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「良彦様思ったより早く達成できましたね」
「ああ次代からかなとは思っていた」
こちらの女性との間い息子が出来た、子孫は日本人らしさがちょっとずつ減っていく計画だ。その子孫を王族にすればいいかと思っていた。だが当分封建制かなと思ってたが、バルトのあちらに作った地域を封建制にすることで解決した。海軍を一手に担ってるのもあり、国内は自分たちを中心としたローマのような制度で問題ないとなった。
その代わりバルト領土を自由に領主が広げていくような形になり、かつ中央の強力な国軍が一部その軍役を担う形になった。小領主が単独で開発を行うのは無理があるので、及び腰だったが彼らを積極的に補助することでイギリス国内の中央集権へ支持をしてくれた。大きな領主もそもそも高い軍事技術と南部と島を抑えているうちに比べるとかなり小さいのでなし崩し的に妥協した。
30,40年は短縮できたと思う。それほど力入れていたわけじゃないが、あのバルト支配がおそらく加速させたと思う。よし後はゲルマン民族の王国の誕生を邪魔する事に集中できる。確かローマの皇帝がこの先失政をして衰退していくと徳丸様は話している。そのためローマ皇帝の情報はいち早く仕入れてないといけない。
商業活動を通じて特にローマ皇帝の情報を丁寧に集めておくか。ただ衰退が見え始めてすぐはまずい。いつ仕掛けるかは悩むな。できる限り遅らせてローマの衰退よりも武器の発達を重視しよう。開始時期は徳丸様に丸投げだ。
海外の二人からの知らせを呼んでいた。せめてアジア地区だけでも無線有線をもっと広げたいな。イギリスが意外だったな。もっと時間がかかると思った。これは日本も急がなくてはいけないな。公孫氏は楽勝過ぎた。もっと戦車の数を増やして、早く飛行機を導入しないといけないな。
他の領地の工業化が進んだことからいよいよ朝廷に参加して農地の解放と中央集権化について話し合うべきだ。陛下に話して朝廷を機能させることにした。
「信善がこちらに関心を持つとは珍しい」
「海外の統治がかなり安定してきたので国内に手を付けないといけないと思ったもので、ただ中華はまだ準備段階です。こちらはかなり時間がかかるので今すぐどうこうじゃないため。それもあり先に国内を片づけよかと。最も重要な議題は朝廷をより効率化させ中央集権化します。そしてもう1つの目玉が農民への農地解放です」
ざわめきが生じる。
「信善殿、それはどういったものなのですか?」
「以前陛下にもお話したし、朝廷にも連絡は行っているはずです。突然の暴挙というわけではないのは理解してほしいです。そのうえで再度話すと、領地で農民が耕作してその年貢で賄っていくのが今の制度だと思います。これをやめて農地は耕作してる農民のものにして、その一部を国家が吸収します。我々領主は政を行う代わりに対価としてその国家に養われるわけです」
再びわざめきが生じる。
「皆さん勘違いしないでほしいのは、領主からすべてを奪うわけじゃないです。私が皆さんに提供した様々な工業技術や商品とそれを売りさばく商売の権利を商人や職人よりも領主が持ってる方が多いですよね?それらはそのまま残ります。狙いは農業国家からの脱却です。戦争と内政においてその有利さはすでに皆さんは理解できてる時間があったと思います。どうですか?」
「「確かに…」」
「他にもあります。農業と領地と言う考えによる政治体系はいずれそれぞれの領地の拡大を狙う内乱状態になります。じゃ何故こんな制度を取ったのか?と言うと最終的に中央政府を作るまでのつなぎにすぎません。よってずるずるとこの制度を持続するというのは、国内に内乱を招くのを望む悪漢の思考だと考えています」
元々根回ししてあるため、あえて私に質問してもらっただけでもう領主に個別に話はついてる。圧倒的な武力と領地を私が握ってるのでその私から提案する事でじっくり前もって話し合っておけばまず今回反対されない。だがここで駄目押しをする。
「皆さん、もっと儲かるようにします。賛同してくれる人には造船の技術を最先端とはいかなくてもかなり柔軟に皆さんに無償で提供します」
再びざわめきが、これは全くのサプライズだろう。
「わざ領地の中で手っ取り早く儲かるのが海外との貿易です。元々この資本を基に工業化や様々な商品開発をしてきたのでどれほど重要か分かると思います」
最期のが決め手となって満場一致で2つの議題が片付いた。政治の在り方も私を最高責任者の宰相として中心に据える会議を朝廷が担っていく形になる。
私を宰相とした朝廷会議が開かれた。
「私の方から内外のいくつかの方針を上げたいと思います。これらのいくつかはすぐに決定しなくても良いです。外向けでまず1つ。海外の領土で日本人の少ない地域は安定発展したら独立させるって事です」
やはりざわめいてるか…。
「それでは何故戦争までして手に入れたのですか?」
「まず傲慢だと思われてもその兵站、兵の大半は我が領土からのものです。それでも連合軍であったのは確か。その点で答えさせてもらうと、そもそも半島での戦争は鉄資源の安定した供給のためです。それは独立した国家でも可能では?」
「確かにそうですね」
「将来それが脅かされるため起こした戦争です。そのついでに満州地域に存在した高句麗と扶余が南下政策をとるのは間違いないためそれをついでにつぶしてしまうためです。中華の干渉、高句麗の南下。これらが無いなら鉄資源は安定して供給されます。要するにすべての海外領土はこの安定した供給のためで、従属国にして税金を吸い上げるための戦いではありません」
「もう1つは親日国家にしてしまって我が国の安全を脅かす事がないようにです。なおかつそれらの戦争によって我が国が多大な損害があったでしょうか?」
無言である。そもそも大半がうちの負担だ。
「ただ確かに惜しいって気持ちは分かります。問題は日本人が少ない点です。こういった海外領土はほぼ間違いなく反乱がおきます。それらの鎮圧の軍事費用は領土が広いほど莫大なものになります。基本的に領土は地続きが望ましい。ですが、我々は強大な海洋軍を持っています。そのため海も陸と同じように扱っていいかと思います」
「問題は、海を越えた先で多大な反乱勢力が生まれてしまう事です。だから本来なら東方のアメリカ大陸も問題があります。ただ北方の海峡から近いため西海岸部だけは陸続きのように考えて良いのではないか?と思っています。今すぐ決めなくていいんですよ。これから様子を見つつ決定すればいい事です」
「次に内向けのものです。初等教育を終えたものたちで裕福なもの優秀なものについてその上の教育機関を作ろうと思います。我が領で進めている科学教育の国家機関を作ります。最終的には彼らを科学者として国家で雇い入れ研究開発をさせます」
「それは何ですか?」
「ええそうなりますよね。だから皆さんのお子さんを我が領以外にも参加していただいて教育していたわけです。家ごとで彼らに教えてもらってください。一言で言えるようなものじゃないです。将来的には実学だけじゃなくて、物語、詩作、音楽、絵画など文化的な支援機関も作ろうと思います。ただこれは大切な国家予算を使うわけですから後回しにします」
「後外国語だけはすぐにやらなくてはいけません。これらの教師は現地の人、私が抱えてる語学堪能な船乗りから選抜したいと思っています。現在これらはすべてうちの家臣たちが担ってますが、やがて海外への渡航が増えればそれぞれの家でも必要になるはずです。高等教育はこれら専門分野でわけて行うという形でいいかと考えています」
「続いて、領土の廃止と責任者の世襲の禁止ですね」
これはざわめきが大きいな。
「勘違いしないでください。将来的にの話ばかりです。私はあまり宰相として朝廷にかかりきりにはなりません。部下が方針の補助をしていきます。専門的にやらないことが多いのでわざと将来的なものばかりを上げています。今現在すぐやらないといけないのは、これまでの朝廷での議題で私も良いと思っています」
「私が陛下から進められていたが固辞していた宰相になったのは皆さまではできないことをするためです。これまで話したことを聞けばわかるでしょう。絶対に皆さんからこれらの話はでません。能力がとかじゃないです。立場的に出て来るわけがない発想だからです。じゃ皆さんの不利益になるか?と言うと、なるかもしれませんが、国家の利益には確実になります」
「あえてきつい言い方をするならこれらの事に反対するのは私利私欲をたくらむ国賊だと私は思っています。だが今すぐは反対して良いのです。これらは国家100年の計でたてたものばかりです。様々な国家において未来において問題が出るのは社会が変化してるのに古い制度をそのまま押し通すからです。将来的な変化を読み取って先に準備しておけば混乱後国家崩壊は避けられます」
実際無理だけどね…。未来を知ってるからだからね。
「未来において領土をそのままにすると結局内戦に陥ります。軍事権を取り上げても治安維持の部隊を拡大解釈して軍隊にしてしまうでしょう。自分の土地は問題が無いですが、自分の領土って考えは大きな問題です。ただそれをいきなり取り上げるとなるとそれは強引だと私も思います。だからまず農地解放から始まるのです。農地を開放してしまえば領土に意味がなくなるからです」
「今ならできます。皆さんも内乱を引き起こしたいとは考えてないでしょ?ですが、あなた達の子孫は多分違います。今思ってる国家統一後の安寧と理想の精神は廃れてしまうでしょう。だから今の時代の人間が将来の子孫たちにくぎを刺しておくのです。後はとりあえず領域や領土の意味を無くしますが、領主にはそのまま皆さんがなってもらいます」
「ですが、将来的にはすべての地域は中央政府の代官によって制御していく事になります。その根本が世襲による腐敗の防止です。代官も腐敗するでしょうが、世襲よりましでしょ。ちなみに漢や西のローマも似たような制度です。それほど突飛なものではありません」
将来的と言う事で大きな反対もなく落ち着いた。何よりこれも反対する立場があるとしたら我が家が一番大きな被害を被るからな…。
「日本が目指す国家としては法治国家を目指します。これも突飛な事ではありません。秦から漢に続く制度と似たようなものです。ただ違いがあります。大きな基本方針と具体的な小さな裁定のための法を別にします。憲法とその他の法ですね。具体的な方は、じっくりやりましょう。ですが憲法は私が大まかに定めます。時代と共に修正してくれればいいです」
日本国憲法はちと進みすぎてるので、人権とか未来の概念は省いてかなり雑にして聖徳太子の和を軸にしたものにしておいた。あまり時代を先取りしてない簡易憲法であったのと、すでに漢と言う国家があるのでこれはスムーズに進んだ。
「朝廷はいずれ大きな組織にするつもりですが、そのための人員に全くの平民を採用します」
おおこれは騒ぎになったな。
「ああ皆さま、私の一族を含めて排除するってわけじゃないです。貴族院としてこれまでの朝廷の氏族は存続させて、別に平民議員による衆議院を作るつもりです」
「馬鹿げてる」
誰だかわからないがそれぐらいざわざわしてる。
「今は馬鹿馬鹿しい話ですが、あくまで将来においてです。理由を説明しましょう。いずれ平民にも力の持つものが出てきます。わざと私がそうなるようにしてるからです。その理由は、国全体を強くするには平民も強くならないと駄目だからです。もう1つはね将来第2の宗像が現れないようにです」
しばらくざわざわを放置した。
「何か勘違いしてるかもしれませんが、宗像もいずれ領土を失います。第2の宗像と言うのは武力と領土を持った大勢力を作らないって意味です。軍は統一しますが、治安維持の組織は国の統括にはしますが、彼らを囲い込んで私兵とするようなことが絶対ないとは言えません。その時平民たちが協力しないようにです」
「身分としてやや特権階級は残すつもりですが、平民たちが日本を良くしたい日本に尽くしたいと思うようになるには政治に参加させないと駄目です。かれらは一部の私利私欲を満たす領土を支配するものを認めるわけがありません。宗像以外をつぶして宗像が権力を独占するためならこれはおかしいでしょ?」
ざわざわが収まった。考えればわかるよな。
「まるで未来が分かってるようですね」
「そうだと答えたらどう思いますか?」
再びざわざわが。
「この会話が何か歴史に残るなら興味深い対話になるかもしれませんね。私が未来が見えている2つの理由。1つは不思議な力が宿っている。これは誰にもわかりません。私はそれを神の力なんて絶対言わないです。何故なら、ひらめき直感と言うものはすべて神の力なのか?と言うと違うでしょ?私はそれを神の力と言うのは嫌なんですよ」
「もう1つはきちんとした思考です。皆さんも1日2日なら未来の予測をするでしょ?それと同じです。後は後の歴史が今会話を興味深い話として取り扱ってくれるのを期待します」
「続いて天皇家に関して、専門の期間を作って祭事に関する財源の確保に努めます。これも将来においてです。今はなんとなく天皇家の私毎と政を同一視していますが、これらの事が将来どうなっていくか?と考えると天皇家が困窮する可能性があると考えています。祭事は産業じゃないですからね。今は天皇家の財源で賄っていけると思いますが、天皇家が事業に失敗するなどがあり確保できなくなったら?」
「それでも私は日本の国の中心として天皇家にまつわる様々な事は存続すべきだと思います、皇族の方が簡素にするなど工夫してくれればいいかと思っています。外部が抑えるけるようなのはちと不味いかなと思っています。ただ陛下とも話したのですが、殉死とかで集団で死ぬとかやめてくださいね…。個々で勝手に死ぬなどは良いですが、同時に死んで墓に入るとかさすがに」
「ああ余もそれはもうやめた方が良いと思っていた」
「ええ何もかも絶対残すべきだとは思いません。その点は話し合っていかないといけないと思います」
「後宗教に関して、神への信仰とそれ以外と分けて研究する組織がいるなと思っています」
ざわざわが増えてきな。
「これも未来の話ですが、私にとっては未来の話じゃないです。様々な海外の宗教が今後入ってきます。それに対して排除や抵抗が当たり前だと思ってるでしょ?無理ですね。そこで前もって海外のものの日本のモノを調査しておいた方が良いです。2つを分けてるのは、中華の向こうにある仏教と言うものが信仰とそうじゃないものが混ざってるんですよね」
「これを皆さんが知らないから困惑してるんだと思います。私は神への信仰以外にも宗教はあって当然だと思います。代表的なものとして死とどう向き合うか?は必ずしも神への信仰がすべての納得するものじゃないでしょ?死に対してどう向き合うか?の教え、それが宗教のかなり重要なものだと思います」
「神への信仰とそれ以外を分けなくてはいけないというのは様々な教えに触れればいずれ分かると思います」
「後日本の平和のために様々な手を海外に打ってますが、これは具体的に大きな力が必要になるまではまあ議題とするほどじゃないでしょう。予算だけ調整して軍部に任せて良いです。軍部を制御するのは私たちなのですが、新たなものが発生するまでは現地での軍部にこれまでのものは任せた方が良いです」
これに関しては実績があるためそれほど問題にならなかった。
「後は思い出したらまた話し合いをしましょう。とりあえずは以上です。私はあまり朝廷には参加しません」
「何を言ってるんだ」
こいつらたまに言葉が荒くなるな。どう考えても陛下を除けば私が国のNO1だぞ。まあいいけどね。
「一族のものがこれまで朝廷に参加して十分に機能してると判断してるからです。私が参加したのは一族の頂点の私が言わないと反対が絶対多くなるものだからです。そして今すぐやる必要はないんですよ。だったら他の事は一族のものでなんとなります。私が参加すると今すぐやろうと努力してしまいますよ…」
「いずれ私事以外はすべて明らかにしていくつもりですが、あまりに多岐にやる事が及ぶため。中華のような宰相を務めるのに時間を作るのは無理だと判断したためです。例えば私が絵を描いてるとします。これがものすごく将来日本のためになると言っても誰も同意しないでしょ?」
「私そういう専門的な事やってるんですよ。本来なら部下に任せたいのですが、人が育ってなくて政治だけに集中できない。これも話しておくべきですが、戦争の形が大きく変わります。兵器の開発競争こそがそのきもになります。それらを開発すれば勝てる、だがそれを開発できる人が国の政治で重要な地位についてる。じゃどうすればいいのか?」
「一部は皆さん知ってると思います。宗像に反抗して戦いで従ってくれた一族も多いからです。今あんなものじゃないです。いずれ海外でも真似されます。その時どうするんですか?最終的には技術競争が終わりを迎えます。進化はずっとしますが、大きな差がなくなってきます。その頃私は死んでしまってるでしょ…。死ぬまで強国日本を支えるために開発せいって事です」