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 花香から文が届いた。思ったより早く進行できる体制が整いそうらしい。想定より兵士をすぐ育てられるそうだ。反抗的かな?と思っていた元高句麗扶余の農民兵達が従順で即戦力になるらしい。騎馬隊が強かったけど、それでも強国2国の歩兵なら即戦力だろう。むしろ鉄砲の生産が追い付かないようだ。


 思ったより兵隊の数が多いが、これは妥協しないでほしい。確かに寡兵でも戦えるように考えたものだが、一瞬で終わらせた方が良い。防衛戦争じゃないため高い士気が期待できないので、できる限り被害を減らしたい。なら何故無理をしてまでやるのか?なら、まずこれを軸に自衛軍をしっかり作りたい。おそらくこれ以上の侵略はない。中華の中心部に侵入するのはやめた方が良い。


 黄巾の乱において援軍は頼むかもしれないが、それはこの戦いで得た地の有用性をかみしめてからだ。その価値が分かるまで数年はかかる。後は、将来的に日本軍の完全撤退のためだ。そのため強大な軍事力を持っていないといけない。おそらく新着戦争はしないだろう。草原地域に出てもうま味が無いんだ。


 じゃ中国は?日本の協力なしには無理だ。


 頼んでおいた軍服の試作品が出来上がった。後は使用してみてかな。軍事訓練に使用してもらうことにした。最初は戸惑うだろうが、絶対後の和服や今の服より良いから。問題なければ大量生産だ。


 世界中の遠洋の航路を大半握ってるため、さらにてん菜の品種改良のため栽培種を探していて、やっと現代のものにかなり近いかけ合わせができる品種が見つかってかけ合わせものの成果が出た。寒冷化のためおそらく東北でも可能だろう。東北はすっかり輪作農業に転換してるので砂糖は現地でまず使用されるだろうな。


 中国の東北平原でもこれは目玉になるはずだ。これは科学班の重大な成果だな。ただてん菜の種や苗を集めてくれた交易の連中の成果でもある。探検的航海は今はやってない。だから交易の合間に有用なもの集めてくれてる。もう未知の場所って南極北極ぐらいだよな。一応伝えてはあるが、南米の南端行った連中なら行きたいと思わないだろうな…。


 様々な地域のモノを集めて掛け合わせるというのがこれで進むようになった。元は私が始めたことだけど、これは他の作物でも有用では?と気が付いたようだ。これ案外最近の研究になる。理由は、世界中の別の地域のモノをかけ合わせるって大航海時代の後じゃないと考えられないから。


 すぐに綿花が試された。綿花は起源的に一部の地域から広がったものじゃない。そのため地域による変異差が大きい。元々小麦の緑の革命に近いことをしようと私が始めたことだけど、あれだけはすぐにでも必要だったのでやったが、緊急のモノ以外もこつこつ手を付けてるようだ。後小麦もじわじわと進んでいる。背の低い種の選別と多収量種の掛け合わせが重要と方向性が見えてるからだ。


 FPR船創りたくて、焦ってたが、ガラス繊維ってそういえば手動でも作れた。まずはそれを機械的に作る事からはじめないと。そこでガラス職人と協力して、ガラス繊維を作って見せた。溶かして伸ばして巻き取るってのは機械じゃなくてもできるんだ。これを技術者に見せて、この工程を自動化したいと話した。


 後ガラス製品も機械製作考えていくべきだよな。まあもっと技術が発展してからだな。樹脂の吹付は、手塗りと比較して、それほど画期的程の作業効率じゃなかったと思う。あった方が当然便利だが、手塗りの十分現役だった。吹付は手塗り船が作られるようになってからじっくり考えれば良いや。FPR船にとって必須の技術ではない。


 以前からやってた火花無線機の距離がじわじわ伸びてきた。発信と受信のアンテナを工夫したのが良かったようだ。ただいつまでも火花無線機じゃダメなのと、後は電磁気の理論の方がしっかりしてないのに技術だけ高めても苦しいものがある。


 電池などで電荷を与えた玉2つ用意した装置を作る。クーロンのねじり天秤である。


「皆さん見てください。これからクローンの法則について話します。何故クローンか?はあまり問わないでください。いつもの事です。電荷を与えた2つの玉この器械に入っています。距離を上手く変えられます。何のための器械か?と言うと、2つの電荷と距離の関係についてです」

「結論から言うと、ひかれあう力の場合、2つの電荷の積に比例して、距離の2乗に反比例します。でね、君たちにはこれを実際確かめてほしいわけです」


「えじゃ何故分かったのですか?」


「ふふ、まあそこも突っ込まないでー。ちなみに比例には定数があり、これ2プラスxです。小数点だと思ってください。これ実験の精度で変わります。より良い値が調べたいなら、別途やってください。今回のこの主題は以前も話しましたが、電気はとにかく定量的なものが数多く見つけられます」

「これまで定性的に電気とは何か?をいろいろと見てきましたが、ちょっと前から定量的に計るのを重視してほしいって言ってたので、その中でかなり重要な法則を調べて欲しいなと。後はこうやっていろいろと計る事でどんどん皆さんも法則を見つけてください。それも言いたくて今回の話しました」


 しばらくしてまた電気の話をした。マクスウェルの方程式にはいくつかの前段階の法則がある。これらをベースに出来たら自分たちでたどり着いてほしい。


「今回はガウスの法則について。クローンの法則と似ています。数学的により洗練されたものととらえればいいのと、後は最も重要なのは電束です」


「なんですかそれ?」


「クローンの延長にあるのは、クローンの土台である電荷と言う電気的なものがあるとします。この電荷から発せられる光のようなものと思ってください。単位として1クーロンにつき1束の電束って考えます。そして電束密度は電荷の点を中心としたある距離まで球の表面積に反比例します。それゆえにこれらの数式は積分であらわされます」

「後これらの磁力についての法則も同様になります。それら2つがガウスの法則の電気と磁気のものになります。もちろんこれは計測して積分の計算してもらいますよ」


 引き続き調査をしてもらいながら、日を改めて、最後の法則に移った。ファラデーはすでに伝えてるので、そこから発展してほしい。


「数日にわたって続けてきた電気分野のとりあえず最後の講義です。ああもう電気分野やらないじゃないですよ。皆さんの研究を充実させるのもありますからしばらく休憩です。アンペールの法則です」


 右ねじの法則を指を使いながら説明した。数式も交えて。


「これらの数式は、電気と磁気が関係があるものだとする根底から導き出されています。電磁誘導をすでに技術的に応用してるので皆さんは意味は分かってると思いますが、土台に量的に扱う事をこれからは重視していかないといけません。だからかなり重要なこれらの数式による法則を教えました。皆さんは独自でこれらの数式が正しい事の追加の計測を行ってください」


 タネはまいた。マクスウェル正直苦手…。待っても出てこないと言わないといけないかもしれないが、説明が苦しくなると嫌だから出来たら自分たちで発見してほしいな。


 陛下と話していた。よく考えたら、ずっと寒冷化対策してて、全く余裕が無くて貨幣に全く手を付けてなかった。何が工業化だよ。その前に貨幣制度いるだろ…。実は領内では余裕が出てきてから実験的にやってる。それを広げていいか?と陛下に話しておきたかったからだ。実はうちは外貨をたんまり持ってるのでいざとなったら中国の貨幣使えばいい。


 ただおそらく日本はこの先、世界一の国になる。その国が史実のように中国の信用を使う必要はない。正直あの国根本的に国が変わるから貨幣がころころ変わるんだ。宋のお金、明のお金とかどっちも使えたから良いけど、アメリカドルのような安定感は全くない。まあ使ってるお金中国のパクリっぽいけどね…。


「どうですか陛下?これがうちの領内でずっと使ってきたものです」


「これ良いね」


 これ安直じゃない。うちの鋳造技術すげー高いからだ。一目でこれ以上のもの作れないと分かってしまうから。あっという間に決まってしまった。正式に日本の貨幣となるにはしばらく流通させてからとなる。だから陛下と二人で話した。いずれは十分浸透したら、なし崩しに朝廷で話し合って後追いの承認をしてもらうつもりだ。


 当分やる気が無かった京都の遷都の準備をしようと考えた。貨幣経済を中心としたモデル都市を作る。まずは開発を行う労働者向けとなる。ただこれが難しい、一時的な労働者にすぎないからだ。都の周りに野菜とかを作るか?この手の労働者は農家の次男3男のあぶれ物が多い。それらに都に特化した野菜作りをしてもらう。


 まあこれは並行してやっていこう。最終的には労働者の中で希望者に出来る限り畑を与える。米は作らない。それは都の近くじゃなくていい。貯蔵が難しいものを中心に都の消費財として近郊に商売向けに作る。ただ米を作れないってのは嫌がるかな?完全に貨幣なしには成り立たない農家。後は工業都市なども都からちょっと離れたところに作って、都にお金を落としてもらいに行ってもらう。


 米は逆に外から持ってくるのが都合が良い。幸い今かなり穀物に余裕ができた。そのため穀物を作らない農家があっても良いと思う。あくまでこの余裕が生む流れだと思う。本来の歴史ならありえない。いろいろ無茶したな。本来の歴史は、米が作れなくて仕方なく畑作になるだけなので米を作ってないだけじゃなくて、その他農作物も売る余裕なんて無い。


 とにかく全く急がないのでちんたらと小規模にやっていく。あくまでこれは実験がメイン。遷都自体はものすごく適当に進める。


 敢えて短期間で打ち切って、マクスウェルの方程式教えた。


「待つつもりだったけど、あえてすぐに打ち切った。不満なのか?と言うと不満はあるが、同時にこんなすぐ無理だって思いもある。不可能かと言うとそうでもない。この手のは天才と言われる人の仕事で、天才なら十分可能だ。君たちの中にそういった人がいないとは思ってない。別の機会に何か?とんでもない事やってのけるかもしれない。ただ今は待てない」

「焦りがあってそれで君たちの成長を妨げてる部分はある。それでもいつも思ってるけど、これを学ぶことで階段を上がってほしいと思えるので伝えている。この式どう思う?」


「どうと言われても?」


「私が何故これが階段を上がる重要なものになると思ってる?かだね。これはね、バラバラだった法則に関係性があるってのを見出せるんだよ。これからもこういったばらばらだったものを統一して考えるって事がまだまだちょくちょくあると思う。その時この方程式を思い出してほしいんだよ」

「原子についてもそうだよ。あれもバラバラだったをまとめて何か新しい研究をしたわけじゃないのに、まとめた視点でとらえた理論ってちょろちょろある。特に電気系は計測実験だけじゃない。いったん立ち止まって出てきた事実の関係性を新たにまとめるって作業がとても重要になる」

「犠牲の部分を話しておこう。何度も言ってるけど、僕が君たちに求めてるのは、僕が教えるって形じゃない。自分たちで新し法則をどんどん見つけてほしい。じゃ僕は何もしないのが一番なんだ。新しいものをどんどん僕が与えてしまうから。それを考えてるだけで、次のものをまた僕が与えるからね」

「ただね、これだけは根幹の根幹って部分だけは話して言うから。同時に時間経過を焦ってるからね。有機化合物が社会に浸透したら多分ものすごく気持ちが楽になる。科学の成果だからね。ごめんねまだ製品化でいろいろのんびりになってしまってるナイロンだけでもそれなりには利益あげてるけどね」


 モータリゼーション規制とかするつもりは全くないんだけど、運輸目的の自動車利用は全く熱心に進めない。単純に生産力の問題。それ造るなら戦争で使うトラックや戦車作る。鉄道網が先だと思う。で、それを補う意味でせっかくエンジン作ったので、河川のための船を大量に作ろうかな。


 大きな川なら帆、小さな川でも魯で進むことも可能だけど、日本って狭くて急な川が多いからな。やや小型の船で動力でガンガン上っていくのはかなり効果的だと思う。河川や沿岸を利用した船舶網を作ってしまおうかと。いずれお払い箱?多分そうなる。だって現代日本にそんな船無いから。自動車道路網がとって変わったんだろうな。


 ただ船自体は、海で使えるので発展して困るものじゃない。商売としてやると困るかな…。船舶運輸の商売を徐々に切り替えていくか。なるべく問題が少なくなるのででうちでやるか。


 真空管を作った。突然?と言うとそうでもない。これ電球の仕組みとほぼ同じ。


「今回はこれ、本当はね、ちょっと急ぎすぎてる。でもね、電気分野がかなり物足りないんだよね。科学全体としてはちょっと急ぎ過ぎてる。でも電気はそうでもない。それでちょっと無理やり進めてる」


「これなんですか?光を灯すものじゃないんですよね?」


「そうだよね。これ分かりにくいよね。一つ分かりやすい機能は整流機能がある。電流を一方こうしか流さない。意味わかる?」


「交流、直流ですか?」


「そそ、まあまだいろいろ必要だけど、とりあえず1つは交流直流の変換がこれで可能になる。でももっといろいろ機能がある。それはまあ皆で探ってみてほしい。ただ今回出したのは、以前有機化学で部品の話をしたと思う。部品の考え方。電気もこれがとても重要。と言うか有機物よりは呑み込みやすいよね」

「電気を使っていろんなものを作る時。0から作るより部品を線でつないで作っていく組み合わせの方が良いと思う。そのための部品の1つかな。こんな大掛かりなものとなるけど、これ整流以外も機能があるのでこんな大掛かり物だけど、重要な部品になるので決して特殊な部品ではない。まあどう使うか?は見つけて」


 次にクルックス管と言う陰極線を放出する管を用意する。これほぼ真空管と原理は変わらない。大事なのはやや高電圧を発生させる点だけ。そのための装置を誘電コイルで作っておく。


「次にこれ。ただし、これを使う前に使用するのがまた良い部品なので説明しておく。これ電圧を変化させられる。変圧器とでも呼んでくれればいい。ただし交流だけ。コイルの巻き数で変化する」


「あそれひょっとして電磁誘導じゃないですか?」


「良く分かったね。ただそれなら直流でも可能じゃないかな?他にもあるからそれも調べておいて。何故交流だけなのか?をね。ヒントはね、直流の磁界発生って、変化によって生じるものでずっと安定して生じるわけじゃないんだよ点滅器を入れた後は時間がたつと弱くなるんじゃないかな」


「それほとんど答えじゃないですか…」


「まあ完ぺきに安定した直流ってそう無いからね。変化が少なければ起電力は生じない。まあ答え述べてしまったので追試実験しておいて…。さあさあ陰極線実験だ」


 陰極線を黒い箱で覆って、鉛でアルファベットを作って感光版の前に置いた。


「はい終了」


 感光版にはAの文字が黒く写っていた。


「え、これなんですか?」


「まず写真は分かるよね。医療班を呼んだのも説明するから。これね光を遮断してるんだよ。それは分かるよね?」


「はい黒い箱ですよね」


「でも感光した。何故か分かる?」


「分からないです」


「目に見えない光みたいなものが出てるんだよ。光は黒い箱で遮断されるけど、それは透過する。医療班を呼んだのはこれ肉は透過するけど、骨にはやや透過しにくい」


「解剖せずに骨を見れるって事ですか?」


「そうただ実験はたびたびできない。どうしても見たい人はやっても見てもいいけど、何故皆を離したか分かる?」


「何故ですか?」


「危険なんだよ。すぐ死ぬわけじゃないが、毒だね…、もっと言えばちょっと離れて良いだけじゃない。ただ強烈なものじゃないので、弱ければある程度ましだけど、骨写すために手をかざすのはちょっと危ないね。いずれ研究してもらうけど、これ見えないからってガンガン研究してるとそのうち病気になって死ぬよ…。安全性の確保の研究と、安全性が確保されるまで、後は頻度を上げない」


「真空管やばいんじゃないですか?」


「あえて高圧にしたのは、そこまで高圧じゃなくても真空管は出るからね。もっと言えば電磁波すべて危険なんだよ」


 皆愕然としてる。


「ただし、毒として解毒されるものもあるでしょ?大半はその程度のものだから。体がある程度は修復機能がある。電球は抵抗によって光が発生するけど、直接光を見ると、光と電磁波って近いんじゃないか?って思った人いたら鋭い。その通りで光って電磁波の一種なんだよ。光の中で特に毒性の強いものがあって、それは人の肌を黒くする」

「あれは毒性の強い光を遮断するため肌を黒くして弾いてるんだよ。電磁波が危険と言うなら多分毒性の強い光も危険だと思う…」


「ああそういう意味ですか」


「まあ良くはないけどね。こいつはちょっと強すぎるから危険なんだよ。今日はちょっとやめておこう。いずれ自分たちで挑戦したくなったら骨写してみて。医療班も今回呼んだ理由が分かったね」


「はい」

「あのー徳丸様、これあまり関係ないように見えるのですが…」


「ああ装置が似てるからね…。これちょー重要な実験なのでついでやっておこうかなと…。装置が原理も見た目も似てるだけです…、真空管の電気回路の機能としてはまず使いません」


「危ないですもんね…」


「そう…」


 そういえばトランスって技術畑はもう知ってるな。彼らモーター自分で作ってるからな。この辺りもっと交流しないとな。モーターとかも突っ込んで科学者もかかわるべきだな。電球も技術者だけでやってしまった。この辺り大いに反省だ。両者の交流をもっと深めないと。


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