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 良彦は迷っていた。前回の戦いからあまり時間がたってない。なのにもう攻めるのか?


 ただ思ったよりローマ軍が少なそうなのと、何より援軍を断ってしまうのがあまりに簡単な事に気が付いたからだ。前回準備しておけば思うがそもそもローマ軍が左程の数じゃないと分かったから決断できたのもある。いやそれも違う。数で負けていても問題ないと分かったからだ。これはやってみないと分からない。


 さて問題は絶対に北部連合の侵攻が必要だ。これに関してはあまりに都合が良い。前回参加数が少なかったのが大きい。大半が自分たちの事を知らない。だが勝った事実は少数が伝えてくれた。もしすべてが知ってしまったら逆に警戒されないか?と思うのだ。多分勝てる。だったら次に強大な存在になるのは自分たちだ。だがそれを知らない。自分たちに対して勝てる可能性を見出しただけだ。


 問題なのは多分乗るが、士気の高まりが弱いんだよな。動機を作らないとな。ローマの民がいるわけじゃない、南部にはローマの国民になったケルト系の民族がいるだけだ。彼らから土地を奪えない。中部の集団には強い動機がある。北部にはな…。場合によっては、対岸の領土を荒らすのに協力するか?


 時間がたってないのはメリットでもある。かなり数が減ってる今が一番勝ちやすいんだ。やっぱり和睦が不可解だ。大陸から援軍を要請したんじゃないか?それなら和睦なんて相手にとって都合が良いだけだ。むしろ船での戦いの方が都合が良い。よし迷ってる暇がない。むしろ不味い状況だと分かった。もちろん自分たちには全く害はない。


 だが、最もたよりになる味方の中部集団は叩き潰されるだろう。


 すぐに海上に向かった。船を見張るためだ。そのため港の位置を把握した。すべてを見張る必要はない。当然そこ以外に上陸もあるのだが、この場合ない。このケースでその警戒をする意味が全くないからだ。船乗りだから分かる。見つからないように上陸なんて危険が多すぎる。それはそれをする強い理由が必要となる。すべての海岸で上陸するなら座礁の危険があるからだ。


 同時進行で、北部連合に話をつける。


「かなりの数減らしたと思う。この機会に南部のローマ兵追い出さないか?」


「そこまでするのか?」


 やはり渋ってきた。


「何度も言うが、ここにもいずれやってくる他人事じゃないぞ。ただそれだけじゃない話をしよう。南部は同じケルト人だ。支配異民族奴隷なんてしにくいだろう。そんな事をしたら南部全域と戦いになる。南部の扱いはローマを追い出してから考えればいい。そこでだローマが出て行ったら一部占領して拠点を作り、大陸に略奪に行かないか?船については協力できるぞ?」


「可能なのか?」


「余裕だ。所詮大軍が頼みのローマ軍だ。船なら絶対に勝てる。だから連中はいずれ諦める。その後だ支配なら大量の兵隊に勝てない。だが無差別に海岸部で略奪だけして離脱するなら余裕だ」


 最北部の連中も誘おう。


「そいつは面白いな、よし乗った勝てるんだよな?」


「あああんたらが居れば勝てる。前回こっちの数が少なかったから。勝ち逃げして引いたが、そうじゃないならもっと徹底的にやるべきだった。なんで和睦なんて応じたのかな?って考えていたら連中多分援軍を呼ぶ気だ。そのまえに叩いてしまおう。そして援軍は船で叩き潰す」


 虎の子の外輪船を持ってきた良かった…。凪になると連中漕ぎ手の船で攻めてくるからちょっと危ない。そこを暴れてやる。あれ見た目は中で人力だと多分思うだろ。徳丸様からも聞いてるし、散々交易で連中の船のレベルがすごく低いのは分かってるからな。まさか攻めてくるなんてみじんも思ってないだろうな。


 即断即決すぐに中部に知らせて同意をもらう。もちろん援軍呼ぶだろうって見通しはしておいた。連中も騙されたわけだ。たとえ呼んでなくても、呼ぶだろ?って言えば押し込めるわ。だって減った数もそのままで良いわけないだろうし。本当なら、南部の不穏分子や、アイルランドからの協力などいろいろやれるのだがな、そんな時間は全くない。


 南部が見えてきた。やはり砦ぐらいあるよな。これは各個撃破できるぞ。連中は集まるのが遅いのは前回の戦いで分かった。数を集めることに有利さがあるので、待たないといけないんだよな。そうじゃないと力が発揮できない。うーん、軍を運用するならこの道路はすごく賢いやり方だ。だが攻められるとこれものすごく問題ならないか?


 大砲を車で運ぶのに無茶苦茶楽だ。防衛設備があるだろうから、あるだけ持ってきた。持ちこたえて集結するのを待つ戦略。絶対間違ってないよ。むしろ実に合理的、だがそんな時間与えない。これは思ったより勝てるぞ。これが以前徳丸様が話してくれた電撃作戦だ。


 防衛設備での戦いなので前回と違ってとても戦いにくいはずだが、大砲が無ければだ。さて本来なら無い道を作るか。どーんー。


「いけー」


 さすがに砦を真正面からは壊せない。だが大砲で連中の通り道部分を破壊して道が出来たのでなだれ込んだ。その間にも弓兵を銃で殺していく。弓はこういう高所の敵に弱い。逆に相手は強い。無駄ではないが、後でいくらでも矢を使うので温存だ。スピード命だ。進軍によってどんどん相手の数を減らしていく。


 脆い、防御が働かない砦などすぐに終わる。他の砦もあるだろうが、放置して中央を落とそう。連絡してる間に攻めてやる。砦から出ればどーせ倒しやすいし。こんな形で中央までいくつか拠点をつぶしてたどり着いた。これはすごく楽な形だ。総数であたるのを、かなり減らして進めた。


 ただ捕虜を取ってないので、それなりに逃げられた。でも皆が中央に集まってるわけじゃない。


 数が少ないので野戦を挑んできた。これは当然だろう。展開しないと大軍のメリットが生かせないのだから。だが今回は前回と違って十分な兵隊の数がいる。むしろ有利だと思う。おや?詳しく伝わってないのか?敗戦をかなりマシに伝えたな。じゃ数の有利さがこの程度じゃ役に立たないのを見せてやる。


 とにかく相手の集団での前進を止めて、騎兵を徹底的につぶそう。アウトレンジ攻撃は機動力に弱いんだよな。拳銃は?あれは対騎兵で使うから。まさかこんなに騎兵が豊富だとは。ローマって戦車だと徳丸様から聞いてたのに。騎兵は前回のようにつぶす。今回は、前回と違ってすぐに騎兵を狙った。


 前回歩兵用に作った部隊を直前で騎兵に変えたからな…。今回はもう分かってるので、騎兵狙いでいく。相手が近づいてくれば容赦なく鉄砲の集団攻撃。騎兵は数さえ減れば歩兵でも対処できる。まとまった数をとにかくつぶさないと。


 前回の戦いで、重要な集団のかなめになる兵が大体わかるようになった。それらを徹底的に騎乗狙撃と自分の長距離狙撃でつぶした。後は前回のように穴をあけて食い破る。今回食い破る部隊が多いからな。他にも相手の数の多さによる攻めに対して、前回よりうまく北部連合の連中が守ってくれてる。


 連中まだこの戦い方に慣れてないから手が回らない部隊を相手してもらうようんしたんだ。中部連中は慣れたものだ。やわらかい穴が開いたら速攻で食いついてる。


 逃走などを含んで、同数になったら北部連合も食い破りに参加してきた。こうなったらもう形勢逆転だ。明かな不利になったため、ローマ軍城砦に逃げ込んだ。うんうん分かってるよ。援軍がくるから全く諦めてないよね。大砲でコテンパンにしたが、うかつには入らなかった。じわじわと削った。阿吽の呼吸だ。こっちは援軍が来ない可能性が高いと見てる。あっちは逆だ何故じわじわやってるか分からないだろう。


 そもそもあまり乗る気じゃないからね北部連合。被害少なく略奪をしたいんだ。


「良彦様」


 お来たな。


「援軍は全滅させました」


「分けてくるかもしれないから引き続き警戒を頼む」


 自分のケルト語はやや拙いので、中部ケルトに頼んで降伏を呼び掛けてもらった。使者とかやりにくい。自分たちが有利だと思ってるから。大声で張り上げてだ。


「和睦したのに攻めてくるとは卑怯な蛮族めと言ってくれたな。お前らの魂胆は分かってるぞ。卑怯なのはどっちだ?時間稼ぎして援軍呼んだろ?騙されたのに気が付いんだよ」


 しばらく間をおいて


「さてもう何日待ってるんだ?お前ら何も知らないと思うが、もう援軍来ないぞ?何故か?ここは島だろ?歩いてこれないよな、船を沈めたからだよ」


 さーてどうするかな?


 数日抵抗していたが徐々に減っていく状態で使者が来た。


「降伏します」


 話し合いになった。事前に伝えてある。降伏したものは殺さないが、移送させてもらう事。ローマには戻れない。それが嫌なら続きをやろうか?と吹っ掛けた。連中はすぐに応じた。分かってる。助けに来てくれると思ってるんだ。無理だよ未来永劫ローマはイギリスに来れない。そしてお前らは海外送りだ。


「本当に勝ってしまったな…。俺らって従属はしてないが、一応同盟程度にはローマとやってたんだ。つえーのが良く分かってるからな」


「南部のケルトはうまくやってほしいな。一部だけは強引に接収するけど、後は基本任せたい。ただあんたたちもはいそうですかと簡単にはうなづけないだろ。その辺りは相談して決めてよ。戦いには手を貸さないよ」


 戦後処理として、徳丸様がドーバー海峡って呼んでた一帯を占拠した。ここだけは絶対に渡すわけにはいかない。後はどうしようかな…。大船団以外無視しようと思ってる。その程度は上陸後に地元の人間がつぶせばいいかなと。ま後はなんとかなるだろう。戦後処理として、残ったローマ兵を北部に分散して連れて行った。後船の戦いでもそれなりに助けたらしい。もちろん海外移民として使うために。


 アイルランドフェローは反乱されたら怖いので、アメリカに。まさか海外になんて思ってなかったようだ。良かった分散して、これ絶対反乱されていたわ。しかもイギリスにいても助けに来ないけどね。管理がめんどくさいんだよ。アメリカなら多分諦める。そこまでいないけどね。連中降伏が遅れたので後が面倒なので殺しておいた。早かったらどうしてたんだよって感じだけどね。


 それでもこれは大きいわ。自分はまたイギリスでも現地妻作ってしまって、つい思う。嫁さんみつけてあげてほしいわ。そうだ数が多くて負担なら、もっと分散させよう。日本に連れてきても面白いな。さてここからどうやって日本の領土にするかな…。人さえ送ってくれば武力で支配はたやすい。ただなそれじゃつまらないな。


 とりあえずは略奪で目をそらして、後は、その間に一体化してしまおう。あくまで内の話となるように。そしてそのうちの話だよな。武力は見せつけるが、行使は避けたい。その中でどう国内をまとめていくか?後アイルランド統一した方が良いな。徳丸様には話しにくいな。だって強引に連合軍でローマ追い出したからな。日本として統一してやったわけじゃないから問題山積みで。


 こりゃ現時点では親日がせいっぱいかな…。


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