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「えええーと今日の議題は、職人さんたちには伝えたけど蒸気機関ってのを作ってもらおうとしてる。これについての基礎科学をやりたい。どういうのか?って言うと熱と気体と圧力の関係かな」


「それなんですか?」


「ああそういえば職人さんたちにしか説明してなかった。やかんなどを沸騰させると蓋がかたかたとなるんだけど、あれは蓋が上下運動をしてる。これを水車みたいに何か仕事させられないか?ってのが蒸気機関。水車って回転運動を上下運動にして食品の様々な粉を作ってる。回転運動をそのままに臼につかうのもあるけどね。この逆で上下運動を回転にもできる」

「でね君たちにはそれを作ってもらいたいじゃない。その改善のための基礎科学を作ってもらいたい。これはね、気体分子が熱をくわえられることでより激しい運動になる事で物体を押す力が生まれるからなんだよ。ここまで言えば何故科学班の研究か?分かるでしょ。熱を作るのも無料じゃない。より効率的に上下運動にしたい。だからそういうの数字的に研究するための学問かな。仮に熱力学とでも言っておくよ」


「気体に熱を加えて圧力の変化とかですか?」


「とりあえずはそうなるね。気体の圧力計とかすでにやってるし、本当に科学班向きだよ。もしこれが職人さんたちの手によって完成したら、科学班が富を作り出す手助けしてるってさらに証明される。もう寒冷化で多分科学班の重要性はゆるぎないけどね、ただ、あれ本当に困るの今から数十年後だから…。人って酷いよね、危機がやってきてからしか君たち認められないからね。ただこれで認められた前もってやっておかないと駄目なんだってのが多分分かってもらえる」

「いずれはね、新技術もすべて科学班が初になると思うから。高度になる程手を動かしてなんて無理なんだよ。前から言ってるように職人さんたちをこっちに回すから。そうしないといずれ駄目になるから」


 ついに顕微鏡が完成した。ルーペでは生物学として微生物を調べてきたが、これは目に見えなくても生物がいるって常識を育てるためだった。本番はこっちだ。いよいよ細菌に手を付ける。そしてやりたいのは細菌学ではない疫学、医療をやりたい。確か結核ってこの時代からあるって見た。稲作と結核って話が合った。調べてみるか。


 で、発見してどうする?まあこれもまた細菌から薬を作り出すんだよな。まずは衛生についてきちんと伝えるために、病原菌を調べまくるか。医療班に話しておこう。これらの研究成果を大々的に告知して、衛生について広く民衆に知らせた。特にある程度上の階層には石鹸による手洗いを進めた。


 ただ大規模な伝達手段が無いため、隅々まで伝わるのはとても時間がかかるだろう。それに特にむつかしいのが細菌に対する説明になる。すべての人に顕微鏡を見せるわけにはいかないんだ。石鹸を使うような人たちの中でもごく一部だけにこれは見せて知らせた。簡単じゃないんだろうな…。衛生についてはかなり時間がかかるだろう。


 いずれ天皇と関わる時が大変だ。宗教とどう上手く調整するか考えるだけで頭が痛い。天皇家はなんといっても宗教的権威でトップにいるようなものなんだ。これは中央に乗り込むときの課題になるな。


 アメリカルートが南米に到達したそうだ。後はチリの硝石を探してくれればいいかと。後ボトシ銀山があったはず。大体の位置は知らせておいたから楽しみだ。銀も掘ってるが、日本ではまだ大規模には掘ってないんだよな。後は知らせてくれたメンバーがジャガイモをさらに持ってきてくれた。病気の問題があるからできる限り同じ芋から増やしたくないと伝えておいたから。


 後ずっと海岸沿いルートだよな…。時計の精密性を上げないと外洋航海はしたくないな。リスクとメリットをはかりにかけると無理させたくないんだ。近い島伝いや海岸沿いばかりで広がってるが、地球儀埋まってきたな。いずれは本格的に測量がいるだろうし、人がもっと増えたら海底も考えないとな。


 確か通り過ぎてしまったが、メキシコにも銀山あったよな。サカテカスとグアナフアト。ちょっと内陸だよな。言ったはずなんだけどな。多分探してるんだろうな。うーん分かる。ちょっと内陸なんだよな。後回しかな。硝石なんて砂漠だしもっとめんどくさいよな。砂漠は多分すぐ見つかると思うが、そこから硝石を見つけるのが大変だ。


 顕微鏡により様々な疫病が見つかった。ただこれをどう扱うか?が問題だ。


「医療班だけじゃないものとして皆に集まってもらったけど、疫病の原因は目に見えない細菌にある。これは目に見えない生物がいるのは科学班の基礎として誰もが知ってると思うし、実際大半のものが見ているだろう。これを多くの人に知らせるにはどうすればいい?」


「言えば良いのじゃないですか?」


「君らは段階を経ていろいろな事を知ってるし経験してる。皆に顕微鏡を見せるのか?」


「難しいですね。あ実際病気にかかった人だけに見せたらどうですか?それなら自分の中から出てきたので納得できるのでは?」


「危なくないので良いか。軽い病気とか。後は一応そのまま告知しよう」


 父上たちに頼んだ。


「父上爺様ちょっとこれをちょっと見てください」


 まずはそこらにいる細菌を顕微鏡で見せた。


「なんじゃこりゃ?」


「土の中にこういう目に見えない小さな生き物がうようよしています。伝染性の病気はこういった生物が引き起こしてるものです」


「風邪もか?」


「あれは違います」


「違うのか?」


「あれはもっと小さい病原体です。小さすぎて顕微鏡じゃ見えません」


「じゃ何故分かったのだ?」


「ああいつもの…」


「恵みか」


「分かりやすいのは水虫です。あれにかかってる人の皮膚を顕微鏡で見たら、カビみたいなものが見えます」


「カビなのか?」


「まあカビです」


「しかし見た目ずいぶん違うのだが?」


「そこなんですよ。顕微鏡で食べ物などについたものと比べるとかなり似ています。皮膚の上でカビがちゃんと生えたらかなり危険ですよ」

「さて、父上たちには、これを多くの人に告知して、かつ、これを防ぐための方法を伝えてもらいます」


「どうするのだ?」


「手洗いですね。後は人から人に移るぐらいかと。伝染性の病気は広まります。だからすぐ違いが分かります。そういった病気が広まったら。病気の人を隔離します。簡単には殺したりしないでくださいね…。ただ悪質なものでないとそこまでする必要はないです。せいぜい近寄らないようにや、自覚してる人は他者に近寄ってうつさないようにとかですね」

「後ある程度上位の人たちには石鹸を進めてください。僕ら一族は皆顕微鏡見てしっかり理解すべきです」


「病気になってしまったらどうするんだ?」


「これについては医療班と話しますが、実は病気を倒すのもまた細菌なんですよ。簡単に言うとカエルを蛇が食べるように、細菌同士も戦っています。ただ捕食したりしません。そもそもこれ動物じゃなくてきのこに近いですから。毒をまき散らせて、他の細菌の邪魔をします。でここが大事ですが、人間にも毒になるのもあれば、人間には毒にならないのもあります。同じ動物なら動物をしとめる毒を出しますが、きのこですから」

「この人間には効かないが細菌には効く毒を吐く細菌を見つけるとなります。後はそいつを増殖して創らせればいいです」


「それは分かりやすいな」


「ええ、この原理さえ分かっていればどこに薬があるのか?が分かるので、後は必死に探すだけです」


 僕は基礎的な事を医療班にも説明して、探してもらうことになったが、そのさい、決め手となるいくつかの?物質だけ教えておいた。特にアオカビのペニシリンは重要なので教えておいた。この時期から存在する結核は特に重要なので放線菌の話をしておいた。ただこれ直接は言わなかった。この菌他にも抗生物質が多いので、このさいわざと言わずに見つけてもらおうかなと。


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