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「徳丸様どうですか?」
「いいねー」
トラクターの使用を見てる。機械化が当たり前になった時代からすると変な気持ちだが、今でもある。機械で握った握り寿司が職人と比べてってやつ。単純だからと言っても初期の機械は案外やらかしてくれるものだ。それが悪くないってわけで。後これもう数台目。着々と増えてる。どんどん省力化が進んで、他に回してる。豊かになっていく。
この後公害とか地球環境とかいろいろあるのだが、それはもう意識から消してる。最低現代レベルまで上げたらいろいろやらないといけない。ただ害のひどい公害はもっと早く手を打つけどさ。ああもう、ハーバーボッシュ法いらないわ。すさまじい。でもやるよ。機械化を他の領地に出せないからね。
化学肥料ならしこたままける。うちの人間は、どんどん工業化要員として、または外に出していく。
「今回は皆に協力する。久しぶりだね、最近自分たちで独自にいろいろみつけてるから僕必要ないと思ってない?僕はまだまだ不満なんだよね。今日は元素発見をやる」
そういって僕は水酸化ナトリウムの個体を直接熱して溶かしたものを電気分解した。そうするとナトリウムが析出する。だがこれは後に廃れてしまう。その理由はOHの方が邪魔をするからになる。工業化としては塩化ナトリウムの方が重要になる。
「これが塩の塩素じゃない方のナトリウムです。空気に触れてると自然発火する可能性があるので、すぐにガラス瓶に保存します」
「これ何故今回のテーマにしたか分かりますか?」
「水に溶かさない」
「そう!良いねー。この方法なら多分他にも見つけられるし、その新元素達はとても社会の役に立つでしょう」
んまーボーキサイトね。飛行機さっぱり進んでないが、グライダーぐらいは作ってほしい。その後は内燃機関が作れないと無理だ。そしてアルミの出番だ。
はー、理系学生を教える先生から塾の講師ぐらいに昇格したかな…。攻略法教えてるだけじゃ科学者には届かない。本当に不満だ。僕は科学者の先生になりたいんだ。これでも現代なら科学者になるだろう。だがそれは十分に整った環境がある現代だから通じるだけだ。何もないところから職人たちの前を行き彼らの導き手になる科学者。産業革命の後の時代にやってきた科学革命の時代を作りたい。
間違いなく産業革命は欧州の進んだ工業技術が爆発した時代だ。だがその後さらに豊かな社会を背景に扶養できる知識層を増やし科学は爆発したんだ。職人の技術じゃ真似されてしまう。
え日本は追いついたじゃない?いやあんな事簡単にやる気はない。後の戦争を見てみろ。あれでよかったのか?とルーズベルトは言うだろう。黄禍論はなんだったのか?言語化されると簡単にまねされる。なら科学の方がやばいじゃん。潜在的な敵国に教えればな。後日本の事舐め切ってたわな。確かに中国のすごさを知ると日本なんであんなアホだったんだ?って驚く。
中国の技術史を知ってしまうと、日本ってなんであんな劣った国だったんだろうって驚くほどだ。まあいずれ教えるけどね…。でも分かるかな?僕はルーズベルトなんだ。もっと教え方を上手くやれたのでは?って点とかね。ドイツと言う敵もいたから、反抗的な理由が人種的なものではない。じゃなんだろうか?
イタリアは置いておいて、根本は植民地が少なかったからなんだ。なるほどじゃ、あれが不味いのか。あれはなんとかなる。僕は世界を支配する気が無い。ああいった帝国主義は終わりにしたい。
ああ分かった。技術発展だけじゃ加速力が大したことないんだ。真似できないってのこれだ。僕は日本にあそこまで親身になって教えはしない。得が無い。みたろあの大戦を日本に教えた国々の誰が得をしたんだ?ただそれでも明治と戦後の日本っておかしいよって言いたいレベル…。普通はできない。
まあ日本を基準にして、どう教えるか?考えると頭痛くなる。我が国ながら本当に困った国だ。一番の難問が我が国とは…。
動力繊維機が完成してしまった…。うーん、これ戦略物資の帆以外は適当にやろう。人力機の普及だけでもすごい事になる。高級品にしておいて暴利をむさぼろう。輸送の問題が多くて大量に作ってもいろいろ問題があるんだよな。他にもいろいろ問題がある。余剰人員をできる限り作って金になる知識層を増やす。
これはそのうち九州ぐらい統一したら貨幣を作った方が良いな。そういえば天皇家は時計持ってたな。まだ大王家だが時計を献上するか。
天文学のための望遠鏡が限界まで大きくなった。これ以上は天文台が必要になる。どうしようかな…。後回しにしよ…。標準時間もできたし、この分野縮小して他に振り分けよう。らしくないのは知ってる。でも道具の発展が無いと限界なんだ。顕微鏡も限界がある。ただあれはいくらでもまだ菌見つけてほしいからな。
天文台作るの何か乗らないな。ここからは宇宙に移るんだよな。それは量子力学やったほうが絶対いいんだよな。人員と社会的な富の蓄積かな。
「専門の立ち上げるほどじゃないけど、波について研究してほしい」
「水に生じるあれですか?」
「うん」
「専門の学問は作れないけど、科学の基礎の基礎になる。今までやってこなかったので、例えばで例を見せる」
たらいに水をはって、板を立てて波を起こす。回折現象を見せる。
「どう?当たり前かもしれないけど、波ってこうやって後ろに回り込む。これって案外不思議な現象なんだよ。例えば矢なら障害物があったらそこでぶつかって止まってしまう。木なら刺さるとかね。波にはこうやっていろいろな性質がある。定量的にも何か見出せるものがあったら調べてみて。あこれ富に結びつかないな…。いずれものすごくこれ力にも富にも重要になるんだよね…」
そういえばアメリカの農業生産性が高い。グアノの利用日本だとまあそれなりにやってたけど、アメリカはガンガンやってた。グアノの良質な採掘場所があるからね。輸送費の関係で面倒で地産地消してた。おかげで地域によって全く利用価値が違う。こういったものがそれなりにイギリス攻略を助けている。
以前にグアノの地域差の話を聞いて、断念していた輪栽式農業や土地によってはノーフォーク農法など伝えておいたためかなり効率よくやってるようだ。これは日本でも一部地域でやってる。ただ全体の収量が寒冷化には大事になるので、あまり注視してなかった。アメリカは化学肥料無しにしばらくは問題なく寒冷化のりきりそうだな。
ただ現地民との関係は日本も関わってくる。やはり上手く行かなかったら武力をもって対応しなくてはいけないからだ。それを辛抱強く友好的にやるだけなので。
アメリカでそうなってるなら、害虫の影響を調べた方が良いな。ただこれは現地での調査が大事なので一部はアメリカ言ってもらわないとな。輪作の害虫被害を減らすため食料としてる作物が違うものを輪作した方が良い。同じ虫がつく作物は避けるなど。後これ細菌もあるから、そっちの専門家も連れて行ってほしいな。顕微鏡もってかないと不味いか。
とりあえず大きく生物に作物の病気の細菌と害虫をメインにした学問の立ち上げだな。




