表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/168

71

 モーターボートが完成した。後は大型化だが、まずは小型のエンジン船が出来たのは僥倖と言うべきか。大型の方が簡単じゃないか?なら船の方も問題がある。FPGを使えないのは痛いな。木造船にした。軍艦でもないので小型船舶なら軽い方が良い。FPG素材的には作れるのだが、問題は吹付の機械とか道具が足りてない。1から手塗りか?せっかく手早く作れるのが売りなのに馬鹿馬鹿しいよな。


 後グラスファイバーがまだちょっと苦しいかな。


 動力に対する信頼と、スクリュー船が帆を無くす方向に行く。何故なら、外輪船はひどく燃料効率が悪いため、燃料節約が2つの意味で必要になる。コストと長距離航海に石炭を大量に積むことになるから。信頼性以外にこの部分で帆がずっと残っていたのと、単純に外輪船は帆船とあまり速度が変わらない。あくまで無風時の補助の意味が大きかった。


 そろそろスクリュー船から帆を無くしていくのを考えていく時期じゃないかなと。まあその辺りは現場にすべて任せる。ただいずれ無くしていく方向について話だけはしておいた。エンジンの発展が難しいな。大型船だと車とかと違う。蒸気機関の時に発電機で使う蒸気タービンに移っていく。ガソリンじゃなくて重油だったよな?


 まずい急激な発展で、その辺りがおそろかになってる。後ディーゼルエンジンもある。自動車とはかなり違うんだ。大型化の時に考えよう。発電機と共にこれはまずはエンジンの大型船への搭載の前に蒸気タービンを計画した方が良いな。後はディーゼルエンジンもやらないとな。自動車ではそう重要じゃないが、トラックとかこれなんだよな。


 ただポイントだけ話しておいた。これ何故?が分かりにくい。効率がいいんだ。そういうのって中々生まれない。大体は長い年月の間にアイデアが出来てくる。タービンのポイントは温度差で回転力を上げる点。ディーゼルはピストンじゃなくて、直接回転を爆発で回すようにすること。これらは絵で説明した。


 改めて自分に思うのは化物みたいだな…。いやもちろん、こんな雑なもので作る人たちはすごいよ。ただ大量のアイデアを出して実現可能っての皆知ってるし、何より、時折言う詰まってる時のアドバイスはほぼ的確なんだよな…。どう思ってるんだろうな。これ当たり外れが多いなら、そういう人はいる。だが100%近く私の出すアイデアとアドバイスって当たるんだよな…。


 熱力学に発展する前のボイルの法則を流体力学として水と空気両方の流体に関する力学を独立させた。当然以前話したパスカルの法則もここに含まれる。ただこれどう発展していくか?と言うと良く分からないんだよな。液体に関しては粘性と乱流が問題となる。こういうのはまず単純なモデルからスタートした方が良いので、粘性が無い液体の力学をベースに進ませるべきかと。


 飛行機船などが関わってくるかな?なんとも言えないな。


 そういえば、熱力学で確率統計が重要になるな。前も話したが、台風などの話もあったし、確率統計がっつりやった方が良いな。熱力学に関わらずとにかくデータをどう扱うか?の処理は必要だよな。


「今回集まってもらったのは化学は分かると思うけど、物理ってよくわからないと思う。どう?」


「ええ何かピンときませんね」


「分かりやすいのは天文学。星が未来にどう動くか?こういうのを計算するとき、物体の動きを考えるでしょ?ただそれだと天文学になってしまう。単純に小さな球でも良いんだよ。良くやるのは振り子の運動とかだと思う。小さな球と大きな天体が似たような法則が働いてるとして物の理としてまとめてしまうから物理なんだよ。実際は小さな球と天体って微妙に違うけどね」


「主に運動を扱うことが多いんですね」


「そうだね、静止状態だと、止まってる時に働く力についてだから。力学全般が物理だと思う。ただ力学で終わらないのは、力がかかってなくても球はあるわけで、そのたまに力がかかるんだよ。この玉と力がセットになってるのが物理なので、玉自体の研究もくっついてくるが、例えば鉄球だとして鉄の化学反応とは違う感じかな」

「もっと分かりやすく言うとね、数学上のモデルみたいのが多々あるのが物理学なんだよ。化学も数学は大事だけど、物理は数学と密接に絡み合ってる。力や運動を数学モデルで示すことがとても多い分野だと思う。それゆえに化学みたいな実験室の実験よりも、理論構築が実際の運動などに先行することが多々ある。これが物理の特徴かな」

「段々化学もとりあえず実験してみるから、デザインする化合物みたいな頭の中のモデルってのが大事になってきてる。でもやっぱり物理に比べると性質がかなり違うと思う。ただこの理論先行ってのとは私の理想はちと違うんだよね。科学から技術へってだけなので、理論から実践へって意味ではない。その点化学も十分技術に対して理論先行じゃなくても先行する部分があるから」


「実験がシンプルで理想状態だからですか?」


「うん、化学の実験の壺の部分だよね。職人でもやってみて確かめるってのはやるんだよ。化学実験が特別なのはそこにあると思う、以前話したことだけどね、理論先行ってのがちょっと似てたからね。ただ職人の世界と理論先行ってのは一つの科学の特徴だと思う。まあいずれ科学が土台となった技術が大半を占める時代が来るけどね」


 FRP船欲しいから、樹脂を何とかしたいけど、スプレーが固まるのが困るんだよな。劇的な何か?ができるまではとりあえず手作業でメンテをしつこくやってもらうしかないな。ただこれ今の技術だと大丈夫か?ってのがある。樹脂の固化を上手く化学的にコントロールするのが可能か?が分からない。この手の今の技術って化学的な問題がクリアされてるからってのがあるんだ。


 だからノズルなどの物理的問題だけを私が知ってる事になる。実際昔の未熟な有機化学の時代だとどうなんだ?ってなんとも言えない。固化剤を使って固化させるんだけど、ぐるぐるとねっとりしたものを固化させるのは良いんだ。ノズルから噴射した滴、または霧状のものなんて可能なのか?これが出来ないと安価に作れない。手動の3Dプリンターみたいなものだ。


 研究してもらうか。霧吹き自体はあるよな?穴を小さくしてぎゅっと液体を噴射するだけなのだが。意外と単純な技術がまだないってあるんだよな。重要な固化剤によるものじゃなくて、単純なものは熱を利用したものは今でも可能。多くの硬化剤は実際は熱を利用してる。あれだ、酸化鉄による使い捨てカイロと似てる。化学反応で熱を出して硬化させるのが多い。


 うーん…、この手の硬化剤を考えてみるか。小さなものなら陶器みたいに窯を使えば簡単だ。そんな温度高くないし。なんかいい方法無いかな…。とりあえずまずは熱硬化樹脂を見つけないとな。船なんかは、常温で固まるのを使うが、硬化剤を混ぜる場合も多いんだ。全く硬化剤を使わないのもあるとは思うが、その場合樹脂の方に工夫がいるよな。


 まずは熱硬化樹脂から続いて常温硬化樹脂だな。その後硬化剤などを考えればいいかと。エポキシ樹脂が熱硬化で、不飽和ポリエステル樹脂が常温だったかな。そういえば常温固化のパテってどこでも売ってたな。現代は便利だ…。エポキシパテもあったから、常温固化するはずなんだよな。硬化剤でも混ぜてあるかな。昔2タイプのチューブを混ぜたパテあったな…。とりあえず伝えておくか。


 先に発電機とモーターを作ってしまったが、こういった事の原理を組み立てていかなくてはいけない。と言うかやってほしかったかが、科学者の数に対して、やる事が多すぎる。しかも電気は皆素人臭い。電池が分かるのは化学は詳しいからだ。モーターは発電機を私が作ったからな。あそこからすぐわかる。フレミングの法則は教えたので。


 電磁誘導の理論を確立させる。マクスウェルが誕生してほしいものだが無理だろうな。どうしたら可能なのだろうか。数学が弱すぎる…。かろうじて弾道計算と微分は理解してくれたけど。あれもちょー難解だからな。ああいう思考って仏教っぽいよな。大乗はおかしな方向に言ったけど、それさえなければ仏教ってすげー知的なんだよな。


 コイルを巻いて、そこに磁石を近づけて電流計を計測する。


「コイルの巻き数を変えたり、磁石の近づけ方とかいろいろやってみる。でね、君たちにはこれと数字の関係をいろいろ調査してほしい。まずは巻き数変えてみるよ」


 電流量が増える。


「どう考える?」


「電流と巻き数には増える何らかの比例関係がありますね」


「そそ数学にこれを起こしてほしい」


 次は近づける変化について。コイルに巻き軸に合わせて中に突っ込むように移動させると大きく変化する。かつ近づくほど大きく振れる。


「これはどう?」


「近づくほどで、向きが大きいですね」


「似たもので太陽がある。地動説はもう分かってるよね。四季と言うのは、地球が太陽に対して斜め向いてるから発生する。太陽からの光は斜めになると弱くなる。これが冬。似てると思わない?」


「確かに」


「これが磁力線ってやつなんだよ磁石が磁力線は太陽の光線みたいにはなってる。でも向きによっては弱くなる。まあ大体その向きは分かるでしょ。右手だったか?左手の法則が関係してる。磁石の場合は電力は特に意識せずに磁力の塊みたいな物体なので、磁力線が磁石のNからSに向けてだ円を描くように発生してる」

「それらの強さは束の考えでまとめられる。太陽光線が地面に当たるように直角に当たるような面を想定すると、単位面積当たりの磁力線の束を磁束と考える」

「この磁束の変化が起電力と関わっていると考えられる。後は近づくにつれて増える起電力は移動時間と比例関係にある。こんなところを数学的にまとめておいて」

「今回の重要点は、これはもう発電機とモーターで既知の事だと思う。だがその理論はまだ誰もまとめてない。そして言葉じゃなくて、数学でこれらを法則化していく。職人と科学者はここが違う。将来的には、職人は技術者となって、科学的知識を備えた作業員となる。その理論を作って教えるのは科学者の仕事だ」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ