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徳丸様から様々なものが届いた。まずアメリカには繊維関係の道具が改良されたので職人を派遣して現地で作るそうだ。綿はあるので帆の問題が劇的に改善するらしい。こっちは綿が無いので無理だ。後それらで作った絹織物が届けられた。これがキーになるそうだ。遠大な計画を聞かせられた。他には最新式銃をもらえた。完成品の後1丁は徳丸様が持つものだけらしい。この地での戦いを余程重視してるようだ。
以前聞いたのだが、良彦は信頼してるが、その後継者は分からないと答えて。いずれは独立しようとする動きがあってもおかしくはない。その時武器が強大すぎると怖いと述べていた。そのため最新式は出せないのだと。独立に関しては敵対しないならいずれは問題が無いと、ただイギリスはダメだと話してた。ここは欧州の重要な拠点になるからと島をなるべく世界中で支配したいと、航海に圧倒的強みがあるのでらしい。
ただどうしても日本から距離があるところは仕方ないので、欧州の味方にならない限りは仕方ないとも述べていた。
遠大な計画というのは、今まさにローマは最盛期だそうだ。でも寒冷化は全世界的なので、そのために民族の移動が起こりそれに巻き込まれて衰退するそうだ。だがそれを待ってると時間がかかるので、ローマと貿易をして力を蓄えろとの事で、そこで直接貿易をしてはいけない。これが遠大なんだ。
北に住んでる住民がいるので寒冷化の被害が多分そろそろ出てるはずなので、船員への取り込みと移住の持ちかけをすればいいらしい。どーせ後何百年もすると勝手に南下する連中なので、間違いなく誘いに乗るはずだ。それに船を見せつけるようにした方が良いらし。海洋民族なので船の価値が分かっている。
だが、ローマの交易には強大な船は使ってはいけない。なるべく中型とまりの船にしろとの。イギリスから南は海岸沿いで浅瀬も多いのでジャンクのさらに小さいもので良いらしい。イギリスの南部でも良い。とにかく彼らやケルト系民族を使って交易をして、前面に出ない事。ただ品は異国とも取引してると正直に言った方が良い。何かしらの情報を握ってる可能性が有るのと、支配欲を出されても困るからだらしい。
その時合わせろなったらあっても良いが、直接取引はしないと強くはねのけろだそうだ。今回大変な思いでここまで現地民連れていてもらったが、とてもじゃないが毎度毎度こんな航海はごめんだと。相手もこっちにこないのだから無茶は言わないだろうとの推測のようだ。
上手くローマ内を通れるようになったらアフリカ組からも生かせるので上手く連携すると良いとの事だ。後北方の地域は良い木が取れるので造船が多分楽だろうと。
参ったな、実に面倒な事だ。ただ細々したところはこっちに任せて修正してくれとあった。それもまた困ったことだ。それにしても徳丸様はローマを恐れているな…。3帝国との接触を避けてる。インドもやや及び腰なので大体の方向性が分かる。それを意識していけば多分大きな失敗はしないであろう。
これで味方を増やして、数年後までまって本島の北部地域の連中に反乱をたきつけて味方しろとの事だ。簡単らしいのは元々この地域の連中ローマに反抗的だかららしい。無理なら、なんとか南部と北部の間の連中を煽れと。この連中は実際支配されて不満がたまってるはずだかららしい。後は何とかこれに北部連中を巻き込めないかと。
無茶を言う…。確かに北部の連中はローマに反抗的だ。だからって戦うほどじゃない。間にある地域のせいだろうな。ここを言い当てるとは本当に徳丸様は…。ただ徳丸様が言うには自分が大きく動けば見えない未来になるとは述べられていたな。自分が徳丸様の神の目を超えるのか?なんとも…。
後半信半疑だろうからと助言があった。ローマは中東の商人に中華の絹を自国産だと騙されるそうだ。過去形じゃないのはまだ絹が入ってないかもしれないから余計な事は言わないようにとの。そんな馬鹿なと思うなら、それはすべて僕のせいだと書いてあった。良彦達も僕が居なければインドの品を中華の品だと中華の商人に騙されても分からないだろう?との事だ。
確かにそうだ。自分もこの環境に慣れてしまっていた。なるほどこれは妙案かもしれない。ただ反乱を煽れはやはり無茶をおっしゃる…。ただ数十年も待つのか?なら確かにそれはな。
徳丸は父上と話をしていた。
「そろそろお前も大人になる。数年後首長の座をもう譲っても良いのじゃないか?すでにお前には様々な実績がある」
「しばらく待ってもらえませんか?おそらくもう始まると思うのですが、小競り合いから大きな戦争になると思っています。原因は食料不足です。そして腹立たしいことに僕たちが頑張ったがゆえに食料がここには潤沢にあります。その財産を横取りする泥棒が現れます。僕はそれを一人とも許しません。その先鋒として戦いの総指揮を取りたいのです」
「それこそわしがやるべきじゃないのか?」
「臨時の役職のため僕が向いてるのと、後は兄上僕は死んでもなんとかなります」
そういって徳丸はにやりとした。
「ああでもな」
「もちろん死んでも良いやと思ってませんよ。秘策がちゃんとあります。この時のために準備してきたのです」
「よかろうお前を総大将に任命する」
僕は先頭に立つつもりなんてさらさらなかった。この時代としては超遠距離からの狙撃ライフルでの上位者殺しが狙いだ。後僕はこれでも2度目の人生だ。実は近代的近接格闘をいろいろ広めておいてその拾得者と前世と現世で鍛錬してきたのだ。だから歴戦の戦士でもある。特に今回は攻め入らないってのを徹底させるため抑えが効くトップが必要なんだ。
攻める、守るを徹底させられる前線指揮官がどうしても必要になる。守るだけじゃない、相手が弱ったら徹底的に相手の領地を荒廃させるつもりだ。緩衝地帯を常に作って戦闘していく。この難しい戦略をこなすのに僕しか適任者がいない。
小競り合いが始まった。まだ出ない。今回は徹底的に殺せと言ってある。抵抗がなくなったら国境にに呼んでくれと。抵抗がないとの知らせがあったので前線に向かった。将来的には全方位で戦う羽目になるかもしれないので、今から準備しておく。そうなるのは、敵をつぶさないからだ。どんどんつぶしていけば一方からの攻撃で済む。
「皆集まってくれたな。まず僕が今回の総大将に父上から任命された。子供だと思って侮られる事はさすがにないともうがどうかな?」
「もちろんですよ徳丸様」
そういって笑って和やかなムードになった。様々な実績があるからな。これまでも全く平和だったわけじゃない。それらのための潤沢な武器はすべて僕が手配して生産する体制を整えたのだ。警備に当たるものほどそれが分かっている。
「これまで小規模にしか使わなかった鉄砲を全面解禁する。大量に準備してるから潤沢に使ってほしい。ただ僕は皆の命を軽視して渡さなかったわけじゃない。奪われて相手の戦力になるのを危惧したからだ。今回解禁したのは、奪う敵を全滅させるためだ。文字通り全滅させる。このために僕がここに来た。これからやる作戦は複雑。それをすべて後ろから伝えるのは無理だ」
「それで僕が逐一ここで差配する。今までと違うのは、相手の領地からすべてを奪う。だが領土は奪わない」
「何故ですか?」
そりゃ不満だろう。
「ああ相手に生産させるためだ。すべて奪ったら撤収するのは、その土地でまた0から食料を作るのか?しかもだぞ僕らの土地が豊かにした僕が言うのだから、全然生産性が違う。それを0から人も全滅させるのに僕たちが全部やり直すのか?目的は僕らの土地から食料を奪おうとした泥棒へ制裁を加えて、かつ労働せずに食料を何倍にもして返してもらうからだ。どうだ楽だろう?」
「ええ」
「いずれは領土は広げるつもりだ。ただ分かってると思うが、新しい領土を得たとして荒廃した土地をまた良き土地にするのにすぐ出来ると思うか?その間僕たちも食料が思うように取れない土地で頑張らないといけない。十分に他の土地からの食糧援助がある時しかそれが出来ない。だが心配しないでほしい。これから寒冷化が来るが、その時代をずっと耐えるような生活を僕はさせない」
「やがてその中でも増産してみせよう。そうなったら土地を広げる。見ててくれ今の土地を奪えない不満はきっと解消して見せるから。良いか君たち、これは戦い方の1つでもあるんだ。例えば水もないやせた土地で農業に向かない土地があったとしよう。そこに好んで入りたがるか?僕たちがその痩せた大地を作り出すんだ。僕たちがすべて奪っていくから収穫できない」
「僕らの周りにはだれも住めない安全地帯がやがて完成する。これが今作戦の最大の目的だ。良いか何度も言うぞ、悪いのは豊かになった僕らから奪い奴だ。僕は自分たちの土地が他の土地からどう見られてるか?知っている。羨ましがって何度もこれまでもちょっかいかけてきた。今回はその比じゃない。やつらは作物を食い荒らす害虫と変わらない。一切の情けをかけるな」
戦闘開始だ。実はもう斥候を放ってあり、連中がまともに抵抗できないのは知っている。連中の集落まで行って虐殺するだけだ。順調に集落についた。そこそこ大きな集落だ。小さな集落の小競り合いではどうやらないようだ。見張りを狙撃部隊が片づける。防御を固めてる連中は大量の銃で殺して、持ってきた小型の大砲で柵は壊した。いずれ強固な砦とかになったら、自動大砲車を使う時が来るかな。
後はまず矢の集中攻撃で面制圧をして、集団で武器を持った連中でなだれ込みだ。
「えいえいおー」
掛け声をかけて煽っていく。乱取りの始まりだ。一応無抵抗なものは連れてくるようにと言ってある。だが少しでも減らせというのは伝えてある。判断はすべて任せると話してあるので助かるか?は無抵抗とは関係が無い運でしかない。僕は集団を立て直そうとするものを秘蔵のボルトアクション式銃を使って仕留めていく。後ちょっと次創るための試作品ならあるけどね、実戦配備ではこれと良彦に送ったものしかない本当に秘蔵の秘蔵。
いくら中に詳しくてもこの距離当たるのは全く分かってない。ふふこれも加護だと伝えてある。驚け驚け、安全圏からしっかり先陣を切る大将を務めてるぞ。
あらかた殺しつくして、奪いつくした。僕は捕虜を集めて、その後村に火をかけさせた。捕虜たちに聞こえるように
「また泥棒が巣くったらいけないからすべて壊すつくせ、皆ものこれが3女神の天罰だ!」
ほぼ一方的な虐殺だ。以前は小規模で反攻なんてできなかったので、この大軍と大量の圧倒的武器に今まで守ってきたものは留飲を下げていた。虐殺に抵抗のあるものはほぼ居なかった。さてこれからだ。
「全滅とは言ったが、ここに少数の捕虜がいる。彼らは殺さない」
がやがやと騒がしくなる。
「まてまて、ちゃんと理由がある。海外領土に送って海外に散った同胞のために役に立てさせるつもりだ。でもいっぱい送りたくても役に立つ間まで食料が無いだろ?だから大半殺させたんだよ。僕は皆を食べさせるためにこれから周辺から人減らしを行う。皆もそのつもりでいるように」
「徳丸様に感謝をー!」
え?そんなの普段言ってないのに…。うわ予想外の盛り上がりになってしまった。後何度かこういった戦いがあり潤沢な食料が手に入った。一部を海外領土に向かう捕虜たちの食べる分として、残りは九州で備蓄して、残った分を近畿に送った。余った分は大王家に取り入るのに使えと近畿の一族のモノに話しておいた。
捕虜の扱いについてだが、実は奴隷化するつもりはない。これはうちの民向けで士気を挙げるために言っただけで、特に反抗的じゃなかったら、きちんと他の移民と変わらない扱いをしてやってほしいと伝えてある。差別が嫌とかより、奴隷ってあまり合理的じゃない。種族が違うわけじゃないのに家畜のように扱うって無理なんだ。
良彦はありがたいだろうな。強力な土台が出来上がるから。移民は良いのだが、船乗りになると食料が無い。当然何かしら稼ぐか?食料生産の助けがいる。漁業もうまくやってるが、どうしても専業の船乗りたちがいる。どれだけこのメンツは他国からスカウトしても食料の問題で限界がある。上手くうちの農業生産の枠に入ってくれてる原住民もいるが、勧誘では限界がある。
かといって支配は苦しい。まず兵隊が居ない。その兵隊をそろえるためになんとかしたいので循環論法だ。いずれ原住民対策は本格的に考えないといけない。きちんと国があるところはうまく利用するか戦いしかない。
抵抗する勢力が消えた。後は食料と寒冷化をみつつ領土拡大の戦略を考えていこう。緩衝地帯が完成したようなので、僕は中央部に戻った。ただし、油断しないように近隣への警戒は怠らないようには言ってある。移住と軍備の増強などをちらちら見回って調べておくようにと。斥候じゃなくてこれじゃ忍びだな。食料のめどが立ったら諜報部隊を創ろう。
それなりに変化があった。大事な要件以外伝えないようにと話してあったので、拳銃が出来た。拳銃騎馬特攻部隊を創ろう。薙刀みたいので蹂躙するのも良いな。どうしても重火器は数が限られる。昔から作ってる青銅製火縄銃ならそこそこあるのだが。これはもともと命中率が悪いので大量にないと困るんだ。弓は山なりが使えるので銃ぐらいの距離は出る。まっすぐなら圧倒的に上だが。
弩がまっすぐなら銃に負けるが大量に配備できる。銃は何より威力重視。火縄銃が鉄に、そして、それらがどんどん新しい武器に入れ替わって大量になっていくのが楽しみだ。精鋭秘蔵として、銃は固めてある。あくまで主力は槍と弓や弩だ。これなら多分情報が拡散しないはず。拡散したころには新しい銃が出来つつあるとしておけば問題ないはずだ。
ただし狙撃は別だ。この手の独立遊撃特殊部隊をもっと作らないといけない。秘蔵の武器で相手の予想外をついていく。この情報は特に秘匿しないといけない。
近畿も深刻ではないが不作が多少はある。だが混乱は起きてない。これは理由がある。妬みはどちらにもあるが、あっちは意外と大王家を通じて周りに拡散してる。あくまで大王家を通じてだが、これはわざとだ。手柄を大王家にたてさせるため。だから感謝はないが、生産力の格差が軽減されてる。もう1つは大王家の権力がそれなりに強い。
ただこれには朝廷とは違う部分もある。2つの意味があって、地方を束ねる連合国家と、複数の家との婚姻関係による緩やかな支配にすぎない。そもそもうちは寒冷化の被害が出る前から妬まれて小競り合いを繰り返してるんだ。今回みたいに逆侵攻したのが初めてなだけで。
不作のところに大王家からの施しとして渡してくれと食料を渡したのは大変喜ばれた。よしあと一息だ。




