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「今から中々面白い実験します」


 ガリレオのピサの斜塔の実験を時計塔でやった。ちょっと工夫して板にのせて、棒で上手く両方落とす。まあTになってる棒で同時に落とすんだけどね。


「大きい玉、小さい玉どっちが先に堕ちると思いますか?」


「大きい玉でしょ?」


「さあ実験です。科学の真骨頂ですね。実際確かめてみることの重要性も分かります」


 見事同時に堕ちた。


「距離が足りないからって考えもありますが、ここに羽毛があります。これと小さい玉一緒に落とします」


 小さい玉が先に落ちた。


「皆さんが何かしら持っていた先入観ってこれでしょ?高さを伸ばしても大きな変化はないです。じゃどういう意味を持つのか?」


「持って見て重い軽いですよね?」


「そそ、それが関係ないって事です。じゃ何が?答え言ってしまいますね。もう僕たちの周りに何かがある?のは分かってますよね。気体の雑多な集合があります。それを空気と呼びます。自重に対して羽毛はこの空気を上手くとらえてるんですよ。ある種の浮力と似ています。下向きの重さと空気を取れる上向きの力が差し引きされてるわけです」


「もしかしてそれが鳥が空を飛ぶ理由ですか?」


「鋭いそうだよ。厳密には羽の動かし方で上手く空気を利用しようとしてますけどね。木材をぐっと水中で押さえつけると反発してぴょんと浮きます。これ本当に密度が軽い物なら水中から出ます。おそらく鳥の羽ばたきはこんな感じかと。実際には落ちるとき工夫しないと±0になってしまうのですが、その辺りはまた鳥の飛ぶ研究でお願いします」


 以前考えていた水酸化ナトリウム作ろう。同時に塩酸作ってしまおう。


「灰=塩基で重要な水酸化ナトリウムを作ります。ここで注意するのはとにかく劇薬ばかりできる点です。材料は塩水。ほんとただの塩水が劇薬ばかりできます。大変危険なのでそこを重視して説明します。以前話したように電気分解使います。何故いきなり発電機なんて出してきたかというと、電気分解って化学にとって無茶苦茶重要だからです。だから電気大量に使うので、電池じゃちょっともったいないから」

「まず極を2つに分けます。これ一緒にすると別の反応が起こって水酸化ナトリウムが出来ません。この極って分かりにくいですよね。電気と磁力って近い関係があって、この2つ対極する極に分かれます。磁石はNとS。これは北と南って意味です。アルファベット意味不明ですが、便利なので使います。いつかこの意味わかります。電気は四則演算のプラスとマイナスになります」

「電気を通すとプラスから塩素って新元素が出てきます。これ周期表に入れますね。これやばいです」


「え?」


「吸うと量が多いと死にます」


「えええーー」


「これね、本当に気を付けてほしいんですよ。出来たら滅多な事でこの塩素って扱ってほしくない。少量ならなんとかなるので、換気はとても気を付けてくださいね。とりあえずガラス管にちょっとは閉じ込めておきます。んでマイナス側水素が出来ます。でもこれ塩化水素が分解されてるわけじゃないです。あくまで塩なんです」

「じゃ何故?となるとまあこれも実は新元素絡んでますが、電気分解じゃ出てきません。だからとりあえず保留にします。2つ混ぜて強い光当てると爆発します…。塩化水素作るには量居るんですよね。でも爆発が激しすぎて多分ケガします」


 光の量が難しいが爆発した…。


「次に水入れて良く振ります。以前使った朝顔で見てみます。無茶苦茶薄いですが一応酸性になります。量増やせばわかりやすいのですが、危険なのでやりません。まあ塩酸つくるにはこれ向いてませんね…。別に作る方法があるのでそっちで試してみてください。材料だけ、硫酸と塩です。これを加熱します、この時のガスが塩化水素です。できた塩はまたいろいろ生み出すので保存しておいて試してみてください」

「塩化水素も有害なので吸わないでくださいね。塩酸の元なのでそりゃ危ないでしょうから。今回はとにかくどれもこれも危ないですね。残った水溶液の水酸化ナトリウムも危険なので取り扱いには注意してくださいね。ちなみにこの2つ混ぜると量が適切なら酸でも塩基でもない中性となって食塩水に戻ります」


 なんとクロノメーターが納得いく精度になった。元々携帯時計のためのテンプは完成していた。ポイントは2つ振動などに強い。寒暖差に影響を受けない。前者は思い切りうろ覚えの脱進機の絵を書いて、後者は知識としては知ってる程度のすげー雑な話。種類の違う金属を組み合わせるテンプ。んな程度の話しかしてない。


 元々設計を知ってればすぐだろうと舐めていたのだが、ものすごいそれが舐めていたことになった。ここまで時間がかかったのは、いやリアル時間ならちょーハイペースなのだが、設計図があるのになんでや?って点で、まずその設計図主要部品しか分かってない。もう1つは、ずっと振り子時計をやってもらってたのは、精度が問題だったから。時計そのものの部品が大問題になった。


 精密であるってのは、機械を作る機械が必要になるってイマイチ分かってなかった。重要性に気が付いてそっちを作ってたら携帯時計の進化は雑になってた。様々な事が一気に進んだのは機械を作る機械があらゆるジャンルで必要になって作ったからだ。危なかったたまたま概要だけ知ってたので。ほとんど上手く行かずつまっていた技術はこれが原因だった。


 すぐに航海天文学と連動してやってもらった。ある程度成果が出たので、まずは日本近海から周辺に広げるって航海をやってもらって、目標は小笠原諸島になった。もちろん、他も四方八方にやってもらって、特に注意したのは、沖縄から台湾に行かずにフィリピンを目指すとか、ある程度位置がはっきりしてる場所を目指してもらった。


 この成果と共に、アラブを無視して、スリランカまで行ってもらって拠点を作って、アフリカルートを開拓してもらう。そしてダチョウを繁殖可能な頭数連れてきてもらう。このダチョウが目玉だと思ってる。ダチョウをあらゆるところで家畜として飼うつもりだ。当然寒冷化対策だ。


 当初はエミューを考えていた。当然だろうオーストラリアルートはすでに完成してるのだから。だがエミューは餌代が馬鹿にならない。襟好みが激しく高カロリーも必要とする。それに比べて牧草で大半済むのがダチョウになる。もちろんある程度は別のモノも混ぜた方が良いが、どこにでもある草を中心に育てられるってのが大事なんだ。


 寒冷化で少しでも人間の食うものは人間が食った方が良い。そうなると寒冷化で問題になるのは、穀物は無理だが牧草なら問題が無いってケースだ。元々遊牧は農業に失敗した地域から始まった。寒冷化や乾燥の太古の歴史とともに生まれたものになる。ただし、初期は違う。初期は活動範囲を広げたに尽きる。だが遊牧が世界に広がってからはこのパターンがかなりあったようだ。


 牧畜、遊牧はある程度なら乾燥、寒冷化に強い。


 11歳になった。やはり寒冷化は始まってるようだ。2年連続で温度が下がった。いずれはのこぎり型を描くだろう。たまに上がったりして、さらに下げて下降していく。


「父上これでもう確かでしょう」


「ああ徳丸の下がり続けるって見通しは間違いないと思ってよい様だ。だがまだ農作物に被害は出てないようだが」


「まだまだこれから下がるですから、今被害が出たら恐ろしいです」


「だがそれでは皆が話を聞いてくれんな」


「ええそれが問題です。なんとかこの話をしてどうにか納得できるものだけでも寒冷化対策を徹底させてください。今でも耐寒稲を植えてくれてる人はいるのでしょう?」


「ああ徳丸の知恵で収量が上がってるからな。徳丸が言うならって言う見方はそれなりにある。ただ被害が出てからじゃないとな」


「まあ前年より賛同者が増えてくれればいいです。それなら被害が出るまでには間に合います」


 先に東北からくるはずなので間に合うとは思うけど。被害が出て植えるのじゃ遅い。だって多分耐寒でもすべて問題ないなんてならないだろうから。あくまで耐えるだけだ。耐寒がさらに品種改良出来たら良いのだが、稲作は現状維持で畑作でカバーしていくしかない。


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