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高句麗は膠着状態になったようだ。守りやすい場所から出られなくなってる。これはこれで良い。そのままと言っておいた。これは前線指揮官も分かるはずだ。扶余攻略後にやった方が良いからだ。もともと扶余国境線を破られないための気を散らすのが目的で、高句麗をつぶすための作戦じゃない。堅い防御陣を増築しつつ、後ろの地の平定と開発を続けてほしい。おそらく大陸での農地はここしか残らないんだろう。
良彦からの連絡に参った。お前なーってのがある。過剰に武器を送りすぎたか?すでに平定が終ったので、対ローマに北バルト地域の平定を軍事訓練を兼ねてやるそうだ。確かに平和になると軍隊の価値が落ちるからな。なのにローマって強大な敵がいる。海軍は戦力なりそうな武器と船を送りまくったのでそれで充分守れている。
陸軍が浮いてるそうだ。だが来るべき日がそのうち来るのでそのために訓練しておくそうだ。これ悩むぞ、その戦力の土台日本のジャン…。でもな後20年ぐらい待つってやだよな。ピークアウトは崩壊じゃない。今の漢は崩壊だが、ローマは崩壊じゃない衰退。ピークアウト後の衰退って無茶苦茶長いんだ。本格的に崩壊するのは東西分裂とフン族の侵攻にある。
後100年後だこれはまっていられん。その前にゲルマン人の起用で崩れ始める。決して悪い事じゃない。ただローマの土台が弱体化したための措置なんだ。それが後20年ぐらいでやってくる。それまでは待った方が良い。これ以上成長しないのと、ここから下り坂は話が違う。難しい局面なので言いたいことはあるが黙って引き続き武器は送ろう…。
そういえば、鉄の船創らないとな。大量生産できるまで待ってたんだ。小型船から作って大きくしていこう。理想は軍艦はスクリュー船でデビュー。これやり方によっては帆船作れる。要は軍艦を意識してたので鉄板を厚くしないとと思ってたが、過去模型でつくったような薄い物なら木材より軽い。しかも同様の丈夫さも可能だ。まずは軍事目的以外の帆船と併用船を創ろう。スクリュー船が出来たらやや集めの鉄板に変えて軍艦だ。いずれは内燃機関に。
再び呼び出した。
「ごめん…。あれ難易度高い。よく考えたらあれは次世代用だった」
おや変な表情だ…。
「徳丸様何故次世代用が…」
「私の言うこと深く考えたら駄目!いくら疑問でも押し切るよ。だから金属リングはそのまま開発してきちんと役に立つから。ただあれ見りゃわかるが精密機械なので将来的で良いから。簡単なのは、紐をぐるぐる巻いて獣脂みたいの塗る。クジラの油が良いと思うよ。ちなみにこの技術廃れないから。むしろ次世代金属リングの後も増えまくるはず」
「素材は綿でいいよ。ただね、科学班で特に鉱物に詳しい人たちと共同で石綿って繊維状の鉱物があるからこの利用も考えた方が良いかも。すぐわかるけど回転体につけるから熱がかかる。これね出航時と停泊時と使い分けて、何かの器具で締め付けた方が良い。止まってる時は締め付け、回ってる時は緩めね」
「金属板はもうちょっと話しておく軸の包む菅を作る。この中に油入れる。問題はさ、この油外に漏れるよね。海水の侵入と油の漏れ両方とめるのにリングがある。船内と船外の2つが良いかな後回転リングと固定リングを組みあわせる。これ以上はちと話すの無理。頑張って現実化していくしかない。とにかく紐ぐるぐるで最初は乗り切るから。船が大型化していくと問題があるのと、油の漏れが船の外内どっちも汚いからね」
「ちょっとこれ難しいんだけど、正直言えば超大型船しかあんまり意味がないのと、もう1つは大きな意味があるんだよ。今研究段階にしかない軍事秘密だけど、海の中を潜る船を作りたいんだよ。君らも水を扱うなら分かるよね?この紐方式だとどんどん潜ると漏れが酷くなる。しかもこれ汲みだして定期的に外に捨てるんだよ。潜水艦じゃ使えない。初期はもうちょっと簡便にすべきかもしれないから模索してみて」
「では、紐方式は早く、金属輪方式はゆっくりでいいんですね?」
「そそ、どーせすぐ出来ないから」
しばらくすると鉱物班がやってきた。
「話は聞いてると思うけど石綿知ってるよね?」
「はい」
「あれで縄みたいの作ってあげて。君らに言わなかったけど、あれ毒物なので、どう毒なのか?と言うとあの繊維が空気中に広がって吸い込むのを繰り返してると歳食ってから死ぬ。だからさ、研究するとき何か息を吸うための器具作って。じゃないと研究しなくていい。正直言ってあれ工業化するつもりがない。毒だと知ってるから特別な対火性を欲する繊維が必要じゃないと使うつもりがない」
「あでも、どれぐらいなら防げるか?分からないね。あれ顕微鏡だと見えないんだよね。専用の液と専用のフィルターいるんだっけ…」
「何故そうまでして…」
「君らも素材にそれなりに詳しいと思うけど、この先もっと良いもの多分できるけど、それまであれすげー使える。そしてこういった防塵材ってものすごく使い道い多いからこのさい研究しておいて損が無いんだよ」
扶余国の圧力が高まってきた。おそらく高句麗への防衛を捨てたと思う。まあこっちが攻めてるので圧力が無いのわかったか。計算外!うーん、難しいものだ。そろそろ一大決戦を挑もう。十分すぎるほど準備が整った。これ以上は慎重を通り越して馬鹿になる。あまり長くやったらダメなんだ。何度もサイコロを振ると大外れを引いてしまう。
戦争はいろんな意味で長くやったらダメなんだ。意味があるのは兵糧攻めぐらいなものだ。この手の戦争は長くやる意味がない。例えば工業力を背景にした戦争なら空爆とかで生産力を落とすのは長くやる意味が出る。古い戦争だとその辺りがイマイチ生きない。そしていくら拠点が出来たと言っても様々な点で日本から頼ってる。
無条件でじわじわやるのが良いわけじゃない。相手よりかなり多い兵士の数。圧倒的な武器の差。唯一の懸念は騎馬だけ。高句麗戦まで終わればおそらく一部捕虜にしたものから騎馬軍団の育成と馬の育成。様々なものが得られる。ただし、大きく劣っているか?と言うと騎馬だけが勝つには不安だって程度だけ。全体から言えば大きな差ではない。
実はうちの騎馬部隊だけなら十分な数がある。だが大きな差になってるのは他領の兵士が来てるからになる。そこの騎馬軍団が皆無なのだ。当たり前だ、日本が騎馬軍団を整え始めたのは、高句麗との戦い以後で、しかも、唐との戦いの直前でまだまだ使い方が下手だとして改革をしてるほど未熟だった。前線に見えてない馬も全く足りてなかった。馬が根本的に少なかった。
その300年ほど前だ。いるわけがない。他領をどうするか?だな。問題は農地返還後なんだよな。財政基盤を失い、それと兵を日本軍として統一する。私兵は居なくなる。私は抜け道あるけどね…。海外領単純には日本に帰属させない。理由は後から独立するのにあほらしい…。まあこっちの武器開発と相談だ。
これが国としては最後の戦いだろうな。もちろん本当の意味の最後ではない。この国から追い出すのが目的なのだから。だが勝敗が決まるのはここだ。準備は間違いなく私がやってのけた後は現場に任せるだけだ。始皇帝って曹操とはまるで違って前線に出る事は無かった。だが分かるな、曹操は小さな集団から大きくなかったからで、後の方は戦争に出てない。
別に大きな国じゃないが、それでも日本と言う一つの大きなまとまりの視点から見ると、私は準備をするのが仕事なんだと良く分かる。そもそも戦う前の準備の方が私は重視してる。それでも、どう上手く戦えばいいのか?は気になるな。この点もうちょっと何か準備できないか?と思う。良い将を選ぶ何か?である。他に国としての大戦略は私が一手に握っていい。
だが、戦場での知恵物が欲しい。張良や陳平のような裏方謀将も任せられる。そのどれとも私の仕事は違うんだよな。近代戦なのが大きい。富国強兵のその先を行く。武だけでは決まらない。やはり知恵知識と言うものだと思う。力富知これこそがわが根幹かと。だからこそ思う。良き軍師、謀将、将軍が必要だ。
近代戦が根底にあるので私がすべてになっても良い。だが敵と他の協力者を考えると古いタイプの戦場巧者が必要だ。作戦本部作ってるんだけどな。私が持つ近代の指南書とかをうまく組み合わせられないかな。将軍は一応考えがある。これは実績で良いと思う。この点はすでに機能してると思う。どーせ私の私兵以外まともに主力にはなれないのだから。
やるとすると、武器をもっと多くのものに渡す事と。後は国として完全に貴族連中と兵が分離出来たら、すべての武器を渡す。だから叩き上げから選ぶ競争率が上がるようになる。難しいのが軍師だ。軍師の良さって将軍だったが、知恵物だったとすると、曹操や韓信は軍師でもある。専門職じゃないだけ。ああいうひらめきある武の知恵物ってすごい人間なんだ。
むしろ謀将の方が楽かも。この手のタイプは他の学問もできる。将軍と謀将が重なるとまたすごいんだけど、元就や道三だろう。専門職なら知恵物で良いと思う。ただ決まってこう言う人裏で暗躍したがるので、性格がものすごく大きいんだよな。作戦本部と科学班から選んでみるか。
間違いない問題は軍師だ…。現場なので将軍もやれるとなおいい。大戦略は私の補助がいれば良い。この手のは知識タイプの方が良い。ただその知識が中国に偏ってるのがな…。近代兵器を基にしたものをちょっとは教えた方が良いかも。そのうち考えるか。孔明はいらないとすごく分かる。内政が得意な大戦略タイプ。もろ私と被る。ほしいのは韓信、曹操、秦のおうせん、白起みたいなタイプだ。
唐の李渕って変わったタイプだよな。あの人は天才型の叩き上げだからな。叩き上げ拾っておけばそのうち当たる。ばくち打ちみたいな旨さを持つタイプか。ああ謙信がもろこのタイプだ。