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「父上馬についてですが、馬の運搬でもうけて、かつ馬産をして、そろそろ中国の船のような板を組み合わせる船を作り始めませんか?鉄器を使った木工職人そろそろ数そろってきたのじゃないですか?」


「一度にまとめてだな。それにそれは他勢力に武器を売るようなものじゃないか?」


「馬はやがては増えます。逆に言えば今なら儲かるのでどんどん他勢力にも売るべきです。そして自分たちが真っ先に増やすことをすれば馬の数で負けないはずです。同時に馬が鍵なのですが、大量輸送という点でダブルカヌーでは限界があります。それにあれ遅いんですよ。元々外洋に対する安定性をとったもので、貨物船としては効率が悪いです」

「後馬産ですが、別勢力と強く協力して育てると言う場所も作るべきかと思います。自分たちで育てるのは特別な場所にして、九州では別勢力と協力体制とするべきです」


「何故だ?」


「馬に使う土地がもったいないです。農作物を育てるのに向いてない土地を使うべきだと思います。熊本(当時は別名)辺りの勢力と協力してとなります」


「思い切り敵国だな…」


「ですが直接は国を接していません。敵の敵は味方と間の勢力にお互い対するとしていけば問題ないかと、いずれ接するときには別の地域の馬産が育っていればいいのでは?と考えています」


 日本地図を広げて


 この日本の北部が良いかと思います。


「なんだここは…」


「今は不便ですが、この近くの大陸には馬上戦闘を得意とする騎馬民族がいます。彼らと将来的には交易できるのではないか?と考えています。後その島の勢力は農業をしません。なるべく敵対したくないのですが、多分大きな集団にならないのでそれほど脅威にならないかと。ただ長期的には馬を狩られてしまう危険性が有ります。ここだけどうするか?が難しいです。馬が有用である狩りがあれば協力しやすいのですが、行ってみないと分からないです」

「ただ見てわかりますが、無茶苦茶寒いです」


「この地図は初めて見るな…」


「ああそういえば、半島とこの島の関係性だけを書いた地図しか書いてなかったですね。これが大陸に対する島の概要です。南に後大きな島が2つほどあります。もっと大きな地図も書けますが、それはまたいつかにしましょう」


「どういう事だ?」


「海を延々と進むとどうなるのか?その問いの答えです。いつかは果てにたどり着きます。ですがその果ては元の位置に戻るのです」


「なんだそれは?」


「どろだんごを握って作るとします。これを玉とします。このたまに水の膜がついてるとします。それが海です。これは思い込みじゃないです。何度も僕は海を前世で経験しています。誰しもが船乗りなら気が付くことで、陸から出発してやがて陸は見えなくなります。これは海面が曲がってる証拠なんです」


「それは分かるが、にわかにだからって丸いのは信じられない」


「ええそこは良いです。いずれ一周すれば誰にでもわかります。わが家は海洋国の王になるのが目的です。ただこの島の王ではないです」


「なんだって?」


「海の力がそのまま陸の力になるわけじゃないからです。ある程度の力は頑張りますが、このいくつかの島の王は別のものがやるべきだと思っています。安心してください父上の生きてる間には全くその兆し見えてきませんから。僕が子孫たちが見えてくる土台を作ります」


 5歳になったたたら製鉄の生産が可能になり、刀の生産にめどが立ってきた。刀は苦労のわりに単純に良い武器にはならない。これは騎馬戦闘によって大きな意味が出てくる。騎馬戦闘において槍より刀の方が有効になる。刺してしまうと抜けなくなって落馬の危険が高まる。じゃランスってなんだったのか?


 だからあれは少し形状が違ったんだと思う。実際使ってみないと分からないがあれはそういう問題が無いのだろう。それに刀は馬上から人を切るものじゃない。最大の目的は相手の馬をきりさくためのものになる。駆け抜けるときに刀によって馬の皮膚を切り裂く。人間への攻撃はそのついでになる。どっちにしても騎馬VS騎馬になる。


 考えてみると低い位置にいる人間はとても切りにくい。なぎなた形状のものじゃないと苦しいと思う。馬上から楽に人を切るなら中国で発達した槍と矛みたいなものになるかと。高度な技術の塊で、性能を上げていく必要があるため馬上戦闘が出てくる前に用意しておいても良い。


 後海外の鉄鉱石からの製鉄による鉄の輸入ができなくなる可能性も考えてが大きい。剣や槍、矢じりなどで使えるのでたたら製鉄が無駄になる事はない。ただ将来的にコークスによる高炉を使った鋳造を目指したい。そうなったとき代替以外の意味は刀の生産にしか役に立たないのが大きい。


 後者の方法は、海洋航路の発達が不可欠なので我が家の大きな力になる。高炉自体はすでに中国にある。ただ問題は石炭を使った高炉より、硫黄分を排除したコークスの生産にある。こちらでかなり手間取ると思う。まずは木炭を使用した高炉の開発と、その後石炭をコークスにする方法の開発と言う順だろう。


「父上そろそろ北九州で確固たる武装集団の地位を確立しないといけないと思います。僕たちの一族はもうけ過ぎました。いくら十分な鉄器をそろえてると言っても、いずれは他の勢力にも行き渡ります。そのまえに数の有利さを生かすべきです。爺様を交えて勢力拡大を目指すめどをたてましょう」


「ああ確かに今なら豊富な鉄製の武器によって有利に展開できそうだな。父上にも相談しよう」


 爺様も加わって話になる。


「あのな、ワシはこんな豊富な鉄器で戦う戦争なんて知らん」


 開口一番なんだよそれ。


「だからこれは徳丸の戦争なんじゃ。お前何かしらの目的があって鉄器を集めたんやろ?それを話してくれんとどうしていいか分からん」


「確かに、青銅の武器に変わって圧倒的な性能を持つ鉄器を豊富に集めれば有利になると思って、当然そんなのが1つ2つあったところで大きな力にはならない。だからたっぷり集めたんだけど。特に上手なものが使えば青銅の剣をぶった切ることもできる」


 まあこれがさっくとできるのは多分刀だけだと思うけど。下手したら石器の武器とかどまりの中で、鉄器で固めた集団はかなり怖いと思う。


「2タイプの部隊を創ろうと思ってる。1つは以前からうちの財力で育ててきた専門兵士。後は一部の隊長格以外は農民で集めた部隊。後者は数を圧倒的に見せるためになる。こっちは経験も練度は低くてもかまわない。んで、後者の部隊に弩を持たせる。専門兵士には弓を鍛えて連射の強みと狙いの精度の高さを求めようかと」


「弩をやたらと揃えてると思ったらそのためか」


「うん、弩は弓より構造が複雑で作るのが難しいし、出来たら大陸の技術で作ったそのものが良いから財力がモノを言うからね。でも優れた弓兵士の方が総合的には向いてると思う。どんな兵隊を使うか?で武器を変えれば富を力に変えることもできる。農民兵には投石をやらせようと思ってる。ただの投石じゃない」


 そうして僕はスリングのようなものを見せた。


「これで投げれば素手で投げるよりも威力が出るので、ただの石かと油断してくれるとかなり効果がある」


 ただ皮とか繊維がまだまだ少ないので、この辺りも産業としてもいろいろもってこないといけない。家畜や綿花の生産、絹は時間との勝負かな。まだ頻繁に見かけるわけじゃないが、この辺りの時代に絹は中国から入ってきたと思う。


 戦争が始まったが僕はまだ5歳留守番だ。以前から境界での小競り合いが多かった隣の勢力との戦いだ。この時代実は以外に動員数が多い。人口はかなり少ない。何故か?むしろ武士の争いが極端に少なかった。関ケ原辺りになってこりゃすごい数だというような戦いになるが、平安から鎌倉の武士誕生の頃は本当に小さな争いだった。家と家の戦いぐらい規模の小さな戦いが多かった。


 それでも勝てた。まだ本格的なものじゃない。小競り合いが発展して境界線を変える戦いだが、相手勢力をすべて呑み込むまでは発展してない。わざと抑えたのもある。新しく動員した専門兵士に経験をさせるのが大きな目的。一見無駄に思えるが、昔の日本には、天皇家直属の大量の専門兵士がいた。


 むしろその後の武士の戦いの方が妙な戦いになる。ただそれらの混成じゃないと成り立たないのは、相手が農民兵を連れてきたときに数で圧倒的に不利になってしまうから。天皇家直属の国軍、この形でしか明治まで日本んは専業兵士は極端に少なかったと考えられる。


 指揮官としての専業兵士=武士ではない。一兵隊まで専業兵士の部隊の存在。これは圧倒的な財力がなせるものだと僕は考えている。日本の戦国時代の農民兵より、中国の戦国時代の徴兵された農民兵に近い。地方勢力の集団と集団の戦いって見方が近い。戦国時代はどうもその辺り武士と農民の関係がそこまで密接なものばかりじゃない。


「戦勝おめでとう」


「無事勝利できたな」


 僕は日本地図を出して、下関辺りを示す。


「とりあえずはこの辺りまでで良いと思う。その理由は、とりあえず装備を充実させた軍隊が通用することは分かった。これからは今持ってる地域の農作物の生産性を上げて、戦うための糧を十分にして、じわじわと相手を追い詰めていけばいいと思う。大きくは広げない理由は」


 そういって近畿を指した。


「こことの関係を何とか築かないといけない。遠くない将来僕らの地域は、この地域の王に支配される」


「馬鹿な」


「大きな米の生産地であり、かつその地域を1つにまとめる偉大な王がいる。この地域に王がいるのは分かってるよね?」


「ああそういう話は聞いたことがある」


「いずれじわりじわりと東西南北をせめて、抗えないほどの勢力になってここにやってくる。この地域も十分大勢力だけど、どの勢力も強すぎるのが問題なんだ、互いに拮抗しあって大きな勢力にはならない。なったとしてもすぐ分解してしまう。それに対してこの地域の王権は長期に続いていて勢力の数の有利さが連鎖するように拡大していく」

「ここで頑張るよりも、あちらの地域の勢力に参加して彼らの中枢に早くから入り込んだ方が良い。問題は2つ、この大王おそらく漢末期の皇帝のような最終的には操り人形になる。その操る立場になりたいってのが一番の目的。問題は関係をもった時に大きすぎる勢力は目をつけられてつぶされてしまう。じわじわと実権を大王から取り上げていかないといけない」

「そのためこの地域で十分生き残れるまで成長させたら目立つ拡張はやめるって事になる。もう1つの問題は離れた地域にある同族の2勢力はいずれ分離して別の家になってしまう。これについては手がある。こことあそこを将来的には間をつなげる」


 そして僕は地図を指し


「この島国すべてをすべるが王ではない勢力を目指す」


 二人は唖然としている。


「ああ当然これは3女神の恵みだよ。あっちの大王もどーせ似たようなことを言ってるよ。僕が特別なのは、実際その通りにほぼなる点。神のお告げの大半は僕から見ればインチキだと思ってる」


 爺様が話始める。


「やはり腑に落ちないのはそこまでするなら何故最上を狙わない?」


「こればかりは恵みだね。僕の恵みは先への見通しってのもある。予言的なものが度々ある。中国と日本の違いが具体的には分かりやすい。中国は前の王朝を完全に滅ぼして次の王朝を作り上げる易姓革命だと思う。日本はそこまでしなくていい。実はこれ良い点がある。わが家に不満がたまって攻撃されるときに王朝打倒の流れに対して隠れられる。王は別にいるからね」

「中国はこれができない。前の王朝の勢力の反撃が大きな問題になるから。そしてこれが中国のように問題にならないってのはまさに予言なんだよ。中国でも周が戦国時代にこの形取ってる。始皇帝登場までには消えてしまったけどね」


 以前から仕込んでおいた各地方の漁村を利用することにした。あまり農耕に向かない土地を漁村の拠点としてそこら中にばらまいた。そこを拠点に近畿の日本海側と太平洋側から進行を開始した。ただしできる限り戦闘は避けて美味しい場所としての準農業地を開拓していった。これなら軍事的侵攻ではないのでないか?


 それは違ういずれは美味しい地域を支配してる勢力を支配下におくか?武力によって排除するつもり。侵略者としてじゃなくて、あくまで土地争いの結果として戦闘がおこるって形にしたかった。いきなり攻め込み他の在地勢力と結託されると困るからだ。こちらもじわじわでいい。九州方面の農業改革の成果をどんどんつぎ込み武力以外にも指導というカタチで関係者を増やしていく予定だ。


「父上飛び地を結びつける良い方法を思いつきました」


「どんなものだ?」


「漁村網から主要な交易地港をじわじわ支配下においていきます。これらを海を使って1つの集団にして、やがては間の陸をつなげてしまえば良いと思っています。これはとても時間がかかります。僕が子孫まで続くようにうまく手配します。それに自信があります。この方法なら飛び地運営において一番問題になる各地域が独立するうま味が無いです」


「海の民であるわれらの強みを生かすというわけだな?」


「はい陸の支配地を広げていく勢力には全く思いつかない方法だと思います」

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