表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/168

20

 時計の精度上がってきてから準備してきたクリッパー船が出来上がった。あれガレオン作るんじゃなかったの?外洋航海が難しいとして随分時間が空いたことが理由になる。まだまだまったくめどが立たないが造船技術だけ上がってしまった。おまけに移民計画が出来てさらに造船に意味が出て作り続けていたのもある。


 技術が違うのだが、根本設計が竜骨だってのがかなり大きい。もともとなんちゃってジャンク船だったんだ。だから逆に中国風ジャンクを創れとなったら今すぐできない。基本構造は西洋帆船そのものなんだ。後なんちゃってジャンクで航海してる時に綿が手に入ったのが大きい。これらを史実の真似をして樹脂で補強したものを使ったら麻に比べても十分耐用できてると判断したからだ。


 方針転換のもう1つの理由は、運搬はやめた。先に地球儀と中途半端な海底無しの詳細測量なしの拡大海図を創ることにした。緯度と経度を組み合わせた外洋航海術を良く知ってる日本近海でやろうとなったのだ。ただし海岸線からちょくちょく離れない行けない。それと言うのも浅瀬が多くて危険だから。それでも完全な太平洋のど真ん中よりは何十倍も安全な練習航海となる。


 民にどう伝えるか?についてこれらはあきらめた方が良いな。船関係者が科学班の価値を分かっていれば良い。今回の事で緯度はまだ良いが経度がいまいち。だがそっちは海岸沿いの航海ですでに現時点での誤差など詳細なものがそろっている。こういったものと分析班としての科学班を組み合わせて成果が出ている。


 時計の誤差がどれぐらいマシになれば合格なのか?というのが大体分かってきた。まあしばらくはかかると思うが、いざとなったら行ける。行く必要が無い。行くための動機はすべてない。まず新大陸は海岸沿いで行ける。次にインド航路に関して東南アジアに国らしい国がまだ出来上がってないので海岸沿いに拠点を作りやすい。将来的にならそのころには多分クロノメーターの精度上がってると思う。


 かつ、なんとか国が出来ても拠点を失わないように上手くできないか?とも考えている。どうやるか?全く計画は立ってないが、一部残すか?または全部頑張るか?これが分からない。一部なら残せる。インドに入ってからと、新大陸から東部航路が問題だけど、今あんまり必要ないかな。


 今一番外交航海がやりたい目的は、最短距離で海を突っ切る。これがやりたい。航海の時間を短縮したい。新大陸太平洋の島々とオーストラリアと日本を結ぶ直接航路と後小笠原諸島をなんとかめざしたい。オーストラリア航路の間に出来そうだ。


 民に教えたくないのは、高度な航海術の存在が他国や日本の他勢力に漏れるのが困るからだ。


 太平洋側の近畿にも住み着いてる。伊勢志摩を中心に数年前から取り組んでいる真珠の養殖がやっと成功しそうだ。どうも中国は真珠を欲しがってるようだ。だが天然じゃ大きな利益にならない。朝貢程度なら良いが、台湾ルートで他にも販路が出来たため直接商売がしたい。まずは天然ものを大王家に献上した。次に余ったものを楽浪郡経由で漢に献上した。


「今日はなんというか、好き勝手やってくれと言いつつ、焦ると僕から課題を言ってしまう事が多いと思う。その通りで課題を言おうかなと。焦ってる理由は、その元素表があまり埋まってないなと。いやこれは正直埋まらない。ただそのための途中経過があまり進んでないとね。どうなの?」


「あまり芳しくありませんね」


「元素の根幹に分解できないってのがあるけど、これが多分悩むと思う。前から言ってるけど、間違ってもいいからこれだけやったらもう大丈夫だと決めつければいい。むしろ後で覆すようなものを話し合ってくれればいい。でね問題は、言葉にあるなと。とりあえず最終的には分解って言葉にするけど、その前に過程だね。変化にしよう。物質は何かしらの操作で変化する」

「ただし個体が液体、気体になるような変化は意味が無い。これは同じものが変化してるだけなので、分かりやすいのは、鉄鉱石を炭で燃やす事かと、次にここから鍛造の場合叩いて炭を出す。これが元の物質から変化してるってなる。この変化が無いってのが元素に近づくから。ただし近づくだけだよ。変化って言葉は正しくないんだ。ただきっかけがいるでしょ?分解のきっかけは変化だと思ってくれればいい」


 以前から考えていたのだが、メッキを科学班にやらせようかと。技術系では?となるのだが、本来科学班と技術系は同じものになるが、古代においては技術の方が都合がいい。科学がその力をテクノロジーと直結させるには技術が十分進んだ社会が必要となる。一言で言えばちょっと考えてほいとやるような技術は未来には無くなってしまうからだ。


 それらが十分に進化するまでは分けておいた方が良い。だからその保障として職人の科学班への編入を進めてる。いずれは逆になる。十分な科学教育を受けたものが技術屋になる未来が待ってると見てる。メッキは錬金術から発達したと聞いてる。職人がやるより暇人のような科学班がやった方が良いと思ってる。


 暇人と言うと抵抗があるが、多くの成果を出してる科学班であるが、それは一分野にすぎない。元々即技術に直結する様なものをそれを狙って僕がやらせたのだ。その他の分野は普通に見たら暇人集団だろう。その実情を公表してないだけだ。そして、そうじゃない分野を公表して胡麻化してるだけだ。ただ寒冷化はまだ実績にはなってない。僕はすぐにでも大きな実績になるのは知ってるのだけどね。


 鉛と金を使って銅にメッキする技術を見せる。これはメッキなのだが、過去錬金術と勘違いされていた。そのため化学から鉱物資源採掘技術になった良い例だ。


「金になりましたー」


 なんて嘘を言ってみた。


「あああ」


 驚いてる驚いてる。


「ごめん嘘…。元素の話なんだったんだよって、突っ込んでよー。これはメッキと言って金属膜を別の金属に張り付けてるだけで、実際表面は金だけど、中身は銅だよ。鉛が飛んで金が残っただけ」


「鉛が飛ぶ?」


「ああ気化したわけじゃないよ。下の灰に吸収されてる。これを水銀でやるのもあってそれは水銀が気化する。多分危険だと思う。気化した水銀って体に良くないんだよね。技術でもあるが医療とも組み合わせた方が良いだろうね。これね鉱山で少量の金銀の抽出にも使えるから鍛冶職人だけじゃなくて、鉱業の職人さんと組んでいろいろ分かったら教えてあげて」


 この時代やたらと水銀が持ち上げられててこれに手を打っておいた方が良い。東洋では錬金術じゃなくて錬丹術というのも水銀が何よりも重視されてるから。


「ええーーっと、水銀化合物=辰砂について。辰砂の基になる水銀は気化して吸い込んでしまうと頭がおかしくなる。水銀は毒性が強いと研究してほしい。辰砂の常識が滅茶苦茶なのでこれを医療班を中心にぶち壊してほしい。もちろん顔料として使う分にはいいと思うが、間違っても肌に塗ったりはしてはいけない。本当は建物に塗るのもあまり賛成できないが、さすがにそれは神経質すぎるので」


「危険なんですか?」


「普通に扱ってる分にはそうでもないけど、気化したものは血中に直接入りやすい。そのせいで、危険性が良く分かってない。危険になる時があったりそうでもない時もある。どういった時危ないのか?も調べてほしい。2つかな、動物実験と後はどーせ水銀中毒の人いるだろうと思うのでその人の症状だな。一昔前の秦の始皇帝はこれを不老長寿とかで飲んでたらしい。あほだ。毒を飲んで不老長寿とか。この手の毒物をやたらと良い薬と持ち上げる常識って驚くほど多い。この誤った常識をなんとか無くしたい」


 元素が進まないのでちょっと後押しすることにした。


「ええーーと家畜の糞を焼却して出来る灰に元素が含まれてるんだけど。いろいろ化学操作して取り出してくれないかな。微量のすでに分かってる金属元素が含まれてるけどそれじゃない」


「え?何をやるのですか?」


「いや具体的には言えないんだよ。秘密じゃなくて僕が分からない。ただね、分からないのが都合がいいと思ってる。君たちいろいろ化学分析をいろいろこなしてきたと思う。この集大成としてやってほしいんだよ。人糞でも良いよ。尿でも良いんだけど、水分飛ばすのが大変なんだよね…。魚や動物の骨何かでも良い。魚のうろこでも良い」


 骨って主成分はリンとカルシウムなんだけど、カルシウムはまだ単離できないだろ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ