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 19歳になった。食料が国内は余剰ができるほど。海外もかなり余裕がある。これを利用して中国の移民をさらに進めた。いくら食料があってもいい。ただそれでも国内は農業の人員を減らして工業化を進めていかなくてはいけない。まずは機械化だ。食料生産が飛躍的に上がったのが大きいが、それと同時に機械化のおかげも増えてきた。


 中国の移民ですでに海外に根付いた者たちの中で家を継がない子供たちを本土奪還の兵士に使っても良いと志願がかなり増えてきた。ただ銃はどうしようか悩んでいる。海外領土の銃兵と日本の最新鋭の武器を持った部隊で十分な気がする。中国を本格的には占領する気が無いので、その後銃が溢れるのは都合が悪い。


 満州などは中国が敵に回るのを想定しなくてはいけない。もちろん安定した政権に協力するつもりだが、どうなるか?分からない。現代でもあそこはややこしい国なんだ。日本が押さえつけてなんて面倒で仕方ない。まずは海外領や日本訓練を積んで、その後中国に送り込む。すでに一部は始まってる。


 現地に潜り込んでる日本人の部下としてじわじわと清廉派の上層部に食い込んでる。特に重要なのは彼らには兵役の前に日本式農業を叩きこんでる。屯田兵となり、今は山東省をやがては南を占領して清廉派の独立国にするつもりだ。今はできる限り食糧支援してるが、いずれは自給自足で回っていく国にしていきたい。


 まだ山東省を反乱を起こして完全に手に入れたわけじゃないので中々自由に農業改革で来てない段階だ。その前に公孫氏から海岸部を奪取する計画が先だ。こちらはじわじわと準備しておけばいい。それでも、本来起こる乱の時期は大幅に繰り上がるはずだ。遅れれば遅れるほど相手が弱体化するので、全く焦る必要はない。


 確か公孫氏も反乱討伐に加わるのでこの勢力を丸ごと削れる可能性がある。反乱に加わりそうになったら圧力をかけてやろう。間違っても不可侵条約は結ばない方が良いな。敢えて緊張状態にする。



「花香様徳丸様から手紙です」


「ああ」


 うーん、全面的に全決定を任せると言うのが全体の文章から分かる。確かに難しい判断じゃないんだよな。それよりも現地の状況がすぐに分かる現場ですべて決めてしまった方が都合が良い。後はすべて事後報告で良いな。とにかく農業生産があまりにも上手く行って完全に騎馬民族の色を集団から排除することに成功した。


 米も不作なくずっと取れてる。だがこれだけは徳丸様の判断に従っている。徳丸様が言うには、米に拘る日本人はあかんと常々話していた。ギリギリの北限で栽培するのだが、それは冷夏の被害を受けやすいと、常にちょっと南の温度の高い地域までで余裕をもった栽培を心掛けている。いつ北上するか?はすべて寒冷地用の品種改良の結果だと。


 今この東北地方の稲が最も寒冷地に適している。ここからさらに寒冷地に向いた稲の改良が出来たらここでの栽培の問題ないらしい。要するにこの手の専門的なものは徳丸様の判断が大きい。軍事も専門と言えば専門だが、自分が一応専門家なので。だが自分は船乗りなんだがな。


 海外の現地統括はすべて船乗りがやっている。以前本国の軍事の兵士も来たがやっぱり海軍と陸軍があまり分かれてないので、結局船乗りが上官だった。うちの軍人で上層部で陸軍専門っているのだろうか…。陸軍の上官が居ないわけじゃない。ただ大体は海軍の下の位置になる。それと言うのも徳丸様は軍事の専門家より王のような権限を自分らに持たせてるからになる。


 その時部下が大体船乗りになりやすいので上官としてどうしても海軍系の人物になりやすい。がちがちの陸軍上官はその下につくことになってしまうのだ。国内の場合どうしても徳丸様が最上位となるので、全体を統括する陸軍の将軍のような立場が必要が無い。まあもうこっちの判断で侵攻した方が良いな。


 ただ徳丸様からの判断はないが、こっちから知らせないと不味い。援軍に来てくれる。いよいよ結構の判断をしたためそれだけ送っておこう。


「準備は大丈夫だろうか?」


 皆にいよいよと話をしていた。


「はい」


「ただ日本から援軍が来るためそれを待ってからとなる」


 時間がかかりそうなものだが、うちの船については自分はかなり詳しい方だと思う。大型の船でえ大量輸送するんだろうな。こっちが主力なので多分少数精鋭のはず。その後日本からの援軍が到着した。やはり少数精鋭は間違ってなかった。参ったな、満州軍はちょっと期待外れだと思ってる。


 兵数じゃないんだよな。戦いになればわかるか。なんだあれ?自分もこの部隊よー分からんわ。馬車みたいのが出てきた。


「これなんだ?」


「はい、戦車と言う中華で騎馬が主流となる前に主力だったものと同じ名前ですが、動力が船などに使うものと同じです」


「馬がいらない戦車?」


「そうなります。ただ2つほどそれだけじゃない機能があります。大型の鉄砲、小型の大砲みたいな砲が付いていて、かつ弓なら寄せ付けない防御壁が全体に覆っています。車輪は怪しいですが、壁は火縄銃程度なら多分はじきます」


「な、意味がないのでは?」


「将来を見越してです。ただし、弓が防げるだけでもかなり大きいかと、何より大砲の弱点であった機動力が高いのと、大砲を打つときの兵士の安全って点でかなり強力な武器になるのでは?と見ています」


 言葉には出せないが、友好的な海外領土に火縄銃を生産させてるが、その時役に立つな…。本人達目の前にして言えないが…。他にもわけのわからん兵器がいっぱいある。そういえばこの国大砲無いよな大砲自体も持ってきてるな。まあうちの日本人部隊がもってるから十分な量はあるか。何せこれからは防御施設を落とす戦いが多いはずなのでかなり重要だ。


 当初は食料も日本からの援助との計画だったが、おそらく短期間で終わるのと潤沢な食料を戦争用に数年蓄えていたため余裕すらある。そもそも以前この国を立て直すときに協力してもらった食料を返してない。そのため十分に食料があるのなら頼るべきではないとの意見が多数出てるが、自分たちのは違うが今回遠征してきた日本の食料は日本もちだ。


 半島の軍隊もこっそり到着してる。一応不可侵は破ってない。これ破ってもいいのだが、これより半島は軍事的条約の信義が日本としか意味がなくなるから。ただ将来どうなるか?分からないので歴史反故にしてないとして損はない。


 総勢3万ほどの軍隊だ。中国の戦いでははっきり言って少ない。ただ焦る必要が無いのに待たないのだ。勝てると踏んだから。相手の軍隊は大体わかっている。ただ漢の援軍が無いとしての勝てる兵数にすぎない。だがその援軍があるならいつまでたっても勝てない。来ないと見てるんだ。


 来るなら半島の時来てるんだ。あの時来なかったのに今来るわけがない。いつ来るのか?で公孫氏を下したときだ。だからわざと公孫氏を残す。南下を始める。そして相手の砦にたどり着く。問題は万里の長城だ。


 あれ?思ったほどじゃないな。油断させるためあまりうろうろしなかったので遠くからしか分からなかったがこんなものなのか…。これなら楽勝だ。良彦が徳丸様に伝えたローマの長城と変わらんな。まあそれを聞いていたから行けるとは思ってたんだが、まあ考えればわかるが、ある程度参考にはなる馬鹿げた距離の壁なんて函谷関みたいにはならないよな。


 万里の長城をあっという間に突破した。兵士とか寄ってきたが、まあ速攻片付いた。こんだけ長い城壁だ。当然時間がかかるからあっちこっちから寄ってくる。だが一瞬で穴開けてしまったので、兵士の数が足りないんだ。今回は数が少なかったので、逃げた兵は追わずに後は皆殺しになってしまったが、この先捕虜とかどうしようかな。わんさか、海外に送りたいのだが…。


 そうだ以前九州戦役で一時保管施設造ったな。奴隷とかやめてほしいので全部こっちがもらうことにして、そういう所に貯めるか。反抗的なやつはこっちで奴隷で良いわ。さて後は砦とか城とか出てくるだろうな。展開が早すぎて多分野戦にはならないな。


 あまりに順調であるため罠なのではないか?と思い始めていた。そのため現地人の部下にきいてみた。


「砦に分散して各個撃破してるが、これまとめて反抗した方が効果的じゃないのか?だから何か誘導されてる罠なんじゃないか?と疑ってしまうのだが」


「その事についてですが、捕虜への尋問と事前の戦力調査からありえないと見ています。だって確実に戦力が減っています。こんな罠しかけるって馬鹿ですよ。捕虜の尋問から罠の可能性はほぼありません。そこで考えてみたのですが、こちらの常識と花香様たちの常識がかけ離れてるからじゃないでしょうか?」


「えそうなのか?」


「本来なら前線近い砦で粘っているうちに分散した兵が集まって集中する時間が生じると思います。それが無いためかと」


「ああなるほど」


 原因は2つかな。1つは防御陣地が圧倒的火力であまり役に立ってない。防衛戦略がガタガタになるわな。後本来鈍足の砲兵がやたらと機動力が高いことだな。これは戦車じゃないが、動力と組み合わせる事で機動砲兵になってるからだろうな。これは思ったよりも楽勝かも。兵数が若干微妙だった。


 ただそんなに問題ないかも。集結するだろう決戦部隊の数が案外大したことないかも。これは戦略の練り直しだな。敢えて分散して攻撃しよう。おそらく連絡も全く進んでないはずなので、各個撃破で集結部隊を徹底的に減らしてから大軍決戦に挑むとするか。部隊を変えて運用だ。まあ日本人が皆無じゃないので、砲兵部隊の日本人を分けて現地兵と組み合わせるか。


 多方面に分けて進むことになった。これある意味電撃作戦になってしまった。本当は防衛前線を突破して本部を急襲するのだが、これ最終的にいち早く中心部に行くので似てるかも。徳丸様が語っていた戦車を10台ぐらい一部隊に配属できるならやってみたいと言ってた作戦だ。


 ただ本隊が基本戦場にあるためそこまで厚い防衛陣地を意識しなくていい。将軍大将への攻撃より王とか首都への急襲作戦になると思う。まあどちらにしろ今回は多面展開した部隊が最終的に各地に散った敵が集まる中央部に集結する。そんな綺麗に集まるか?なら絶対集まる。集まらないなら河口部に拠点を築くまでだ。


 おそらく公孫氏はいずれ戦略目標に気が付くと思う。あからさまな南下作戦を取ってるのだから。ただ最初から分かっていたら砦に分散して兵を置いてない。あっちこっちに接してるため、どの方向にも対応するためだと考えられる。それが絞れるなら、そちらに集まるはずだ。


 ただ領地を取られてからもう300年は経過してると思う。そのためすぐには気が付かないと思う。この目的が満州人の領土奪還作戦である事には。各地の防衛拠点を破り、公孫氏の兵力を大量に削って河口部付近の平野に戦力を集中させた。この戦い勝ったな。どう見ても事前に調べたおおよその兵力がもういない。


 戦車以外にも兵站のための輸送トラックを大量に作ってある。これ土木作業に使ってるのを徳丸様が回しくれたようだ。これらを使用して運んだ様々なものを帰りは捕虜に使った。これで大体相手の戦力低下を把握している。海外領土への捕虜に移送は何度も行ってるため。その手の仕組みがかなりしっかり出来上がってる。


 いよいよ決戦の地だ。籠城するのでは?だが函谷関のような場所があるわけでもない。なら大規模な軍を運用するには野戦での決戦が良い。相手は自分達が思ったより減ってることは知らないはずだ。それらの情報が集まる前にこちらの進軍速度が速すぎるんだ。おそらく相手の情報伝達では全容が分かるのは我々の軍の到着より早くは無理だ。


 陣形としては特に工夫が無い。あるのは兵の種類だろう。戦車をまず前面に出す。砲兵はやや後ろ。機動力はあるが、防御力はない。後は大規模な地元で作られ訓練した火縄銃部隊だ。のこりは古来からの槍や剣などの集団だ。後散発的な狙撃部隊と騎馬狙撃、騎馬拳銃突撃などだ。


 いざとなったら両手突撃銃騎兵も作れるが。そこまで高度な騎乗技術いらない。なるべく片手銃で強力な短弓のような扱いが望ましい。両手持ちの小銃ライフルは止まって撃てばいい。後数は少ないが日本軍の小銃機関銃もなるべく全面に出さないと。これらも散発部隊で良い。効果的に薄くなるところを補っていくつもりだ。


 戦車の機動砲弾で始まった。当然古典的戦車でこんなもの当たるわけがない。大事なのは高い防御力を備えた集団のこじあけや、いざとなったら勢いつけてひき殺せばいい。馬よりは突進力がある。こりゃとんでもないな、戦車数台で蹂躙は無理だが、相手の集団の壁に穴をポンポンあけてる。そこから歩兵の侵入や銃撃による追加攻撃で相手の集団は集団としての機能を果たしてない。


 集団による壁が作れないということは、近接武器でも各個撃破されてしまう。さすがに全軍に火縄銃配備は無理だ。それでも相手の集団が上手く壁を作れないため脆弱防御の敵を囲んで確実に殺してる。


 あっという間に戦闘が終わった。当然全滅なんて無理。相手が逃走の段階になってる。撤退ではない。機能的な撤退なんてできないのと、指揮官クラスを確実に狙撃してるのも大きい。河口を占領して、あえて追撃を行わずに、河口の西側を放置していいくつか砦を作った。騎兵だとざる防御になってしまうが、そこが騎馬民族と違う。


 そりゃ小さな集団なら中国でも十分騎兵は存在するが、全軍騎兵とかの草原民族と違う。国境線を早々と作ってしまった。もう安心だ。漢の部隊が例え援軍を出してもこれなら守れる。ついでに海岸沿いの嫌がらせをしてやろう。イギリスで良彦殿が確かそんな戦い方をしていたはずだ。ある程度徳丸様から聞いてるため真似しよう。


 後はしばらくして日本軍を縮小するぐらいかな。半島は確実に縮小しても良いな。同盟国なのでいずれは中国の戦いに多少は参加してほしいが、今までのような公孫氏に対する軍は必要が無いはずだ。公孫氏が独立勢力として存在し続ける限りは、これからは草原民族への対応をもっと厚くするべきだ。その点でまだ満州国の軍隊は減らすわけにはいかない。


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