35
徳丸は寒冷化にかなりおびえている。本当はもっと積極的にやっていきたいのだが、寒冷化の混乱ですべてがパーになるのが怖かった。ついに実験室でのハーバーボッシュ法を工業的に展開する計画を技術者たちに伝える。もちろん科学班と合同だ。これは最も力を入れてるプロジェクトと言っても過言じゃない。ただまだ急いでない。
おびえてるが、心配なだけで多分なんとかなる。それぐらいかなり力入れてやってきた。これからずっと消極的に展開するのが嫌なだけで、寒冷化が定常状態になってしまっても今より積極的に展開するための最終手段だと思ってる。
イギリスでの計画が発動したようだ。だが膠着してるらしい。とにかく兵士が居ない。いくらかは送るが、あそこ寒冷化には重要じゃないんだよな…。フン侵入とローマ混乱を利用するにはイギリスを取っておきたいんだよな。だが今はリスクが高すぎる。うーん…。島ならと思ったがいくらなんでも人が少なすぎるよな。
狙撃ライフルが役に立ったらしいので武器送ろう…。パーカッション式最新式だよな…。後はすまないが人は現地調達で…。
北海道での寒冷地適応米上手く行ってるらしい。これを東北にいずれもってこれば完全撤退は避けられないかな?とりあえずこれも様々な地域に配布しよう。これ寒冷化が来たら天皇に献上しよう。今度こそ重職に絡められるはず。ただこの品種、寒冷化した北海道じゃ無理だろうな…。
「良彦様使者が来ております」
「通してくれ」
あっけなく降伏してきた。わけがわからん…。というか相手がそうなんだそうだ。銃が分からんのだろうな。突然殺されるからやっぱり魔法だと思ってるようだ。とにかく数が少なすぎる。すごく穏便な関係にしよう。北東のシェトランドの住人が通訳になってくれた。
「奴隷とかそういう関係にはしたくない」
これには驚いていた。ケルト系の住民は先住民をそうやって支配してきたらしい。
「ええーっと、まず攻撃しないでほしい。次におそらく増産できる農業を教えるので増産出来たら数年だけ援助してほしい。その後はその援助はいらない。ただこっちが圧倒的な軍事力を持ってるのでその分の費用が欲しいが、法外な食料はとらない。次に外敵が攻めてきたら一緒に戦ってほしい。それとあくまで希望者は自分たちがよそを攻めるときの兵士として戦ってほしい」
「最後になるけど、ある程度農地を拡張していくけど、あなた達領地をすべて奪ってなんてのは無い。どこかで境界線を引きたい。連合国だと思ってほしい。これまでのように統治はそちらの王にお願いしたい」
「それなら問題ないと思います。一応王に持ち帰って相談はしますが受諾されると思います」
その後交渉が成立した。妥協したか?と言えばした。奴隷的な支配はしたくなかったが、トップダウンにはしたかった。でもこの兵力じゃ無理だ。徳丸様の銃役に立ったかな。これすごい精度だな…。作りが根本的に違う。工作機械ってやつを使ってるらしい。これは自分たち独自じゃ作れない。
ただ拍子抜けだな。これからどうやって兵力集めようかと。でも、まだ島があるようなのでそっちを優先する。北西のヘブリディーズ諸島には本島に近い側が島になってるようだ。早速探索にいったがやはりこの付近は人が少なくなってるようだ。外と同じようにできた。これで北部は全島完了した。
後は本島に向けていつもの住人の引き抜きを行おう。南にあるというアイルランドとイギリスの間のマン島ってのは、これは本島と同様に引き抜きだけやろう。人が居なさすぎる。
「徳丸様、今回は何の集まりですか?」
「石油がたまってきたからね。まだ産業じゃ使えないけど、いろいろ実験してもらおうと思ってね。蒸留すると様々な油が出来る。で、この中で特に沸点が低いものを軽質ガソリン=ナフサと言う。これに熱を加えて、また蒸留するといろいろな物質ができる。これを調べてほしい。問題は、ちょっと高温な点と、もう1つはとても危ない。滅茶苦茶燃える油だからね。実験なのでとにかく少量で行おう。それぞれの蒸留の温度探っておいて」
さっぱり分からないのだが、イギリスの島決着がついたようだ…。へ?なんでも向こうは戦力より恐ろしすぎて降参したようだ。魔法だと思ってるらしい。ああドルイドか…。ピクトもケルト系だけどドルイドの文化あるのかな。兵士が足りな過ぎて無茶苦茶妥協して連合国のようになったらしい。これは仕方ない。送れない僕も悪い。文句言う立場にない…。
良彦自身が分かってるが、今はとにかく大人しくしててくれ。僕は攻めろとは言ってない。機会を逃すと苦しいと言っただけなんだ。ただそこにやってほしいって願望が無かったか?ならあった。それを良彦の独断専行とは言えない。案の定難しかった。良彦からすれば無茶ぶりに思えただろうな。ああそうか今後の歴史が分かってるから僕と良彦で温度差があるんだ。
現場は基本戦いたがってる。理由は武器のすごさを皆が理解してるからなんだ。当然だろう。これまで平穏無事で世界をまたにかけたわけじゃない。もちろん意図的に戦闘を避ける地域を選びに選んだ。だが南北アメリカはそうはいかない。史実でも欧州人と争ってる。今はこっちが少数なので抑えてるが、やがては戦略を示さないといけない。
僕の頭の中ではかなりの方針転換をする予定だ。この時代の常識的な方法はなるべく取らない。奴隷的支配だ。この後封建制の世界になっていくので特権階級支配って構図が世界中にある。だが僕はそういった民を必要としてない。そのため緩い統治にするつもりだ。今回独断で良彦が撮った戦略がやや問題があるのは、相手の特権階級をそのまま残したからだ。
もちろん殺す気はない。ただ権利を奪うのではなく、取り上げたいのだ。僕の代わりの人間が奴隷的支配をするのでは意味が無いからだ。権力者と戦うなら勝てるが支権力者から権力を取り上げて配するほどの兵力はない。実にやっかいだ。
兵力さえ整えば戦う場面はいくらでもある。その時も帝国とは戦わない。中国もローマもペルシャも潰れるのが分かってる。ただ中国は厄介だ。魏とは戦いたくない。今なら間に合うが日本を何とかする方が先だ。次の統一王朝が崩壊するのを待つか。朝鮮半島支配と重なるだろう。高句麗と多分今なら戦える。問題は唐までまって戦わないって選択肢を取る予定だったが、隋ができる前に中国に進出する。
世界征服はした方が良いな。ただその後の統治はゆるゆるにする。むしろ独立を促す。最終的な領土は太平洋国と中東のペルシャ湾の当たりにそれなりの大きさの国。ジブラルタル対岸のアフリカ辺りと南アフリカとマダガスカル、欧州はイギリス。インドはスリランカ。世界中の島々。ロシアと中国は朝鮮半島とロシア太平洋岸、そして中国は朝鮮から山東省、中国はモンゴル、チベットウイグルは勝手にさせて後はイギリスみたいな連邦にしたい。帝国じゃないゆるゆるの分割連邦。
ロシアも似た感じで良い。後アメリカは北アメリカの西側は独立可。ただ独立を許す所は親日であるのが絶対条件。
全くビジョンがわかないのが、中央アジア。あそこどうしようかな…。戦いだけはする。じゃないと反攻できると思ってしまうから。ただあそこって国家って枠組みが合わない。遊牧って合理的なんだ。現代の中央アジアの農業政策駄目だと思ってる。画期的な水に関する技術が生まれないとあそこは遊牧が合理的だと思う。
んで、資源が取れるところだけオアシス的に街にする以外手がない。戦争だけ食い止めるようにあそこは資源だけなんとか確保して自然保護区やインディアンの自治区みたいにした方が良い。やりたければやれ。
元素じつはちらちら見つかってる。ただ皆を集めて讃えあうようなものじゃなくなった。理由は、手法が過去の発見と同じだったり、たまたま鉱石などが見つかってなかったりその程度だからだ。科学的に奇異な手法で見つかったってのをこれから発見おめでとうと取り上げようとは思う。僕が考える所1価の原子が多分後に残ると思うのでこれが楽しみだ。
世界中から鉱石を見つけてその中から合金を作る研究をしてる。これは坩堝で溶解して実験する研究室の研究に向いていた。実験室ではすでにステンレス鋼が生成されていた。ただ、これを工業的に行うには大量生産には向いてない太古から技術であるるつぼ法しかなかった。そこで電気炉を作れないか?と研究チームに依頼した。
後転炉をいずれトーマス法で脱リンしなくてはいけない。ただこれはやめておいた。理由は今使ってるのは質の悪い鉄鉱石じゃないんだ。今後発展するアメリカも質が良い。欧州のための技術発展と言っても過言ではない。現物となる高リン鉄鉱石を使うまでこの技術は発展しようがない。現物が無いんだから。
電気炉が発明されるまで保険に平炉を作った方が良いかもしれない。これをちょっと手を加えれば合金用に使える。ただ2つの点で衰退するのを知ってるのでこれ本来は製鉄の発展で出てくるのだが作らなかった。この代わりに高炉ができる前に使ってた中国の鋳造製鉄を間で補っていた。1つぐらいあってもいいかな。
それと言うのも合金の必要性が出てきたからだ。旋盤だ。切削工具にどうしても硬質なものが必要になる。ダイヤを作るのはちと骨なので合金で繋ごうかと。電気炉をやりたくないのは、モーター作ったばかりで急がせすぎてるからだ。基礎を固めたい、電気ってまだあまり必要が無い。通信だけやりたいが、所詮無線じゃ苦しい。有線だと安全圏の確立が重要になる。
日本国内でも怪しいのに無理だ。後海底ケーブルも骨だ。ただ軍事用に小型無線はなんとかしたいが。
平炉ができるまで坩堝法で合金創るか。どーせまだ工具しか使わんから。世界中の珍しい鉱物が集まってるので、これらを使って合金の研究だ。ただこれらの原材料も問題になるな。原産国が偏ってるんだよな。自動旋盤のせいだ。回転数が早いので摩耗が激しすぎる…。
後実験用にゴム管が作れたので、これを使って放置しておいた気体の重さを計るのをやってもらった。これ昔は粘土とか油で漏れないようにしたとか涙ぐましい努力があったと。後回しにした分楽しちゃうよ…。内燃機関の研究に着手しよう。研究なら気楽だ…。実用段階とか考えなくていいから。
荷物を運ぶ車はあるのだが、人間を運ぶものって無い。まだ牛車も開発されてない。後から速度を速めたいので、馬車から開発すべきだ。まず人が乗る車を創ろう。
13歳になった。まず台風は明確に8月がピークだとして良い。データが集まると8、9のどちらか限定できる。これからもしばらくやるが、これは終わってもいいな。人もただでは動けん。船と農作物に関わるので、これは科学班の成果と公布しよう。ただ8、9が突出してるのでこれ感覚的に気が付くな…。
ついに東北で寒冷化の被害が出た。まだ収穫ではない。ただ育ちで作ってる人にはわかる。さあ動こう。まず来年に向けて北海道での品種を一部植える。これは数が少ないので仕方ない。そして残りは東北産を植える。これは以前からずっと進めてるので、多分かなりの割合で東北産だと思う。後は北海道産を増やしていく。
次により一層寒冷地用の畑作の増加。後は大王家に近い一族の人で農業に明るい人に話を通す。北海道産でまず効果を見てもらうのと、後はできる限り東北産の米を植えてもらうようにする。これについては、以前から東北の民と協力してやってきたのを説明して、寒冷化の話をする。先に被害出るなら東北だと見ていて以前から東北から被害出たので、来年さらに温度が下がったら近畿にも被害出るのを説明する。
ただイマイチ芳しくはなかった。そりゃそうだ根拠は?と言われると困る。3女神の加護は家のものにしか言えない。北海道産だけ試してもらえることになった。だがもうどうでもいいやと思ってる。うすうすこうなると考えていた。来年が楽しみだ。そろそろ歴史が大きく変わり始める。
だって邪馬台国って伊都国が衰退してる前提の歴史だから。あの一帯わが家の領土なので衰退どころか史実にすらない繁栄をしてる。それが全国的にどう影響を与えるか?分からないが。九州説なら邪馬台国は生まれない。後は来年から北海道産が増え次第切り替えていく。まずは東北産に期待だ。
すでに東北には働きかけてる。これが起きたらあっちの人に対応を頼んでいる。元々様々な交易をしててつながりがある。いくつかの選択肢を用意してる。
1、移住。これは東北内で宮城の方に一部土地があるので、そちらで一緒に暮らそうと。ただ数多くは無理。これと釜石の住人を結び付けたい。釜石は北海道産品種がダメなら稲作はあきらめる。鉄の需要は増すはずなので、牧畜と鉄の町にするしかない。
2、北海道産品種にかけて、牧畜と併用する。
3、こちらとは関わらずそのまま暮らす。
この地域暮らせないわけじゃない。焼き畑の痕跡がある。ただ狩猟より牧畜の方が良い。だからより効率的になる。選択肢としては悪くないけどな。
1の移住に一定の数があった。その中であたりとはずれがある。あたりは宮城。はずれは海外。はずれはぐんと減ったが一定の数集まった。これから数年誘っていくから問題ない。これで予言が出来た。この先ずっと回復することなく後ちょっと悪化するって言っておいた。その通りになったらぐんと増えるだろう。
北海道産をもっと増産しないとな。そして牧畜の指導だ。何よりダチョウだ!すでにダチョウは日本で増えつつある。これでぐっと増えるぞ。いずれ品種改良もする。ダチョウは本当の意味で家畜になる。悪いが海外組はすべて第一弾はアメリカに送ろう。稲作できるしね。イギリス攻略のための食糧増産と兵士の確保。どーせ来年からわんさか増える。
何か手ごたえわるい…。うちの領内以外すごい手ごたえわるい。あれか神の使徒みたいな扱いに慣れ過ぎてたか…。何かこの感じ珍しいわ。というかこれが当たり前だよな。これ利用しよ、後で面倒になるがごまかせるだろう。神を使って天皇家に取り入ろ。逆にいい方法見つけた。そうか3女神の加護がなんでも楽にさせていたんだな。来年僕のすごさが分かるさ…。