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 14歳になった。激動の時代になりそうだ。ついに近畿で明らかな寒冷化の被害が出た。そしてうちの領内はほぼ被害なし、あるのだが、毎年の蓄積で余裕で賄える。もっとしっかり話しておくべきだったが。うちは全体でなんとかするって方針だ。これにきちんと従ってほしい。不作のところが出ても皆で助け合う。不作は本人の責任じゃない。そうならないようにきちんと指導してる。それでもだめなら運が悪かった。


 次は助けたくないと思ったお前の番だ、皆で補うべきだ。ちょうどいいのでこれを徹底した。見返りに合うように僕は様々なものを提供してきた。それで足りないか?他の領内を見ろ。その差がお前らが自分の力で勝ち取ったと思い込んでる僕が与えたものだ。それに感謝してくれるなら皆で分かち合う僕の方針に従ってくれ。


 最初は不満が出るだろうがやがて消えるだろう。農業は自分の努力でなんとかなるって部分ばかりじゃない。そのうち分かるだろう。


 そして、ハーバーボッシュ法によるアンモニア合成の成功だ。完全に遅れたがそれでも良い。数年は余裕がある。その数年で化学肥料を使った農業に転換する。激動の時代だまず前線の方針転換をする。これまでどおり撃退には容赦はしないが、他領への侵攻の方針を変える。


「指揮官に集まってもらったのは大きな方針転換をする。これからは侵攻した土地は占領する。その方針転換の理由をきちんと話す。食料の維持がなんとかなりそうだと目途がついた。何故今まで占領しなかったのか?占領した土地を今のうちの方針でやっていくには食料が取れない時間が生じるからだ。それにも耐えられると判断するほど余裕ができたし、未来も多分大丈夫だ」

「ただ民には広く説明しなくてはいけないが。今放置されてる土地から収穫があがるようになるまでは従事する農民を食糧援助で助けてやってほしい。これを徹底させないといけない。我が家が徴収した分でもある程度は補える。だが足りないかもしれない。その時はどうか助けてほしいと徹底させないといけない。何故これを君たちに伝えるか?と言うと」

「戦いの中でこういう事がとても重要だからだ。意味のない戦いをしてはならない。人の生死を賭けて無意味な戦いなどしてはならないんだ」


「次の方針転換を言う。すでに空白地帯を占領するなら戦いは起こらないではないか?当然まだ人がいる領に近づくためだ。そして大転換。虐殺はもうしない。もちろん殺す。だが食べる量を減らすような殺し方はしない。以前はわざと殺した。助かる命は助ける。そこで残った人をどうするか?僕らの住人と同じ扱いにする。ただ上の人間は従わなければ殺す。これは容赦しない」

「僕らに支配された方が食料が増えるからだ。言ってみれば民の邪魔をする泥棒を殺すのに躊躇はしない。戦う者たちに利益が無いが、それは潜在的な泥棒をつぶすためである。それをすべて味方にするための戦いになる。この地域はいくつかの島からなる。今僕たちが暮らすこの大きな島すべてを占領する。そして泥棒のいない平和もたらすのを目標とする」


「分かってると思うが、これからはもう去年の比じゃない。飢えた連中が獣のように襲ってくるぞ。島の統一は自分のためなんだと心得てくれ」


 同時に近畿の情勢も考えないといけないが、こっちは食糧援助でなんとかなりそうだ。ただある程度しか無理だ。大王家にすべて渡した。これには狙いがある。元々近畿の混乱が少ないのは大王家連合の権力が史実より強くなってるからだ。おそらく僕だろう。何故分かる?だが、これはなんとなくだ。悪影響が無いならと仮定したらそれだけの事をしてきた。


 その価値が分かってるのか?って不満があるのだが、今回のは分かるだろうな。後すぐに大王の側近の問題をこの供与を使って大王に直接一族のものに述べてもらった。


「昨年寒冷化の問題が奥州で発生してるので対策のための稲をその方に用意できるといったのですが、無視されました。大王様にてっきり連絡が行ったと思い込んでいて。今年になってこんな事態になってどうなったのか?良く分かりました」


 うちうちで文句を言うことはできた。大王まで上げなかった責任を明確にしたのだ。相手も理由があるのは知ってるが、大王がそれは判断する事だろ?大王激怒ですぐにそのもの罷免された。今までうちと繋いでくれたのに?と冷たいように感じるが。一番重要なところでヘマをしたのでつぶしたんだ。これで徳丸も納得できるだろう。


 すでに大王には部下を派遣してもらって他領との比較でうちの領の被害が軽微であるのは確認済みである。その過程で全く農業が違うのも驚いていた。すでにきっかけは様々な献上品にあった。だが大王の下のものがそれをいかせてなかった。大王連合は強権を発動して不作の多かった地域で徳丸の邪魔をしたような相手から農地を一部取り上げてすべて集めて自分たちの領地にしてくれた。


「これらの領地で同様に農業改革を行ってほしい。後皆に広めてくれないだろうか?」


「それなら大王家から私たちに何か職能をください。それによって大王家によって広められるようにします」


「良い良いそれは良き考えじゃ。新しく農業指導として、農師を与えるはげめ」


「大変うれしゅうございます」


 何もせずに領地がぐっと増えた。これは大王家に取り込む良い機会かも。是非これを成功させて一族の娘たちでも送り込むか。徳丸からはなんとか親族になりたいとずっと言われていたからな。


「徳丸様文が届いております」


 なんだ近畿の一族のものか。おお何これ最大の成果じゃない?親族行けるかも?おお行ってしまってよ。ついでに婿も取り込んでほしい。もう大王家の末裔になってもいいよ。僕たちが宗像は守っていくから。もちろん排除したいとかじゃないよ。一族の優遇は続けるから。要するに大王家をだましてほしいんだよね…。


 このままいくと宗像が利用してるとすぐにばれると問題がある。藤原計画なので蘇我にはなりたくない。徹底した忠臣をやり続けて、最終的に血縁でずぶずぶにして排除できないようする。おそらく単純なやつなら九州と近畿上手く行ってないと勘違いするだろう。そこに油断が生じる。僕は徹底して相手を油断させて警戒させないって戦略を取る。


 どうにもできない力差をつけてから牙をむき出しにする。だから僕の戦いはいつも単純なんだ。戦う前こそが僕の戦いだから。側近にも正直同情する。はっきり言えば大王の決断は感情論だ。でもこの時代ならだれもが納得する。僕なら納得しない。この程度かって馬鹿にするものがある。まあだから思わぬ結果になってる。別に側近悪くないからね。


 結果論で感情論から責任問題って現代でも生じるからね…。ただこれ現代的視点なら問題点あるわ。その点今になると不満がわいてきた。寒くなる時期が来年じゃなくても準備しておくべきじゃないか?リスク管理だよな。全部を変える必要はない。ただ冷害がちらほら発生するなら何割か?はそういったコメにするべきだ。


 そもそもすべて冷害用にしてもデメリットが無いんだよな。これ本来なら旨さが品種に関わってるから現代ならデメリットがあるんだ。でもこの時代そんなものまだ分かってないだろ?今になると理詰めで説得できたかもな。まあ今更いいや結果反動で大王家に接近できた。彼が居なきゃ多分無理だったと思う。


 もう前線にはいかない。後は別にむつかしい判断じゃないので。それに当分は放置地帯の回復だから。いろんなところに肥料送ろう。グアノも近い場所のための天然資源残してほしい。いずれは教えるけど、こういう飴で支配をコントロールしていこうかなと。ただね、教えたくても教えられない事情もある。科学者が少なすぎる。


 まずは日本全国の有力者から人材を、次に学校を作る。そこから上がってくる人間を科学者にしていく。


 同時に様々な事が動くが連絡が取れない。せめて日本の中だけでも早く通信なんとかしたいな。東北が、北海道産でとりあえず宮城辺りはなんとな持ちこたえてるな。ただ楽ではない。軽微?な被害はある。幸い畑作は何の問題もないので上手く行ってる。元々寒い地域なので対策がある。焼畑よりましか…。


 北海道自体はいよいよ苦しくなった。実験的に品種改良してほしいので、そういう方向で頼んでおいた。もう栽培としては止めた方がリスクが少ないだろう。海外は特に深刻ではない。畑作はすべて対策を打ってある。稲作が元は熱帯地域の食べ物だからな。これサトウキビの北限をあげてるようなものなのよ…。


 もちろん何の対策もしてない他の地域の畑作は知らんけどね…。適温じゃなくて、やや北方でも良い畑作で対応してた。そうだ引き続き海外に東北から出てるんだ。前より多くなったな…。アメリカ一辺倒だったけど、あそこ原住民対策を打ったから、他にも分散して良いな。後世界的には単純に同期しない。この辺り海流とか大気もあるんだろうな。大きな流れで一致するが、一年一年同期はまずない。


 後そろそろ青銅製の開発止めた方が良いな。十分な量の鉄が作れてる。放置しないで、集めておいてほしい。いずれ電気で胴を得て銭にする。機関銃の前にオートマチック作っておくか。そういえば、大砲車完成した。つかー遅いからな…。人乗せるのはもうちょっと早くないとな。これ暴発ふせいで小型で高出力って難しい。内燃機関にしたい…。


 側近ちとかっとなって親族に愚痴ってしまったのが伝わってああいう結末になったが大王様のお叱り程度だと思ったらいきなり首で驚いたので気の毒なので、うちで雇うことにした。まあ降格だけどその下がり方が酷くてね。ただこっちの言い分も話しておいた。すごい数の人が死ぬことになるからと。それを大王様が救えるかもしれなかったのにと。


 ただ、再雇用したのは、それでも未来が分かるわけじゃないから手を打つことはできないって判断も分かるからと伝えておいた。リップサービスで大王様が同じ立場なら多分どうかねーと言っておいた。ただ、この先寒くなるかもしれないって危惧は今後も持っておいた方が良いと話しておいた。せっかくなのでその新しい役職に関わるようにしたから。


 輪作の中間報告が出た。これ別に収穫をまたなくていいからね。日本だけだけど。うん見事に僕の知ってるのが正しい…。研究班には真実を伝えておくが、これ民には成果となる。まさにこれが科学だよな。経験則で分かるのが、その理屈が分かる。分かってるから良いじゃないか?新しい輪作パターンを創れる。んまー既にやってた人は伝えてある。これからの人で良いや。


 真実を知ってる僕と違って民はこれ満足してるんじゃないか?かなり成果出してるぞ。ただダメなんだ。僕が居なくても独立して進んでいくような組織作りが一番のテーマだから。単純に民が支える科学だけじゃ駄目。


 領地を広げたら早速小競り合いがあった。わざわざ知らせてに来てくれた。


「ええーっと、くれぐれも相手の領地にまだ攻め込まないでね」


「何故ですか?」


「考えても見てよ。収穫もないのに広がっていく領地なんて守る価値ある?」


「確かに」


「指揮官にはしっかりそれ伝えておいてね。下のものにも良く言い聞かせるように、これ止めるの苦労するの知ってるからね。新しい領地で収穫が出来たらガンガン行くから。もうちょい話しておくよ。次からは領民丸ごと抱えるからどんどん行ける。でも今回は、人がいないからね。しかもかなりの数農民兵でしょ…」


「そうですね、自分もです」


 オーストラリアにダチョウを持ち込んだ時エミューはどうなのか?と言われたけどやめた方が良いと話しておいた。それ餌が豪華なので。人の食うものを食う家畜って良くない。現代ってそこがものすごく贅沢だよな。いずれ穀物を与える農業が発達してきたらエミューも良いだろうね。それまではダメだ。あれ飼うなら餌そのまま食えと言いたくなる。しかも人が食えないものまでくそ集めるのめんどくさい物ばかり…。


 いかんすっかり忘れていた。高温高圧のノウハウを石油化学とパルプ製造に着手するんだった。洋紙が出来たら、印刷を自動化しよう。うっかり忘れていたが、硝酸カリウムもアンモニアから作らないとな。小便から作ってる人たちにこの作業員斡旋しようかな。


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