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クローニングに用いられるものとしてプラスミドがある。これによって遺伝子治療なども可能だが、それより大腸菌などを使ったクローニングが便利だ。何故ならウイルスの場合、元が病原体であるためリスクがいろいろある。もちろん大腸菌に用いられるのであまりないのだが。
ただ遺伝子治療にも使えるので、その点元がウイルスと言う病原体じゃないため安全性が高い。プラスミドはもう研究されている。ただこれを使って遺伝子操作に利用するってのは分かってないから伝えないといけない。道具は豊富なほうが良いし、かつプラスミドの安全性の高さと、クローニングだけなら元の大腸菌の機能をそのまま使えるためかなり便利だ。
プラスミドはDNAとは別個の複製機能をもってるためクローニングにはもってこいだ。ウイルスは感染なので何かと抵抗もある。まあ目的の遺伝子の一部を好きなように増殖できる。一番のポイントは名前だろう…。これは遺伝子を使った治療であり、遺伝子を書き換えて治療するって意味じゃない。
全身治療にはあまり向いてないと思う。ターゲット個所に体内のDNAによって発現するものじゃなくて外部遺伝子を放り込んでそいつが目的タンパク質を作って治療に使うというわけだ。かなりこれは丁寧に説明しておいた。根本的に違うんだ。名前は同じだが…。
名前変えたら?って思うぐらい科学的には意味合いが違う。まあでも遺伝治療ってネーミングはとても良いのでそのまままとめていけばいい。そのために別個に私が説明しておくんだ。専門家向けだな。ちなみに遺物じゃないか?ならそうだ。だから代謝されやすいのでリスクの低い緩い治療法と言うわけだ。
ただプラスミドは一部DNAに組み込まれる場合がある。どっちが主か?なら代謝されてしまうケースが多いが、例外的にプラスミドの組み替えたDNAを核DNAに組み込むケースがある。すべてそうだとは言わないが、植物と動物で違うと大雑把には言ってしまえるかもしれない。
当然植物では例外的に組み込まれるって話だ。実際はこの技術の延長で動物にランダムじゃない方法もあるのだが、まあそれはおいておいて良いかもしれない。
さて他にも重要なものを伝えないといけない。実はランダムに任意の遺伝子を組み込むって方法が最初はされていた。え?と思うだろう。当然だ、そんな事したら問題が起きてもおかしくないからだ。要するに以前の遺伝子操作は突然変異と似たものだったとなる。
人為的に突然変異を起こすものと似てて、そこに狙ったこういう機能を発現させたいとして任意のDNAをぶち込む方法がとられていた。当然どこに何を組み込むか?など考えてないから奇形が出来てもおかしくない。当然これ人間の治療には使えない。
品種改良などの方法だった。だがそこから狙った計算できる動きをさせるため理解してる特定の部位を入れ替える、こんなやり方が後からできた。特に医療に使える応用力の高さからこっちに進んでほしいんだ。
まず狙った機能は研究するしかない。この遺伝子はどんな機能を持ってるか?またはこの機能はこのDNAの領域で発現するなどである。これが第一の研究。次に特定を切断するのだが、問題は切断じゃない。これは既存のDNAで使われてる酵素を使えばいい。
問題はどうやって特定する?になる。手動でやるわけじゃないんだ。ここにランダム組み込みとの決定的な違いがある。そもそも自然界でレトロウイルスがランダム組み込みによって突然変異を誘発するので、その方法によって人為的に既知の機能のDNAをレトロウイルスと使って組み込む方法がある。
だが、最終的にはランダム以外ターゲットを決めた方法になる。これは遺伝子組み換えからさらに特定のやり方としてゲノム編集と呼ぶ。これがやりたいんだ。
ターゲットとなるDNAに対して対になる塩基配列の1本鎖のRNAを使って狙い撃ちする方法。後は切断はどうするんだったかな…。この問題点は、ちょっと似た配列で切ってしまうかなり問題があるが、それでも精度は高い。現代においてこれ以上は無いかな。
このRNAに切断酵素をくっつけるんだったかな。細かいのはさすがに研究してほしい。それじゃ何のためのアドバイスか?ならこういうの1つ1つ進むんだ。その時一番大きい山をあらかじめ伝えておくだけでものすごく進む。自分がやる立場になればわかる。
ただ大雑把に投げられると、期待したほど早くは無理だけどね。皆はあんまり早くできるのは期待しないでほしいな…。ある程度は言えるが、そこまで細かくは伝えられん。細かい部分は、認識と切断が分かれてるんだけど、どうやってこれ1つのユニットにするの?
もう1つは、どうやって特定をした後切断作業に入るの?などがイマイチ理解してないんだよな…。はっきりわかってるのは、特定に対になるRNAを使うのと、それと切断酵素がセットになってる点。これで頑張ってくれー。最低限DNAの複製修復などすでに備わってる機能を細かく解明するのは進めてくれ。
これ結構進んでるけど、遺伝子操作となるとまだ不十分だろうな。解明が始まってからかなり後だからな。
おそらく磁気テープコンピューターはめどが立った。そうなると近代コンピューターがほぼ出来上がったことになる。そこでOSについて考えないといけない。ただまだ本格的な現代のコンピューターに近い原形の誕生には時間はあるので前もって話して勝手に進めてほしい。
「今回話すのはオペレーションシステムについて」
「なんですかそれ?」
唐突に横文字が出るのはもう慣れてきてる。うーんこれもよく慣れたものだ。だがどーせ新言語になるんだから良いのだ。一応漢字で可能だがよほど特殊じゃないと採用しない。理由は、中国自身が年々増え続ける外来語に根を上げてるからだ。
漢字は意味が重要になる。それに相応しく当てなくてはいけない。そのため中国の科学用語は明治の日本の訳をふんだんに使っている。実にうまいのだ。だがその後大量に増えていく外来語に日本はカタカナを採用して中国は苦労してる。ただ電脳は中々良いと思う。
私はそのため新語となるのはもう気にしなくていいかと割り切ってる。そのうち私が伝えないガチ新語になると日本語になるのだが、その時どんな言葉が生まれるのか…。
「コンピューターを動かすのにいずれは分野において専門の機械が登場してくる。例えば文字の扱いなどが出てきたら電子的情報によって印刷する印刷機などだ。その時その制御まで機械の操作言語を書くの?となる。どう?」
「おかしいですか?」
「不便なんだよ。私はそれに便利なものを誕生させることを進める。そういった機械とのやり取りを引き受けてくれる基本操作言語群がオペレーションシステムなんだよ。OSがあれば大雑把に印刷してくれーぐらいの命令で済む」
「おおそれは便利です。相変わらず完成系を知ってるような視点ですよね」
「ああそれは不敬とみなすぞー」
なんとか苦笑気味の笑いで聞かない事にしてもらった。恵みの書って本当にあるんだけどね。今あるのは初期のメンバーとその後の科学者の皆が作り上げたものだ。いずれ発見者の名前とともに論文や法則名を残して恵みの書はそれに置き換えるつもりだ。
徳丸の法則ばかりになるのが見えてるので、皆をとどめてるんだ。そして今作ってるものが以外の元ネタとなる何百年後かに恵みの書が本当にあったかのような噂をでっち上げをするつもりだ。名前を残さないのは残ってるものと伝承の区別を分からなくするためだ。
「まあ今すぐ作らなくていい。君たちにはそのOSを作ってほしい。そしてOS誕生後はここの機械への制御命令なんてやらない操作命令にしてほしい」
「ええ使いにくくないですか?」
「いやそこまで雑じゃない。なんというかなんだろうな。たとえるものがないかな。上司と部下みたいなものかな。例えば農民が部下だったとして上司は米を作ってほしいと言っても、おいしいとか寒さに強いとか、細かい指定は出来る。だが実際農作物を作る作業はしなくていい」
「なるほどそれは便利だと思います」