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ペニシリンの抽出に成功した。えらく時間がかかった。実は発見より抽出の方が大変で、かつこれを大量生産するのがもっと大変。困ったもうこれ丸投げする。特別な薬として限られた人にしか使わない。一番重要なのが薬が無い梅毒だが、あれいつ頃流行るんだろうな。まあ肺炎に効くらしいが、肺炎か…。漠然としてて分かりにくいな。
大王家に使いたいんだよな。一番これが効果的なのが戦争によるケガでばい菌がはいるやつなんだよな。それは大量生産なんだよな。うーん、ピンと来ないな。抽出技術が上がってきたのか、ストレプトマイシンはペニシリンの後すぐ出来た。ただこれ現代の大量生産ってイオン交換樹脂とか使うんだよな。この時代じゃどうやるんだろう…。
コンプレッサーが変な形で出来上がってしまった。電力配備したらモーター動力で可能になった。元々蒸気機関で開発してたのでそのノウハウがあったおかげ。すぐにハーバーボッシュ法の実験を開始してもらった。ただ大型設備には向かないので今までやってきた蒸気機関によるものは全く無駄にならない。
効率を考えると電気系の科学やらないと不味いな。おそらく現代技術からすれば無駄だらけだろう。うーん、化学の電気分解に使いたいからやっただけなのに、勝手に進んでしまった。まあ小型なら多分高圧力に耐えうる容器作れるだろう。壁を厚くして鋼鉄にすればいいのだから。まさに力業。
「ええーっと先に技術が先行してますが。効率よく電気を使うため電気工学という分野の科学を設立します」
「どんな事やるのですか?」
「僕がいきなり発電機作ってしまったのでモーター出来たけど、あれ逆転させるだけだからね。僕の想定では理論から作り上げていくんだよ」
そう言って僕は発電機の仕組みとして、永久磁石とコイルをうねうねと動かした。
「何をしてるんですか?」
「これ電気が流れてるんだよね。こういう単純なものから作る予定だったのだけどね…」
そうしてフレミングの法則を左手で表現した。
「電池があったとして、電力が流れていたとする。そうすると磁力と重なったときに力が発生する。モーターが回転するのはこの力が発生するから動くんだ。そして、この指が電流の向き、磁力の向き、そして発生する力の向きだ。発電はこの逆、回転力によってう力を加えることで、電力が生まれる。ちらほらは僕が話すけど、基本電気に対するいろいろな発見をしてほしいってのがこの分野の目的かな」
「まだやる気なかったんだけどね、コンプレッサーが先に出来てしまうとね。実用化されたね。でも科学班役に立ってないね…。僕が発電機作ったのが根本だからね。元素の発見を優先したんだよね。電池で分解しても良かったかな。あれ純然たる化学の塊だからな」
大王家にどんどん手を打っていく。親族、古参。これが臣連になる。ここに入りたいが無理じゃないか?と思えてきた。あ親族なら娘で…。よし、大活躍して一族から嫁を送り出そう。まず大王家が力を入れてる土木を手伝う。九州からも食料きついが、頑張ってそれを使って近畿勢に人手を出してもらう。道具だけずっと提供してきたが、その道具使って人手も出そう。
あの辺りって水関係がかなり重要。水不足とかじゃない、ちょっと湿地っぽいんだよな。大和じゃなくて摂津が。大和はそう良い土地じゃない。あそこは戦略上大王家は重視しただけだ。農地としては摂津とまとめた一帯なんだろう。
パーカッションロック式が完成した。うーんまたやってしまった。多分これみつからないよなって思って雷酸塩について話した。これ水銀の研究してた人が雷酸塩の爆発性を発見したんだよな。まず雷酸塩を研究する事。次に爆発性を見つけないといけない。こんな宝探し苦しいよ。雷酸塩がすでに研究されていたからすぐ雷管ってできたんだ。
一応ずっと探してもらっていたので無駄にはなってない。そこで次の課題として黒色火薬以外の火薬を見つけるってのを与えた。これで無駄にはならんだろう。一区切りの意味で褐色火薬が発見されたのを報告された。ミニエー弾のライフルの弾との密閉率が高すぎて故障が多くて解決できないか?との話が出ていて爆発班が見つけたものになる。
片手間のようだが、これかなり単純。中途半端な褐色の炭にすると完成する。他はほぼ黒色火薬と変わってない。
引き続き後装式銃の開発をしてもらう。そのために薬莢を作ってもらう。雷管があれば多分薬莢はすぐ作れる。本来は玉と火薬と火打石から発達したが、薬莢からやりたい。多分その方がスムーズだろう。
アメリカ北米組がグリーンランドからアイスランドに行くようだ。イギリスに行くか?は検討中。いずれは南米北米からアフリカに行ってもらおう。マダガスカルに東から向かってるので、両者がアフリカで出会うのが良いかと。欧州はローマがいるのがな。ローマは避けよう。フェロー諸島までは行ってもらう予定だ。以前北米組でこっちに来た者たちと話したことがある。
ハーバーボッシュ法が実験室で完成してしまった…。あそうか、コンプレッサーか。こんな早くできるなら人力で頑張れよな…。てこの原理とか使えば多分できるぞって、おい、僕じゃないか止めていたのは…。これには理由がある。実験室レベルの小さな高圧容器なら前から作れたんだ。これを規模を大きくしていくとそうとも言えない。
後まだまだ計測器具に改良の余地がある。パイプ回りも実験室の小さなものなのでできてるがこれはきついな。そして何より大きな勘違いをしてたが、ある程度の高温高圧なら合成できる。W500である必要はない。あれはあくまで平衡状態を移動させる点にあり、収量が少なくていいならもっと低くてもできるんだ。
これからは平衡の線を温度圧力をあげつつ、しっかりと完成させてほしい。容器の補強も同時に、そしてそれをどう規模を大きく工業化させるか?がポイントになる。科学班と容器を作った職人が強く結びついてやるしかないな。実はこの実験ツボは触媒にある。これを教えたからな…。僕としては高圧容器とコンプレッシャーが頭にあり、これがすでに完成していた史実世界では触媒がむしろ問題だったんだ。
ただ石炭がそれなりにあるのが大きい。これで水素の確保が問題にならない。今回は実験なので水素強引に作ったけどね。後触媒への理解が深まったな。もちろん触媒無しでも実験してるからだ。結果がまるで違う。基礎の基礎でしょ?ここが歪なんだよな。この辺り十分な科学知識ががたまってないのが大きい。後々問題になるだろうなってすでになってるか…。
これの問題はペニシリンと違って少量作れても意味が無いって点。命の価値が違うからね…。高貴な家に絞ってやれば戦略物資になるからな。うちの重要人物とかもそうなる。大きな問題点はいまだに鋼鉄の大量生産が出来てない。鋼鉄自体は様々な方法でできる。だから高圧容器が作れる。だが大規模施設となると無理だ。だから大型蒸気船も作れないし、かつあれは船自体も労力が足りない。
ジャンク船が大破してマゼラン海峡で壊れたのはもう痛手も痛手…。船員も大事にしてるが船も大事にしてるため困難な航海はずっと避けてきた。ドレイクもマゼランも出来たら通りたくないんだよな…。
すぐできるとは思ってたが、自動旋盤が出来た。というか、動力部分変えるだけだよね…。本当に大変だったのは電力村なんだよな。すべてはここになる。こっちが何事も大掛かりで時間がかかった。銅線貴重。ただ銅鉱山の開発前もって手を付けていたからね。エンジンと違ってモーターって簡単なんだよな。内燃機関は転炉まちになってる。これ以上鉄消費するなよって事だ。
後装式銃と言えばボルトアクションライフルじゃないかと思う。自動小銃などと比べて実にシンプル。技術的にも精度さえこなせばなんとか作れそう。ただ僕はシンプルな構造しか知らない。細かい部品とかさっぱり。バネを使って押し出す撃鉄で薬莢をたたく。これしかしらん。ただこれではパーカッションと大差ない。まずはリボルバーを作ってみるか。
薬室に弾を入れる。この構造がややこしいな。後はバネによって針で雷管をたたく。これはバネが難しいだけかな。どう考えても薬室の中が見えるようにしないとな。基本だけ伝えて後は丸投げするか…。




