるつもりだ。ただこれは前もって発展を抑えるなんてのはやらない。日本は先進文明によって勝たないといけないんだ。
そういえば僕は2度目の転生したため医療を全く重視してなかった。これには理由がある。医療は科学の根幹には向いてない。あまりに便利すぎるので、科学の奥深さを学ぶことが遠回りになる。医療だけ異常に発達した文明はありうる。治る技術だけが重視されて生命、人体とは何か?という根本におそらく阻害することになると見ている。
この問題も考えさせられれば楽なのだが、後化学の発展後にやった方が早い。薬が作りやすい。後高い成果によって人材が医療に大量に流れてしまう危険がある。もう一つは先ほどと重なるが、微妙に物理や化学とずれる部分があるので、科学を勘違いする可能性が有る。根本の科学的思考が生まれにくいのを僕は知ってるんだ。
じゃないと、もっととっくの前に科学は発展してる。古代は科学の発展を阻害する要素が数多くある。だから武器の模倣のように簡単に真似できないのは知ってるんだけどね。育てにくいのは逆に言えば真似されない裏返しなんだ。西洋はおそらく、他の文明が全く西洋の高い技術を吸収できなかったので舐めたのではないか?と思ってる。その点だけは日本は立派だと思う。
おそらくだが、これはうがった見方になるが、西洋人は他のアジア諸国では教えてやってるって立場で良かったんだと思う。これを日本は利用した。根底は教化して植民地の僕にするのが欧州諸国の目的。日本人はこれをまるまる利用して、知識を奪うだけ奪って僕にならなかった。狡猾だったんだと思う。
ある段階まで行ったら技術の漏洩を頑張るべきじゃないと思う。ただ最高レベルの軍事機密は守るべき。これは現代も同じ。ただヒッタイトのような政策は避けるべきだ。人類全体の停滞を招く。
硝石だけはあらかじめ準備していたので、これらを鉄砲と連動させていよいよやっていく。問題は初期暴発の連続だろう。これを抑えないと貴重な職人を無くしたくない。青銅の鉄砲の脆弱性を強く伝えておかないと、ある程度生産数が必要になたら佐渡でも開発を開始する。後はそれを持ってくればいい。いずれは研究設備もすべてあっちにもっていくつもりだ。倭国大乱後は当分封印して、あちらで細々やるつもりだ。
確か佐渡への攻撃が何年かにあったらしいから、その防御に使おう。あそこは人を回しやすい。なんといっても重大な金山があるので。日本の軍の攻撃じゃないので多分秘密は漏れないはずだ。何してるか分からないまま殲滅してやろう。
8歳になりいよいよ様々なことが芽を出し始めた。竜骨船は近海河は航海できるものになっている。今後くり船を徐々にこれに変えていくつもりだ。そして徐々に実用段階前では巨大化が進んでいる。いずれは喫水の高い外洋向けの船にするつもりだが、その前に水密隔壁を作らないといけない。平底水密隔壁竜骨船を作って大陸との貿易を盛んにしなくてはいけない。大洋航海はその後だ。
東南アジアは大陸用平底船の方が良い。ある程度巨大にすれば速度を犠牲にすれば東シナ海の航行はV字底じゃなくてもいいだろう。それより長江に座礁の危険のある船底では入れないのがまずい。後琉球と台湾にそろそろ拠点を作らないと。北海道と沖縄は敢えて朝廷には支配地域と認識させないでおこう。外洋航海のためのキャラベル、ガレオン船の作成はは東南アジア経由で竜骨ジャンク船でインドにたどり着いてからだ。綿花も欲しいが、なるべく早く動いて仏教と接触しないと。
出来たら倭国大乱前にアメリカ大陸に行きたいのだが。楽浪郡の朝貢が上手くいった。数名残して帰ってきた。2世紀ぐらいだと思われる。正確な年度はイマイチ分からない。いちいち漢の暦を西暦に変換するのが難しい。比較的温暖な時期だがもうすぐにでも寒冷化が始まるだろう。
寒冷化がいつ始まるか?は分からないが、2世紀末期には寒冷化で倭国大乱になっている。不味いな僕が年を取るころだな。これは他の人間に任せるわけにはいかない。権力移譲をうまくつけるように何か予言しておいた方が良いと思う。まず僕が父から譲り受けたときに絶大な崇拝を持つ指導者にならないといけない。その僕が予言しておけばいいだろう。
中枢にいる一族は皆3女神の恵みを知っている。混乱期に強力な指導者を求めるのは間違いない。その時予言しておけば多分行けるだろう。くれぐれも親族僕の邪魔するなよ。転生しなかったら?その時はその時だ。そもそもそれを前提に組織づくりしてない。より強固になるだけにすぎない。
恵みの書は3女神の恵みを阻害するのでは?僕は強固な一族支配が出来れば、もう頂点に居座るつもりはない。よほどのことが無いと指導者は別にいるようにしておいても良い。他の重要なポジションでこっそり生きていくつもりだ。3女神の恵みなんて宗教的指導者は僕の組織には邪魔なんだ。
温帯ジャポニカと熱帯ジャポニカの交配による早生品種からさらに寒さに強い品種が選別された。これでなんとかなるだろう。これ温暖期なら青森まで可能な品種。九州の一部で2毛作をやろう。それでこの品種を寒冷期まで大量に維持できる。下手にこれで東北に進出すると苦しい目に合う。温暖期になったらさらに改良を重ねて蝦夷地での栽培を考えよう。
簡単なガラスの制作はできた。これはこの時代外国産なら溢れてるから技術自体はあるが、日本にはまだ技術は入ってきてない。方法は製鉄に使えないか?と検討していたるつぼによるもので可能だったため。ただレンズを作るのはかなり難易度が高い。金属によって色が変わるので、逆に透明も色だと考えて科学班に添加の実験させた。
一応完成だろう。形状は吹きガラスを遠心力で平らにする方法で可能。いずれはもっと発達すれば、円筒型に吹いたものを縦に切る形で良いかと思うが、これ職人の技量がいる。ガラスはまだ建築以外大量には作らなくていいので、とりあえずは吹きガラスでレンズ作成を目指してくれればいい。後添加物をさらに実験して透明度をさらに上げてほしい。
メガネなどのレンズが作られた時代の透明度には間に合ってるのでとりあえずはOK。ルーペが出来たら医療はガンガン進める予定だ。ついでに顕微鏡も。同時に医療とは別に天文軍事船舶のために望遠鏡も必要になる。研磨は任せよう。そもそも研磨自体の歴史は石器時代からある。根本はむつかしいものじゃない。応用と研磨剤の材料にある。頑張って最適解を探ってくれ。
根本的なものじゃなくて進めるか。免疫ワクチンは面倒だしな。ケガだ外科手術としてまずは表面的な縫合を考えよう、後は消毒と。現代だと化学繊維だが古代は絹糸が良いらしい。高価だが健康にはこれぐらい費やした方が良い。後何故優れてるのか?調べさせてもい良いな。そもそも僕の知識の大半は経験上じゃないからな。百科事典の知識のようなものだ。
琉球と台湾に手を付けよう。寒冷化の時に一部移住させればいい。寒ければ南にいけばいい。これはちょっと大変なので、爺様と父上に話すか。
「以前話した寒くなる時期ですが、楽浪郡への使者から分かったのは、正確には分かりませんが、僕が大人になるころにはおそらく兆しが見えると思います。そこで考えたのですが、寒けりゃ南にいけばいいじゃないか?で南に二つほど大きな島があります。ここに今から移住者を送って寒くなったら一部移動させるのはどうでしょうか?」
「そんな寒くなるのか?」
「それより期間が長いんですよ。春夏秋冬を1年として50年近く寒いままです。一時的にしのげるものではないです。特にここより大王に近い土地は寒さがさらに増すでしょうね」
許可は出たが、これほんと困るよな。戦争して奴隷とかにして送り込むのが一番楽だが、さすがにそれはな…。その時が来たら皆殺しにするけどさ。その時が来たら自勢力の民だけ南に送るから邪魔なだけ。雑多に選ぶんじゃなくて、忠誠のようなものを持ってる人だけ選んだ。ただな使者とか調査とかじゃないんだよな。場所を作っておいてほしいんだ。
目的はすべて言ってある。ただ根本のなんで?で僕の恵みが必要なるがこれはさすがに、わが家の将来のためとなんとか無理やり…。
ふいごを動かす動力として組み立てた水車に科学班を連れてきた。
「人が計算して、水の流れを上下する力に変えている。この世界とは科学を解き明かせていけばこのような器械の集まりなのではないか?これが科学の考えの根幹にある」
皆衝撃を受けてる。これは神の否定だからだろうか?いやそこまで及んでないな。まだそれにたどり着けないのだ。
「まあ無理もない。皆はそういった世界のからくりを数多くまだ接してないからだ。恵みを知ってる僕もこれが正しいか?は分からない。ただこの発想で行けるところまで行く、それが科学の始まりなんだ。膨大な量のからくりを見出した時に、そうとは言えないものもあるのじゃないか?と将来見えてくるかもしれない。ただそれはいつになるか?は分からない」
「ただ僕が一つだけ言えることは、人が生み出す器械がこんなものでは済まないかもしれない。からくり、器械というものの考え方自体が変わる日がいつの日か来るかもしれない。それもいつか?は分からない。とりあえずはこういうシンプルな器械として世界をとらえて解き明かそうってのが科学の始まりなんだ」
「常に話してるが、力富知、この3つは、最後の知がまた力に戻ったり富に戻ったりして循環する。こういったものを相互作用と言う。知は力なり、いつか君たちも分かるときがくる、その時多分世界は器械であるという考えの一端に触れているだろうと思う。まだまだ科学は力になりえてない。そこまで考えなくても力を手に入れてしまえるんだ。言ってみれば、簡単に考え付くものをすべて発明したその後に科学は力を発揮する」
「僕が何故いつも力富知を唱えるか?と言うと、科学による知が皆が求めるものになるのはかなり時間がかかる。そのためそれを支える力と富の蓄積が必要なんだ。こんな事考えて何の役に立つんだ。こんな非難に君たちはいずれさらされるかもしれない。でも僕は誓う力富のある限り僕は君たちをその非難から守るつもりだ」
科学班が次世代を取り入れてますます知の蓄積が早まってる。早くここから富と力を生み出さないと。
「そうだ農業改革をしよう。僕がやってしまったが、早生稲も君たちがこういったものを作っていくんだ。こうすれば?ああすれば?そんな農業実験を君たちは行ってほしい。とりあえず、今は全く価値を持たないが、寒冷状態に強いイネの選別は君たちが手伝ってくれたので早く進んだ。もちろん農民の助けも大きい。専業の農家となり農業実験をする班員を数名選出してほしい。そうすれば誰の目にも君たちのやってる事の価値が分かるはずだ」
「そこで一つ知恵を与える。寒さに強い親から同じように寒さに強い子が生まれやすい。これは我々人間も似た部分がある。身長なんて顕著だろう。ただし父母いるので難しいが、これを遺伝という、選出班員に課題を与える。遺伝には劣性遺伝優性遺伝というものがある。父母両親から受け継いでも、それが表面に出ない場合がある。これは受け継がれなかったんじゃない。優性遺伝が劣性遺伝を隠してしまうからだ。これを作物を使って実際そうなるのか?調べてほしい」
「あと課題だ、どうしたら隠れてるのを説明できるか?も調べてほしい」