74
中国東北担当の花香は手紙を読んでいた。
徳丸様から様々な指示があるが基本任せただな。何故ここが満州と言うか良くわからないが、徳丸様はそう話していた。ただ中華東北方面ともはなしていた。うーん、ここ中華じゃないよな…。元高句麗扶余。朝貢してただけで中華じゃないよな。ただ確かに中華の東北にあるからってのは分かりやすい。
徳丸様は漢と言わない。理由はもうすぐ潰れるから意味がないと話していた。この辺り独特だよよな。徳丸様は細部は大雑把で大半自分たちのような方面軍の責任者に丸ごと任せてしまう。それでもだここぞってツボみたいなのを抑えた指示は恐ろしく的確なんだ。未来を知ってると言わんばかりの事がちらほらある。
未来もそうだが地域について詳しすぎる。あの人日本から出たことないよな…。やたらと海外の実情に詳しい。
公孫氏は独立した勢力なので漢からの援軍はないって見方。だから十分攻め落とせるって見方をしてる。だが占領はするなってある。完全に取ってしまえば漢がさすがに放置しないからって見方になる。だから敢えてこちらが欲しい地域だけ取る。この川が海に通じるその一帯。ここを抑えれば、川の水運を使えるし、海に出て日本半島ともつながる。
おまけに今秘密裏に侵食している黄巾党とも海でつながることが可能だ。今は考えなくていいが、将来的には日本が影響を強くした黄巾党の一部と海外に送った中華の民を使って捲土重来の親日本となる領域をちゅうかにつくるそうだ。こっちが本番なので、東北地方は中華と敵対するべきじゃないととの事なんだ。だから敢えて公孫氏の一部を取る。
満州にとって最も利益の大きい土地だけ取るって形だ。そのために日本からも軍を出すが、基本こちらの民が基本の軍隊にしてほしいらしい。そのための準備はすでに開始している。後は一定の規模と、ある程度は追い出した草原側の旧政権の連中への防衛も必要となる。それでも国を自分たちで守るって意識が大事なんだそうだ。
元々支配民族として高句麗や扶余の騎馬民族がのさばっていた。もちろん連中もここの出身だ。だが、どこかで連中は農民と騎馬支配層みたいな意識があった。これを徳丸様は農民が自ら作った国にしたいそうだ。何度も地元の上層部を集めて話してるが、この辺りはかなり草原民族の土地と違いがある。雨が日本に比べたら乾燥地帯だが、あの地域よりは圧倒的に多い。
この地域は工夫すれば十分農耕地になる。だが騎馬民族じゃそれが出来ない。だから新しく生まれ変わるため連中を追い出した。実際農業が格段に進化したのを見てどんどん従うようになってきた。そこで武器を持たせて自分たちの軍隊をを作る事になった。
ただ1つだけ何度も言い聞かせてる。井戸を数多く掘りすぎるなって点。これは言っても分からないだろうから、一つ分かりやすい土地として塩害を発生させる土地を選ぶことにした。確かに草原地域とはまるで違うが、それでも基本的には乾燥地域なので、地下水による農業だけでは塩害が発生しやすい。
日本では海によるもので分かるのだが、地下水から塩害?ただ徳丸様からの指示で、これはちゃんと天竺方面の西まで行った連中が確かにあるという話をしてくれてる。これもまた徳丸様のすごい点だ。徳丸様は先にこの事を知ってたんだ。後から確認をとっただけだ。もう1つは単純に地下水が枯渇する。
これは理解してもらえた。使いすぎたらなくなるだろう。どうしても欲があるから止まりにくいが、後々深刻な問題になるので、井戸の数を増やしすぎるのは注意した。それと言うのも井戸を掘る技術が高すぎるからだ。そのため簡単に井戸が掘れてしまう。それでついつい掘りすぎてしまうって事が起こってしまう。
水が多く必要な作物はできる限り地下水の掘る数を増やす気がないのと、川をなるべく利用する事となった。確かに川がこの辺り豊かなので、灌漑をしっかりやればそれなりに川から多少離れても広げられる。
後は十分な数がそろったら、こっちも軍を出すのと、新兵器をたっぷり持っていくとの話がある。しばらく戦争をしてなかったので、いろいろ出来たそうだ。多分大いに有利に戦えるとの話だ。後軍隊の数より火縄銃の数をきちんとそろえるようにとの話が合った。確かに数揃えないとあれは苦しい。
我が国の最新の武器ならそう数が重要じゃないが、ある程度海外領土は技術を落として広げていくらしい。そのため数で補えば十分他の国には圧倒的な破壊力を持つ。この戦略は自分も理解できる。そもそも火縄銃はかなり強力な武器だ。ただ数の多い軍隊には圧倒的か?と言うとかなり苦しい。10倍の敵は無理でも、3倍の敵なら火縄銃がそれなりにあれば行ける。
兵士の数、練度、火縄銃の数。これらはこっちの判断で行けるとなったら徳丸様に伝えて、援軍を送ってもらっていよいよ開戦となる。今までずっと日本の軍隊で数の少なさを武器で補ってきたが、やっとまともな兵士の数をそろえられそうだ。しかもこちらで作った火縄銃で補うってのもかなり負担が減る。
黄巾党の情報がどんどん入ってくるので、中華はかなりボロボロのようだ。ただまだそれなりに統制が取れてるのでこちらが先行する形になるようだ。連動させる必要はない。後から援軍って形になるのかな。
日本人と現地人の上層部に集まってもらった。
「以前から話してるように、できる限り現地の兵士を使った海を取る侵攻作戦を行うつもりだ。中華に抑えられてるが、元はこの辺りの民族が中華に組み入れられただけで、海につながっておったのだ。何故日本人がそんな事を知ってるんだ?となると、元は日本もこの辺りから来たとうちの大将の徳丸様がおっしゃってるからだ」
「しかも中華の文献にもこのあたりの集団が中華に組み入れれた記述が残ってるそうだ。わい族は河魚を食べる民族だが、じゃ河口は河じゃなかったのか?元は河口にもいたんだ。当然そこは稲作をやっていた。日本の部隊の一部は青洲で黄巾党の一部と深く結びついてる。中華の情報はこれで大体わかる。漢政府はおそらく援軍を出せない」
「理由は2つ、公孫氏が独立勢力のようにふるまってて、やや敵対関係にある。2点目は、じゃ何故その公孫氏を従わせないのか?につながるが、漢政府は大きく弱体化してる。辺境に大規模な軍隊を出す余裕がない。戦国のように乱世になるとうちの大将は見ている。ただもしそれが再び統一されるなら。この地への侵攻は今ほど容易じゃなくなる」
「では乱世まで待ってもいいのではないでしょうか?」
「いやそもそも公孫氏を放置してる点で出したくても出せないと見てる。そのため乱世まで待たなくていいのと、公孫氏が別の強大な勢力に打ち破られてからじゃ面倒だからになる。一度攻め取って守るのは楽だが、強大な勢力が居座ってる場所を奪い取るのは困難になる。乱世でも都合よくずっと弱小勢力のまま分裂してるとは限らない」
「それに公孫氏を滅ぼすわけじゃない。一部奪うだけだ。だから漢政府との問題ではなくて、公孫氏とだけの紛争になる。焦る程じゃないが、公孫氏が支配してる時代こそ攻めるのにつ語彙が良い」
「そのためまずは足場固めで、農業はどうなってる?」
「順調そのものです」
「何度も言ってるが、この地はうまく利用すれば豊かな農業地帯になる。扶余は置いておいても、高句麗はこの地域の出身だった。だがやつらはいつのまにか農耕民と支配者と言うような関係に代わってしまった。それゆえに彼らではこの地を農業の知として真剣に発展させるのは無理だろう。もちろん我々がやってきたと時からそれなりに農地はある」
「山脈の西側の草原民族とは全く違う。それでもだ、やつらにとって農業は搾り取るための農業にすぎない。我らはこの地を農民たちが土台となった国家に作りかえる。だから農業国として生まれ変わる必要があるため、その成果にはかなり神経を使っている。順調なら良い」
「兵士の数は増えているか?」
「元々高句麗扶余の兵士に武器を持たせてもいいんですよね?」
「ああ構わない。騎馬兵士が支配層になる。この構造が駄目なんだ。住んでる人は同じなので、それらを排除して兵士を集めるのは無理だろう」
「できる限り反乱など起こさない人選をしてるつもりです。それでもかなり進んでいます」
「なるほど無から始めるわけじゃないんだな。山脈西の略奪も注意しないといけないので全軍で攻めるわけには行けない。そのため火縄銃を生産してもらってる。君らはこの効果に疑いはないだろう。兵士の中には攻撃されたものもいるだろう。ただあれはできる限り数があった方が良い。火薬も製造も教えたが、おそらく足りなくて良い。その分我が国が援助する」
「我々も海で半島と満州と日本が繋がるのは利益になるんだ。将来的には足りなり分売るつもりだが、今回の作戦においては全面的に供与する形で良い。では思ったより早く侵攻作戦を計画して良いのかな?」
「はいあくまで無理が無いって条件なら数十年も係るような軍の編成ではないです」