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 死んだと思ったのだが、あれ?何故かまた意識があるぞ。でも体が動かない。この経験前もしたことがある。そう思ったらやっぱり赤ん坊になっていた。どうやら僕は兄夫婦の子供として生まれ変わったようだ…。以前の経験から驚異的なスピードで言葉を話すようになる。


「やあ兄さん徳丸だよ」


 これには兄はとても驚いたが、母となる義理の姉は知らないのだが、兄は家族には伝えるとした3女神の恵みの話を知っていたためこれもそうじゃないか?と考えたようだ。さすがに義姉さんに黙っておくわけにいかないため、二人でもうちょっと年齢が上がったら話そうとした。両親はまだ生きてるようで二人にはすぐ伝えた。


「馬鹿野郎ー」


開口一番これだった。


「ごめんなさい父上」


 家族の誰にも言わずにやってしまった事についてだった。ただ僕は後悔は別のところにあった。だからこの次の人生では後悔から慎重にいろいろ進めようと考えていた。次に今回の事で次があるかもしれないって事が逆に長期に考えた計画に大きく変更することにした。安全性に対する高度な技術をできる限り実現させるのを念頭に置いた。


 羅針盤を創ろう。実はあれすごい後に発明されたけど簡単なんだ。紙だって中国ではこの時期もうあるのに西洋だとずいぶん後だ。たまにそういう歴史の必然からそれたものがある。後世界で古く海洋に勢力を伸ばしたポリネシアンは羅針盤を使ってない。あれらの技術も重ねていこう。


 前回と比べて話が通りやすい。そもそも本来父上が兄だからな…。しかも自分はかなりこの家に貢献して期待されていたからな。それに3女神の恵みってのが効いている。ある意味神託になちゃってるな。本来の歴史なら鉄が手に入りにくかったが史実よりは鉄が豊富にこの家には存在する。


 それを使って磁性を付ければいいだけだ。問題はこっち。そもそもたいした鉄の量を使うわけじゃない。ただ鉄が金のような扱いなら別だ。だから剣を作るぐらいには豊富にあるよ?なら話は早い。針程度の量を使うだけなのですぐに手に入った。問題は磁性だ。実はこれ北九州ってのが美味しい場所。山口県の辺りに確か磁鉄鉱が取れる山があったはず。しかも露天掘りでとれる。


 早速3女神のひらめきでとってきてもらった。ああこれくそ便利だ。まあでもこれ小僧の思い付きではない。前世の知識がとか言いたくないからってだけで、効果はばっちりなんですよ。ただ磁鉄鉱って言っても分からないので、鉄がくっつく岩があるので、そいつを取ってきてほしいと言っておいた。


 何に使うか?言わなくても、鉄を引き付けるってゲン担ぎだと言い訳してもいいぐらいだ。ただ後々羅針盤が出来たらその意味が分かるので、こういった事は後の面倒になるのでやめておいた。前世の恵みの実績があるので妄信に近く従ってくれるけどね。ただその変わり父との関係がややこしい。また祖父として前世の父もいる。


 でも兄弟のように赤ん坊が兄に話すようには、自分自身もちとつらい。兄もどう接して良いか?良く分からないってのがある。ただそれでも兄弟目線で言わないようにしてる。とりあえずはこの身でもまずは実績を積んだ方が良い。


「父上これが半島と日本の地図です」


 そういって僕は大雑把な日本と朝鮮と中国ちょろっとした地図を見せた。


「これはなんだ?」


 そういえば、兄とはあまり恵みのおかげの会話を重ねてなかった。


「ピンと来ないと思うので、最初のうちは爺様も交えて話してほしいのですが、僕は爺様といつもこんな感じで話していました。頭にぱんと閃きます。そんなの思い付きじゃないか?となりますが、それが正しい事が度々あります。だからなんだ?と言われるとかなり困ります」

「ですが、僕も絶対こうだとは言えないので、これを基に地図を作っていきましょう。大事なのは今回においては実は地図じゃないのです。この地図の上に当たる部分が北になります。この方位磁石、羅針盤を作った目的はこの北を示すためです。一番怖いのはぐるぐうる回って現在地が分からなくなることです。これを使えば逆を向いてぐるぐるはほぼありえないと思います」


「そんな便利なものなのか?」


「はいまずは迷わない海岸沿いなどで確認を取ってみればよいと思います。ただ場所によって数度方角がずれてしまいます。精密な進路に使うにはまだ不十分です。そのためぐるぐる回るような迷いをまずは無くすための道具だと考えていただければよいかと」


 単純に航路に使用する前に、地図の確認のためと書かれてない小さな島などを書き足すための準備に使った。もう僕は自分ではあまり無茶な航海はしないつもりだ。また身内の誰かとなって生き返る可能性は高い。それでも命は大切に行くつもりだ。尤も前回はその逆1度きりだと思っていたから急いでいろいろやってしまおうとしたからだ。


 3度目が例えなくても、今回からは長期展望で進める。ただ時代的に急がないといけないこともある。いずれ僕の存在が大きく歴史を変えるかもしれないが、それまでは日本の歴史的なイベントに関わってこの家の地盤をしっかりさせるつもりだ。


 次は星のデータを蓄積することにした。日本の神社には星の神様がほとんど居ない。これはポリネシア系の民族があまり来なかったのでは?と見ている。そもそもいないのじゃないか?だと日本語の音が妙だとなる。日本語の音の使い方に一番近いのは、ポリネシア系で朝鮮より近い。


 おそらくだが、ポリネシアの航海術が発達したのはフィリピンあたりらしいので台湾から南北に分かれて言語だけ入り込んだのではないか?と見ている。日本の主たる海洋民族は多分星を上手く使ってない。日本近海では役立たないが、日本から離れるにしたがってこれらの情報は生きてくる。


 海流なども情報として使うらしいが、これは今でも使ってるので、特に僕が画期的な何かを?示す必要はない。神格化?とは言いたくないが、ある種神ががったものを見せて意見が通りやすいようにしたいんだ。だからすでにある優れたものはそのまま余計な事をいわずに継承すれば良い。


 うねりに関してはおそらく知ってる人は知ってる。だが海流ほど船乗りならだれでも知ってる常識とは全く違う。そのため個々で経験則にしてる特定のうねりをわが家の共通財産としていこうと思う。島などがあって波に変化が起き、その時の合成波がうねりとして現れる。まだ地図に書き込んでない島とうねりの関係を書いていけばより情報が増えるのと、高い波を避ける原因にもなるかもしれない。これは副産物だが。


「父上どうですか?」


 進捗を聞いてみた。


「これは便利だな」


「今は航路ごとに覚えさせてますが、いずれは中国から紙の高い技術が伝われば紙に映して船乗りたちに持たせたいです」


「我が家の秘伝じゃないのか?」


「船乗りの命を大切にするってのを縁戚や血族以外にも共有してほしいからです。最終的な優秀な道具があっても、それらを使いこなす人の方が大事でしょ?我が家で訓練された船乗りこそが我が家の秘伝ですよ」


 徐々に父とも兄弟ではなくて親子になってきた。父と子としてやり取りしてるとなんとなくそうなってくるものだ。問題は爺様だが、これは僕も良いとしてる。第3者がいるところと父がいるところで爺様と孫の関係なので。その辺り使い分けてくれてる。以前早死にしてしまったのでこのぐらいは親孝行だ。


 実は半島への航海は左程問題じゃない。これらの情報蓄積の練習にあったと言える。僕の場合運が無かった。だからこそ油断もあった。そこまで無謀じゃない。問題は中国航路のための下地創りなんだ。この中国航路後の遣唐使の歴史でいろいろ酷い目にあいながら帰ってきた人もいて、それらの話を総合すると直接的沈没も多いが遭難がとても多い。


 海岸沿いの航海に比べてやはり直接外洋航路はそこが問題になる。だから現在地はどこか?そこから目的地は?これが重要になる。半島への航路は情報がたまってきたので、荷物が詰めるダブルカヌーの巨大化に移らないといけない。本当は準構造船でなんとなかる。ただ準構造船が作れる段階に来たら、そこから飛ばして構造船を作ってしまいたい。


 シングルアウトトリガーカヌーとダブルカヌーはそれだけ優秀なんだ。中途半端な準構造船は問題だし。和船のつまらない歴史を歩んでほしくない。喫水の関係から和船は全くの無意味ではないが、そこは竜骨ありの中国船にまかせて竜骨を中心とした船の建造に振り向けたい。


 ジャンク船は正式には竜骨じゃない。ただ進化の収斂とよく似てて、全く違う設計思想でほぼ竜骨構造の船と同じものが出来てしまった。この竜骨を平らに近づけて平底船にすれば喫水の問題をほぼ解決できる。後転覆を阻止する水密隔壁で早い段階から洋船を設計してけば美味しいどころどりをできるだろう。


「父上そろそろ鉄の交易を本格的にと思うのですが」


「準備は整ったな」


「日本からの交易だけだとすぐに行き詰ると思います。交換した鉄を日本の他の勢力の物資と交換することで、また鉄を買いとやれば連鎖してきます。問題は諸勢力が鉄器を数多くもってしまう点でしょう」


「そこだ」


「父上、金銀を掘りましょう。日本でも価値がありますが、中華でもやはり価値があります。半島はそれらと似た価値になります。これらを鉄と変えましょう」


「それは金銀があれば簡単だが」


「そこで僕の恵みを使います。大体日本の主要な銀金の産地は分かります。ただ別の土地なのでそこだけ問題になります。ある程度武力制圧ための兵は必要です。ただごく一地域に限定できるため、簡単なところを抑えて兵を増やし、金銀を手に入れ鉄と交換して武器にして鉄器の軍団を作り上げます。一番最初に狙うのは」


 そういって地図を見せ佐渡島を示した。


「ここなら高い航海術をもった利点が多いはずです」


「こんなところにあるのか?」


「はい金山があります」


 実は世界遺産候補として見に行ったことがある。ここなら詳細な場所まで無茶苦茶詳しい。後は結構うろ覚え…。金は加工が簡単でこの時代の日本金属加工レベルでも余裕。実際金箔の様々な古墳時代の遺物が古墳から発掘されている。世界的に見ても金銀の加工の歴史は古い。


 鉄器で充実された部隊がどんどん整っていた。当初考えていた鉄の他勢力への販売もやめてしまった。まず重視すべきは力、富は後回しってのが我が家の方針なので。そろそろ知にも手を付けないといけないが、これはもうちょっと後にしよう。武器の改良をする。当時作られていた鉾を変えて槍にしていく。


 どう違うのか?と言うと突きを重視してる。そのため鉄部分が少ない。ようは節約である。切るの部分は馬がもっと増えてから考えていけばいい。馬産も早く手掛けた方が良いかもしれない。それと言うのも、後々白江村の戦いでの敗北に馬の存在もあるとされている。後の軍事改革で馬産が重視されている。馬上戦闘より情報伝達移動手段として負けていたのが大きいと当時見ていたようだ。


 日本にも探せば鉄鉱石があるのだが、それをするまえにまずは日本に数多くある砂鉄を使ったたたら製鉄を伸ばすべきだ。たたら製鉄が素晴らしいというわけじゃない。今後半島情勢がどうなるか?分からないのでこちらも抑えておいた方が良い。ただ出雲に勢力を伸ばすのはさすがに無理だ。航海によって他の地区を探してみよう。


 そうなると問題は製鉄技術にある。半島で鉄になったものを持ち込めばよかったのだが、砂鉄からやるとなると違う技術が要求される。そのための技術者を連れてこないといけない。いずれは航海範囲を広げて、最終目標はオーストラリアの鉄鉱石を加工するって流れにしたい。だが太平洋制覇はさすがに構造船の発達を待ちたい。


 先に航路だけ探ってくのも良いが、他に目的を持たないとそこまでする価値が無い。家のものに死んでくれと送り出すわけにはいかない。後費用対効果が重要になる。緊喫ではない情報だけのためにそこまでまだ出来ない。後矛と盾使いも残しておこう。ファランクスと言う集団戦闘があったので、槍と盾も使い道があると思うし、その前段階としてそのまま矛で良いと思う。


 日本は状況次第で使えるものを廃れさせてしまう傾向が高い。例えば弩が消えてしまったのは、弓の練度が上がって弩より有効だったからがあるのだが、戦国時代になってまた足軽などの農民兵が出てきて練度の低い部隊の弓も必要になってきたがすでに弩は無くなってしまったというのがある。


 盾と矛剣などの組み合わせも何か使える場面があるかもしれないので安易に消すべきじゃない。外部との戦争が極端に少ないので一度消えると2度と戻らない問題が多々ある。


 銃に関してはまだ駄目だと思う。理由は、あれはそんな難しいものじゃない。ただ問題は、あれは高い科学知識と技術をもった勢力じゃないと持ってはいけない。おそらく真似されて有効度が落ちる。そこで次の武器の開発がとても重要になるその時重要なのは高度なテクノロジーとそれを支える高い知識集団の存在となる。おそらくそこが無い勢力はすぐに脱落していくので真似されるのが怖くない。


 力富知の順序としては例外だと思う。だが、真似されると言うのが知と直結する。例えば鉄器の武器があってもそれを扱う人間の練度が重要になる。だが、銃に関してはある程度は訓練は必要だが、決定打はハイテクだ。戦いの次元が違う。言ってみれば知は力なりの近代の戦い方に直結する。


 銃を発展させるような土台が出来たらすぐ作るつもりだ。

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