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「徳丸様良彦から文が届いております」


 文だけじゃないな。何か西洋人がやってきたぞ…。ただ危ないらしいので、護衛と距離を取って会談となった。通訳がいるからなんとかなったが、英語じゃないこの時代ならラテン語かな。しかもアングロサクソンじゃないと英語にならないよな。どーせローマって撤退するので、イギリスを決定づけるのってアングロサクソンなんだよな。危険だってのは捕虜だよな。


「ここがどこか分かる?」


「いえ全く」


「悪いけどさ故郷に帰るのはあきらめてよ。僕らにも目的があって君ら開放するわけにはいかんのだよ。戦ってわかったでしょ?僕さものすごくこそこそしながら軍備を整えてるんだよ。不意打ちで世界征服しようかな?なんて企んでるんだよ」


「え?」


「まあゆっくりしていってよ。ここは多分君が来た中で一番良い国だと思うから。もちろん君の故郷ローマを除いてね。歓迎するよ。本当は君が逃げるのを恐れていろいろ話さない方が良いけど、逃げてもどうにもならんのだよね…。僕の国以外まともな船が無いから。少し感情が揺れ動いてる。もちろん目的があるから冷徹になれるけど、それでもこんなところまで来て多少は不安だと思うのと、なんといっても何が起こったのかさっぱり分からないでしょ?」

「それを解消してあげたいんだよね。それで少しは気持ち楽にしてよ。僕はね最初からローマを警戒してるんだよ。僕らが本気で戦えばローマが勝てないのは知ってる。でもね。僕はもっといろんな所攻めないといけないんだよ。だからローマに全戦力なんて向けられない。分かるかい?最も怖い敵っては準備した敵なんだよ」

「だから警戒すべき敵がいますって情報を持ち帰られると困るわけで、それで君たちを帰れない場所に移動した。ここに来たのは単純に良彦の気まぐれだと思う。僕がローマ人を見たいと思ったのかな?それなら見たかったな。そんな理由なんだよ。でも安心して、君が送られた中で最も幸せな国だから。そして、全容をすべて知れる国だから。君の事はちょくちょく呼ぶよ。ローマについて時間経過とともに伝えてあげるよ」

「とても重要な事を言うけど、僕はあの国が弱るのを待ってたんだよ。今がその時期なので仕掛けたんだ。突発的な反乱なんかじゃない僕がこの時期を利用したんだ」


「ここはどこですか?」


「本音は違うでしょ?何故こんな離れたところでそんな事を考えられるのか?って疑問でしょ。だから意外と近いのでは?と考えたはずだ。残念だが外れだ。ここはローマからずっと東に向かった大陸の東の果てににある島だよ。君たちが秦と呼ぶ国の隣の島だ」


「え」


「驚いたかい秦はもうとっくの昔に滅びたけどねローマはすごいね。そこからずっとあるから。でも終わりの始まりだ。ローマは一部残るが、大半は東の争ってる蛮族たちが支配して別の国になる。ブリトン島への反撃どころじゃない。その経緯を伝えるよ。ああ意地悪じゃないんだよ。人間さ嫌な事でも気になるものは知りたいじゃない。だからねあくまで親切だよ」

「そうだ君の名は?」


「アントニウス」


 文を読んだ。まあ彼が来てしまったからもう結果は分かっていた。ただ良彦の戦術は現地と協力するなら面白いと思う。僕はやる気がないが…。いややらないといけないか…。火器の数が足りてないんだ。この問題僕も抱えているのか…。現代って全員が火器もって武装だもんな。これでやっと近代的な軍隊になるんだ。数が限られてるなら全く戦術が違う。


 中国と似てないか?ローマの軍隊。劇的に変わるのって、草原軍団だよな。あいつら大量の火器が無いと倒せないな。ペルシャも似てるな。インドは象ぐらいか。後帝国って言われるような国って無いな。それにしても参ったな。この文報告じゃない。どうやって支配したらいいと思う?って相談だよ。はっきり書いてないけど…。


 緩い鞭と飴だな。鞭はほとんど使ったらだめ。どうしてももうなんというか、理屈じゃなくて反抗的な人っている。反社会的ではないんだよ。徒党を組むから質が悪いだけで。見せしめじゃなくて、社会秩序のために武力制圧してもいいだろうね。後はひたすら飴が良い。飴は待ってそのうちどんどん提供するから。それまで良彦が持ってる飴で対処して。


 こんな感じで送っておくか。これ支配なの?って言うと、これでも反抗する人っているんだよね…。通常飴があまり効果的じゃないのは、一時的ですぐに支配するメリットを享受しようとするからね。その点のメリット国防しか考えてないのよ。イギリスだと資源はないからな。北海はさすがに、後あそこ多分領域的に僕らのものだし…。


 帝国ができやすい地域は、原住民レベルの扱いとは違う。ただイギリスは独立しやすいし、特に今の時期はその傾向が強い。まあ支配する気が無い。だからイギリスだけ取ったんだ。世界征服じゃないな。戦争でコテンパンにする。その後緩やかな世界的つながりを作る。国際連盟の強力な形だな。


 欧州は問題はない。問題は、中国は現代とは全く違う風にする。あそこ大国良くない。欧州はローマ後特に問題が無いのでイギリスから干渉程度で良いかと。インドって問題が無いから無視したんだ。あそこむしろパキと別れない方が良い。ペルシャクウェートを含む湾の内側の内陸よりを取りたい。


 支配って言葉がおかしくなったかもな。だからって独立じゃない。現代でスコットランドが独立したいってのは、ちょうど都合が良いな。あれこの時代ならしないのじゃないかな…。だから現代でも半数は反対が出るんだ。現代なら当たり前なんだよな。ほんのちょと前の時代だけど植民地支配がひどすぎた…。


 天文学から天文力学が発展していたため、これらの中から大砲の弾道計算をする部を作った。後はここに砲兵を叩きこむだけだ。その前に微分を絡めた精緻なものにしていく。これでやっと何の役に立つの?って人達がいたけど分かるだろう。船にかかりきりで、すっかり天文学をやったもう1つ忘れてた。ふふお荷物だった天文部ちょー大事になるぞ。


 医療やりたいけど、ワクチンがな…。これ大半使えないからな…。効果抜群は、2度とかからない免疫が有効なもの。これ逆に滅多にないんだよな。ワクチンの考えだけ教えておいて、準備だけさせるか。


 弾道研究はすごい価値になる。あれコンピューターの発達でさらに使えるからな。民に公表する貢献した業績ってまとめておこう。ただ大半が僕が役に立つと思ってやり始めたのと、飛躍が少なすぎるんだよな。難しいのは医療班だ。すぐわかるのは、人体構造の把握。血液の流れなど、まだ進んでないけど免疫物もかな。こういうの上手く選別しないと。


「今回は常に言ってる民の役に立つ科学だけど、これ何故重要か分かった」


「え重要は重要でしょ?」


「いやその根本が分かってなかった。科学って根本的には役立たずなんだ…」


「えええ」


「僕も驚いてる。君らはまだ純粋な科学にあまり触れてないと思う。科学はさ神話に近い。あこれ内密にね、ここだけの話。神話って世界の成り立ちを神で説明するでしょ。あれをやってしまうんだよね。じゃ神って嘘なの?って言うと違うんだよ。神は科学の外に向かうようになる。でもさ実際肌感覚で感じられない神ってありがたいと思う?僕は神への信仰を科学は阻害すると思うよ」

「頭でっかちな馬鹿だけが、信仰と科学を両立させるんだよね」


「どうやって?」


「このち密な科学理論を作ったんだとなるんだよ。我々はそれを見つけてるだけ。科学は神の関与を否定するけど、仕組みを作ったのは否定できないからね。信仰心の熱い人が居たら僕はこれを進めるよ」


「徳丸様な信仰心はないのですか?」


「それ絶対言われるよね。まず僕女神の加護とか言われてるしね。あるよ。ただ生死を賭けるような信仰は皆無だと言っておくよ。僕の信仰は神聖な場所とかの肌感覚に対して直感的に心地よくなるものなんだ。それが死生観に延長する事は決してない。だから僕は頭でっかちな神への信仰を嫌ってるんだ。ただ嫌ってるだけで他人の信仰は否定しないよ」

「脱線したね、まあこのタイプの人って熱心なんだよ。民のための科学なんてどうでも良いと思うのわかるでしょ?世界への探求っても神が介さなくても人は基本情熱的になれるんだよ。世界の理を知りたいって科学者の根源的熱狂ってとても自然な事で、科学の本来あるべき姿はこれに尽きるんだよ。信仰の関係者とほぼ変わらない」

「問題はこれがものすごく役立たずに陥るのは、科学は将来的に人はすべてを知るにはあまりに不完全な存在だと知ることになる。知りたいと思う欲求と知ることができない限界の間に膨大な無駄が生じる、科学が役に立つのは結果論が大きいんだよ」


「じゃ民への貢献って正しいんですね?」


「そうとも言えない。人間は見ず知らずの他人のためになんか頑張れない。僕も時折思うよ。寒冷化頑張ってるけど、僕だけならもっと簡単に生き残れるんだよね…。僕も正直説明がつかない。それでも時折僕ってこんな思いやりのある良い人だっけ?って思ってしまってね。ちなみに僕は君たちの知らない前線指揮官の顔もある。矛盾じゃないか?だが矛盾してない」

「僕はすべての人を救うため手は打ってるんだ。でも間に合わないからそこは利己的に僕の救いたい優先順位で切り捨ててる。過度に民のためなんて考えなくていいよ。僕は自分でもよく分かってない。大事なのは科学の根本である生活する土台を提供してる存在にお返ししなさいって言ってるだけなので」

「で民が科学大事だと分かったら、その後本来の姿に戻るか?って考えていたら、うわ永遠にこれ問題になると分かってしまったんだ。科学は全くの無駄は無いよ。ただ他人から飯を提供されてもやる事か?って研究が野放図にしたら増えるね…、まあ今は良いよ。何か暇な人が居たら、恵みの書に外伝みたいに記録しておいてよ」


 答えは出てるんだけどね、そこに山があるからと言っても多分分からないからね。課題があって乗り越えたくなるんだよ。そして一度手を付けてしまったらそれが目的化してしまう。ただ嘘はないが、過程にすぎないな。僕は科学を作りたいんだ。それはきっとパラダイムだと思う。知識じゃない。組織なんだ。


 その組織の土台に壊さないといけないものが多々ある。階級社会は壊す。科学は数が力だ。今も痛感してるが科学者が少なすぎる。それを養うには食料生産だ。そうなるとすべて過程が繋がってくる。正しく力富知を実践してる。ただそれでも嘘偽りがないのは、小目的の過程がちょっと違うんだよね。そしてその後乗り越えるべき様々な課題自体が自分の中で最終ゴールのための過程ではなくなってる。


 並列なんだ。多分僕は最終ゴールにたどり着いてもあんまり感動が無いだろう。理由はもうすでにその強い感情はずっと過程で抱いてるから。それらは優劣などなく並列するものなんだ。ただ順序があるだけ。


 良彦から引き続き文が届いた。どうやら返事を見ずに書いたらしい早すぎる。アイルランド攻略に手を付けたようだ。僕が言ってくれたこと守ってくれてるようだ。本来この2島は日本のように統一されてもおかしくはない。アングロサクソンが上書きしてしまったのが原因だが、それは日本も同じだ。日本と決定的に違うのはケルトもアングロサクソンもほぼ同族って点だ。縄文と弥生ほどの離れた人種ではない。


 ただ文化的にはそれぐらい離れているらしい。元の農耕民プラス採取民の混血集団に文化が埋没してしまったとのものがあり単純にケルトではない。ただそれでも似通った集団なのに何故?ってのが何故か放置されていたからな様だ。だからこそすぐ手を付けないといけないんだ。


 ただすぐ届けてきたのはのんびりやるらしい。急ぎ過ぎたのは感じてるようだ。ローマに実態が知られる危険を冒してるから。どうせばれるだろう?その前にローマが衰退しないかな?と。でも激動の時代だけど、ただ待ってるだけだとくそ長いんだよな…。早く東で動乱が起こらんかな。その後ゲルマン人将軍の時代が来るはずだ。


 取り入れが来て、最後にあまりに多い移住者にローマが崩壊して終わりと。50年は待たないと手を出すべき変化はない。100年以上歴史を早めてしまったがどうなるだろう…。


 アイルランドは、親しくなった数部族に勧誘した船員を中心に連合を作っていく形みたいだ。そして後は僕がアドバイスした飴戦略で行ってほしい。とにかくゆっくりやるなら武力衝突はできる限り避けてほしい。すでに日本の影も形もないからな…。余裕があれば他国の船員連れてきてほしいよ。この一員であるのを誇りに思ってほしい。それだけのものは作り上げつつある。


 船員?だけど、説明も欲しかったな。分かるけどね、海沿いなのでそのまま交易するんだろうな。品物が謎すぎるが、船員はほぼ異国人いないからな。こりゃ日本が黒幕なのがばれるわけがないわ。しかもだ異国人ですよって船員は皆さらに日本と無関係。これが別の地域との品を持ってくる証拠になってる。日本の関与をすべて消せる。


 アメリカだけ特別に原住民の戦略を180度転換した。以前から考えていた懐柔策飴戦略の徹底に変えた。イギリスですでに?となるが、あれは送っただけでどうするか?は良彦が決める。僕は相談されただけだ。命令したわけじゃない。これは明確な指示だ。それと言うのも後の時代を考えると強引な侵略の問題が残ってしまうからだ。


 放置しておいてもあんな生活自然とやめてしまうんだ。それを無理につぶそうとするのは、結局侵略する側が文化的優位をうたっていても実情はみじめな生活だからだ。本当の意味で乗り換えるほどの魅力を持たないんだ。友好的なローマ人がちらほらこの戦略に疑問を投げかけているらしい。だから僕はローマ嫌いなんだよ。


 あの国史実で最も早い民主化した国なのにそれなのは、占領した民と分けてるからなんだよな…。実はローマ全体で見たら民主国家じゃないのとさっさと帝政に戻るからなんだよな。根本的にはこてこての帝国主義だよな。ああいうやり方じゃダメなんだよ。今は繁栄してるが、微塵もローマが残らなかったのは魅力がないからなんだよな…。


 ローマが残した最大のモノってキリスト教だよな…。広大な領地は与える気はないが、ある程度は自然保護区として狩猟民の自治区を残していこうと思う。ただ問題は運輸と資源。これだけは無茶しようかな…。後はいろいろ妥協はするつもり。独立派最低限、これを根付かせてからだな。


 独立したら途端に原住民奴隷支配に置いたらがっかりだよ。アメリカだけはグアノの影響で食料の余裕があるんだよな。これが上手くイギリス組とかみ合ってる。後イギリスも多分探検冒険から交易へのシフトチェンジで自給自足できるようになる。アメリカ怖いから技術流出かなり神経質にやってる。あの国どうしても独立してしまうよな。


 日本より強大になる下地があるのに日本の統制下って不自然なんだよな。宗主国の立場がイギリスとよく似てる。

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