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 ジャガイモが増えてきたので父上たちと相談する事にした。


「父上寒冷化のための作物がやっとそろいました」


「なんじゃこれは?」


「芽に毒があるのですが、見た目とは違う米の代わりになります。食べ方によってはとても美味しいのですが、味付け次第です。それなりに寒さに強いです。尤も米が弱すぎるんですよ。小麦と似たようなものです」


「何故それでこれが切り札になるのだ?」


「ええ、これ回転が速いんですよ。小麦米ってのは1年近くかかります。これは大きくなるのに数か月です。多少出来が悪くても1年を通せばそれなりの収穫量になると思います。まあ実際広げて民の評判を聞いてからが良いですね。一番簡単な料理法は蒸して皮むいて塩かけてたべるだけです。早速作ってきました」


父は塩かけて皮をむいて蒸したじゃがいもを食べた。


「特別うまいか?と言うとそうでもないが、塩かけて食べただけとするとこれは旨いな」


「ええもっといろいろ料理すれば米が食えなくて仕方なく食べるってものではないと思います」


 よし、後は反応を知るだけだ。芽については徹底させて、近畿の叔父さんたちにも寒冷化対策用のものとして栽培してもらうか。受粉ってどうやるか?分からないけど、種芋での栽培以外もやらないとな。病気が起きたときやばいよな。後アメリカで別の種芋もちょくちょくもってきてもらわないとな。病気だけが本当に怖い。


 ついでにさつまいもも広げてもらった。寒冷化対策ではないが、さつまいももじゃがいもも痩せた土地で育つのでいろんな土地で育ててほしい。近畿までなら十分育つだろう。さとうきびはかなり限定されるし、綿花もなかなか場所を選ぶ。後綿花は期間が長くてまだまだ増えない。とうもろこし多少場所選ぶのと期間がこれも長く増殖待ち。この2つはずいぶん先かな。


「元素についてだけど、間違えて良いからね。これ化合物だと思ってたら元素だったって事も当然ありうる。逆もしかりだ。ただの思い込みじゃないのが様々な実験になる。仮にだ鉄を元素として制定して、後から新しい実験方法で違ったよってなっても良い。今現時点では理解してほしいと全く思わないけど、科学の目指す所は世界を近似値で理解する事なんだ」


 重さとかもうCMとかそういうのを話している。良いの?となるが、ちゃんと尺とかそういったもので理解させてる。ただ基準となるものを作るのは苦労してる。これはあまり良くない…。この強引さは後々問題になると分かってるのでやってる部分がある。漢字圏のその辺りの感覚はあまり良くない。全く駄目なら使わないのだが…。


「ますます疑問になりますね。まるですでにあった事を聞いてるようです」


「我が家の秘密でもあるからあまり厳しく質問してほしくないし、かつ一族の皆もあまり分かってない。その範囲で良いのなら話すけど、恵みの書がいつからあったのか?を誰が作ったのか?は不明だ。2つの伝承がある。1つはすてに古代に滅びたとてつもない進んだ文明があり、わが一族はその末裔だって話だ。もう1つは恵みの内容は日本以外の世界中ではすでに発見されてるものも多い。わが一族はそういった海外の進んだ文明の末裔ではないか?という話だ」

「理想や究極に決して届かないって考え自体は、世界地図で言う西の端の欧州のギリシャと言う地域のプラトンと言う哲学者が語っているイデア論に似ている」

「それは究極理想の世界は別にあり、私達はいつも不完全で曖昧なその世界から投影された影のようなものだと言う説だ。元の話を知らずに恵みの書に紛れ込んでしまった可能性もある。日本は中華から数多くの事を学んでいるが、この先もずっと劣ったまま吸収できない状態が続くだろう。まあ僕が打破するつもりだが」

「隣の国でさえそうなんだ。僕たちが知らないだけでもっと多くの事を海外の国々は知っている。同時に中華は西の端を西の端は中華の事を知らない事もある。今はギリシャじゃなくてローマって漢のような大きな国だけどね。ただねどれぐらい知らないか?と言うと、絹が欧州の隣の砂漠地域のものだと思ってたり、後はねかなり長い間漢を秦だと思ってたとかね」

「あんまりうちの秘密は言いふらさないでよ。君たちだから話してるんだから」


「とりあえず暫定的に周期表を埋めますか?」


「あそれ難しいよ。僕しかできない。理由はね、だから気体元素からやらないといけないって話したんだよ。それって原子の重さ順だけど。原子の重さってなんやねん?ってなる。原子が大量に集まれば数値として図れるようになる。1つの重さを互いに比較するなんて分かるわけないんだ。とりあえず元素の特定だけで良い。埋めるのは僕がやっておく。自分たちで重さをはかることが出来たら埋めていってほしい」

「同じ温度圧力なら同体積の気体には同じ数の原子が含まれる。これから導き出せる。じゃ何故これ分かったの?これ仮説ね。整数比によって気体の化合物の反応は簡単なものなら示される。これは実験で確かめられる。なるべく元素の反応から確かめた方が良い。元素と原子って考えが正しいならって理屈を考えて、同数だと考えると原子量の重量比ではないか?直感になる」

「後は仮説を確認すればいい。これも科学にとって重要だね。基本的に科学は近似値なのですべての論は仮説であるって言えるけど、まあそれでも仮説らしい仮説がある。全く実験無しにポンと出てくるものだ。科学の壺はとにかく確かめてみる事ってのはここにある。分かるでしょ?科学じゃないとこういう言いっぱなしがそのまま論になってその論を基にどんどん新しい論をつくっちゃうから。とにかく確かめてみようってのが科学の肝となる」


「でも徳丸様他でも肝って言ってましたよ?」


「ああそれね、後々棄却される発想も初期なら有用だって意味なんだよ。火と火種の話をしたよね。火種と継続する火は別物で、火種は火種が重要で、その後の継続は燃料の投下だと思う。油をどんどんぶっかけても火はつかないよね?でも火が付いた後油をかければどんどん火は燃える。油に当たるのが確認作業で、火種が、機械的世界観や、もう1つ話してなかったけどあるんだよ」

「暫定的な理想世界こうだととりあえず世界のありようを単純に決めてしまって、そこに向かって研究をまい進する」


「それ問題ないですか?」


「ある。ただ問題が出てから考えればいいんだよ。後問題を発見するための懐疑的な確認作業が軸になってるしまず問題は見つかるよ。例えばだよ、ある程度までは上手く行ったとすると、その後の知見でどうもおかしな点が出てくる。その時に根本に戻って考え直すって多分科学しかできないよ。暫定的でも理想的単純世界をモデル化してとにかく推し進めるって、初期の科学の強みだと僕は見てる」

「だから僕は君たちは近似値について考えても仕方ないと言ってるんだ。問題が出てこないと駄目なんだ。その段階に達してない。僕の言い方だともっと良い方法を知ってるのに何故そこからやらない?となるけど、2つの意味でそれは正しくない。例えば石器から金属器に道具が変わってきた。最初から金属器使えよとなるが、その加工が難しいから後回しにされて、かつ石器の時代が無駄だったか?と言えば、素手よりは何倍も良い生活をしてたんだ」

「もう1点は、子供の学習と同じだ。ある程度の力が無いといきなり難しい正しいことをするより、多少間違ってるが、年齢にあった覚えるものってのがある。今の時代の科学者は今はまだ幼児だって事だ」


 実験器具を創ろう。実験手法と器具が錬金術の時代を経てないのでない。これがどうにももどかしい進みに影響を与えている。まずは簡単なメスフラスコだ。ビーカーもついでに。ビーカーは本当についでだ。ただの入れ物にすぎないので。シリンダーは違う。定量ってのがものすごく科学には大事だ。だから簡単で重要性が高いので作った。


 意外にもスムーズにいく。当然だろう。ルーペを創るためのガラス工業が発達してるから。もちろん様々なガラス製品を作ってる。日本において廃れてしまったので問題だと思うのは、弩とガラスだと思ってる。弩が廃れたのは分かるが、後の時代に専門兵士以外の農民兵の大量導入って戦国時代に生きてくるんだ。練度の落ちる兵隊のための弓。確かに鎌倉に廃れたのは良く分かるが、後の時代に必要になったときはもう消えていたという現実だ。


 ガラスは何故か?分からない。ガラスは技術が無かったのか?ガラス製品が日本であったのは知ってるが、海外製なのか?


 後はスポイト。ゴムが無いって事だけど。いずれ南米にいってなんとかしてもらうつもりだ。ただそれでも問題が無い。口で吸うスポイトってのがある。大事なのは、微量を正確に測り取るって点にある。定量と定性、精密。こんなところが理想状態を作り出してん実験となる。もう1つはモデル化、単純化だろう。科学の実験と事象の観察の違いはここにある。


 濾過も重要なので漏斗も必要だな。後菅を繋ぐ菅のついた3角、丸フラスコとかもいるな。後試薬を片づけておく蓋つきガラス瓶もあった方が良いな。こっちはガラス工業が発達させていたのであんまり苦労が無いな。問題は実験手法か…。濾過とか蒸留とかメッキも錬金術やりまくったんだろうな。


「今回は塩について話したい」


「塩ですか?」


「と言っても調味料としての塩とはちと違うかな。塩ってのはにがい不純物入ってて、それらすべてを含めて塩と言う。だから調味料としてにがり成分を除いた塩じゃない。塩とここで言うのはここからが重要になる。海の塩は酸灰の反応の沈殿物として得られるものと同一のものが多い。海の塩は酸灰反応の名残りではないか?と僕はとらえている」

「灰ってのをこれからは塩と結びつけて、塩の基と書いて、塩基という事にする。酸塩基反応と変える。この塩がとても重要になる。主題として今まで与えたものが多々あるが、この塩を主題とした分班を新たに作ってほしい。鉱物の反応の班とくっつけて良い。酸塩基反応の結果の塩について、それぞれの特徴を調査してほしい。多分別の酸、別の塩基の反応でも同じものもあると思う。ついでに酸塩基の班ともくっついてほしい」

「塩と聞いてピンと来ないかもしれないけど、化学実験の初歩として塩はとても良い。酸塩基も調べられるし、化学反応とはなんだ?というのが良く理解できる。実験手法器具の使い方、必要な器具なども分かってくると思う。これ自体が重要と言うより、初歩としてこれほど望ましいものはないと思ってる」


「ところで以前の話で、気体の同じ圧力ってなんですか?」


「ああそうか気体の圧力って良く分からないか。鍋に蓋して沸騰すると蓋がかたかた言うでしょ?あれは水の気体が熱で圧力が高くなって蓋を押しのけてるんだよ。でも鍋の蓋が空いたら外の気体に逃げてしまうから圧力が下がってしまう。んで、蓋が閉まったら、また圧力が高まるから持ち上がる。この繰り返しでカタカタ音がするわけだよ。気体の圧力を同じにするようにって事だよ」


「それまた道具いるでしょ?」


「そうだね。どうやって作ろうか…」


 僕は液柱を使ってみた。液体は水銀。鉱物を集めてるのでたっぷりある。安全面で扱いにくいが、まあその辺りは何とかなるだろう。


「この高さとかもろもろの数値を計算すると出る。圧力-気圧=高さ*9.8*液体の密度」


 こんな感じ。


「密度ってなんですか?」


「言ってなかったか。水を基準にして、1立方CMあたり1Gって重さになる。水以外ならどうなの?って話かな水を使えばそのままですむね」


 CMとか、Gとかかなり雑…。そのうちこれ考えないなと。統一ってのは話してるが、基準を厳密にはまだ出来ないとして皆には様々な問題から雑だからと話してある。


「9.8ってなんですか?」


「ああこれ今のところそういうものだとしておいて…。まだ君たちには早いー」


 重力加速度だ、これ見つけた人ニュートンがもうプリンピキア出してて見たんだろうな。


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