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以前から小さな規模のウイルスと言う事でファージに着目してやってきた。細菌に対するウイルスだからそりゃ小さいはずだ。後のクローニングベクターのためにファージを専門に扱って十分な知見を得てほしいので、ファージ専門集団を作ることにした。ここから遺伝子操作が進むとうれしい。
生物学に関して大いに関わる事にした。生物学意図的に避けていた。設備の予算があまりいらないので一番ここに人的資源を投入してて勝手に進んでいたからだ。ただなんとなく無作為に進んでいた流れに一本筋を通したくなった。
一つの背骨竜骨のような柱を作ることで穴だらけでもそれを埋めるように勝手に進む流れを作り出したかった。メリットは?当然目的とする地点へのスピードは加速する。前にあった研究から何かが進むんじゃなくて、これについて穴のように分からないから研究してほしいという欲求が勝手に出てくる。
一つの指示で逆に自主的に研究するようになるのだ。メリットはそこにもある。段階を見て指示を出していたがそういうのがなくなる。多分ゴールまで私無しに突き進む。
「今回集まってもらったのは生物学の最も重要な研究にしていこうと思ってるからだ。今までは君たちに自由にやってもらったが、今からは目的をもって研究してもらう。どうしてなのか?なら不老不死を研究してくれと言われてもピンとこないだろう。私もそんな指示はしない」
「何故か?」
「どうしてですか?」
「そうだよな不老不死じゃ分からないよな。うんそうだね、なぜだめなのか?でコツコツと進む具体的な小さな目標がないからだ。それゆえに訳の分からないおかしなことをやみくもにしだす。中国がこの点は悪い意味で進んでるので、科学的にはアホな研究ばかりだ」
「日本の科学者なら中国の水銀を尊ぶ不老不死研究がいかにあほなのか?わかるだろう」
「ああ科学者ならあれ毒だと分かりますね」
「うん薬に毒が無いとは言わないが、だからってあれほどひどい毒は使わない。分かりやすいのが熱だよね。熱を出すのはそれによって熱に弱い細菌ウイルスが死滅するからだ。だが同時に人間自体も自分で作りだした防御機構である高熱に害を受ける。特に顕著な例が脳だ。誰しも病による高熱でぼーっとするのは経験があるだろう」
「正確には毒という定義とは違うが、まあ言わんとするのは分かると思う。このように小さな具体的目標を積み重ねないとこんなとんでもない間違いを犯す。でその小さな始まりの場所がちゃんとできたと私が判断したからだ」
「やってもらう大目標は遺伝子操作だ」
がやがや、ざわざわとした空気になる。
「まあ不老不死ほど大げさじゃないと思うのはこういうわけだ。だがこれ今の小さな土台があるなら出来ると私が断言する。生物がDNAを体内でいじくってるのは分かったと思う。だがこれを直接使うわけじゃない」
「え何故ですか?」
「あれはやはり生き物じゃなくて化学反応に過ぎない。私も生物を特別視するわけじゃないが、化学反応と生体機構は単純には一致しない。その原因は秩序に尽きる。今ある知識ではDNAの破壊にしかつながらない。発展してもだめだ。全く違う角度の制御全体を研究する必要があるが、それを待つよりもっと便利な方法がある」
「え、そうなんですか?」
「ファージの研究してる組ならわかるはずだ。ウイルスには遺伝子をいじくるものがある。こいつらを使う。ただし単純にそれをすれば病気だ。それゆえそこはこれからだと思う。ただ敢えて今まで無駄を好んできたが、今回はやめてほしい。際限ない研究につながるから方向性を決めてしまう」
「無駄にはならないのは分かってるが、今回大目標を設定したのは目的への道筋を早く進めるためだ。分かりやすいのは、今原爆チームがいるが、彼らは原子の研究のチームから分かれたものだ。土台となる小さな原子研究から具体的な大目標を設定して必要な研究技術開発をしている」
「一見同じようだが、特定の目的に向かうなら前者のほうが早い」
「何度も言うが、決して現段階で不可能ではない、私が今なら出来ると判断したからやったんだ。それを強く念頭に置いてこれまでの私の指示による結果から私を信じてほしい。ただし極度に焦る必要はない。早くしたいのは、利点が多いからだ」
「だがいつまでにと言う時間制限は全くない。それゆえ研究速度は好きにやってほしい。単に私が早く進めるため皆の働きを効率的にしただけだ」
「具体的に利点は?」
「医療、農業、生物学全般。すべてに影響が出る」
ニュートン的世界観として宇宙の観測が行われていた。これはあくまで重要となる航海のため星空観察の延長だった。そのためこれらの効果があまり得られなくなったので一時天文学を停止していた。だが再開し始めて何年か経つ。
「天文学もいずれは新時代に移っていくべきだと思うが、望遠鏡の費用が年々上がっていくので思うようにいかない。そのため何故そういった費用を年々上げていかなくてはいけないか?を話すとしよう。ばかばかしい答えだが、もっと遠くを鮮明に見るためだ」
「徳丸様それはちょっと当たり前すぎるような」
「いやこれが大事なんだ。天の川があるだろう。現在太陽系を超えて銀河と言うものが意識されるようになったと思う」
「星がまばらになるという観測からですね?」
「そうだ、日本も地球の島だと分かり、その島の一部の地方に我々は住んでいる。こうやってどんどん広がっていく。そうして天をもっと広く意識するようになる。それを宇宙と呼ぶ事になった。この宇宙は実は大きくなっている」
あら皆キョトンとしてるな。いきなりビッグバン説を言ってしまった。本来この科学水準だとなんとなく推測できるのだが、費用があまりとれなくて地味にやっていたからそこまで進んでない。
「君たちが何言ってるんだ?となるのは分かる。だが望遠鏡の性能が低くてこれに至らない。君たちには気の毒に思うから天文学の未来を語ろうと思うんだ。何故もっと早く語らなかったのか?なら実は量子力学が関係してるんだ。それゆえ今なんだ」
「太陽がどうも核融合してるというのは量子力学の先端の研究からわかってきたと思う。宇宙全体について量子力学から語れるようになったんだ。だが問題はそれについて直接観察したものが足りなさすぎる。宇宙の膨張も高性能な巨大な望遠鏡による観測から結論付けられる」
「だがその根源的なものは量子力学の研究と関わってるんだ」
敢えて、におわせるだけにしてビッグバンは避けた。さすがにそれは費用の掛かる望遠鏡を作って様々な観測情報がそろってから皆で考えてくれれば良いや。
宇宙の話をして思い出したが、大陸移動説の根拠があつまりつつある。これもわが国家が世界中に広く影響を与えるためだと思う。材料集めがしやすい。ただまだ極地探検は進んでない。交易のついでにやってるだけで、何の商売のタネがない極地探検は出来ない。
ただ南極が大陸であるのは分かった。と言うか普通に大陸だとして問題がない。むしろ北極がおかしいのだ。南極は近づけば陸地が見えるため問題がない。ただ潜水艦があればすぐわかると思う。下を潜れるんだから。
大陸移動説の証拠として新たに海底の生物の化石が地表で取れる事がある。ただこれはカスピ海のように干上がったのも考えられるので、それがまずありえない高地で調べてもらうことになった。これが一番集まっている。なにせ日本でも取れるのだ。
日本は干上がったなど淡水海水の変化が人類の歴史の中で記録されてる。そのどれもが低地だ。じゃ高地でそうなるのはおかしいじゃないか?とわかると思う。高地でそうなったのは山が逆に海からせりあがってきたと説明がつく。
そもそも火山島などがあるので、人類の歴史の中で新しくできた島もある。ただこれは直接的な大陸移動説じゃない。ただ地面が盛り上がってるだけじゃないかとなるからだ。これはマントルと地殻の運動の傍証というわけだ。近くは静的なものではなく、動的なもの。地震もこれにつながっていく。
ただ北極は、太古から流氷の存在があり、氷が解けて砕けても陸地がないのは極地付近の人間なら知っている。そのため過去からの当たり前すぎて大陸だと思わなかったのか?決定的な史実での証明方法は氷が動いたからだ。極地なのにそれがずれたとなるとかなり精密なコンパスでわかるのではないか?と考えている。
そのため、極地探検でこれをやってもらうのが良いかと。ただし長い期間の調査が必要になる。史実では偶然脱出困難になってデータを取っていて発見したそうだ。今現在の潜水艦ではとても不可能だ…。今現在の潜水艦は史実での船底に爆弾を仕掛けるような小さな工作船がせいぜいだ。
相対論が理解できてそれなりに得意なものを選出した。テストでもしたのか?ならざっと教える事は出来ても優秀なものをテストで選ぶのは無理だ。皆の意見を聞いた。難易度の高い論なので人に教えられるって人はそれなりに理解が深い。そんな感じかな。
「君たちに集まってもらったのは、相対論とはこれまでの単純な絶対空間に対して力学的事象は相対的であるって意味で名づけられてる。だから重力を排除した理論は考えられない。特別に今までの相対論は重力を無視して扱ったもので、特殊相対性理論とでも言えばいいかと」
「君たちにはこの特殊性を一般的な重力を交えた論に進化させてほしい」
「ああなるほど、そういわれるとそうですね、言われるまで気が付きませんでした」
「うん、かなり奇抜な論なので間違えやすいが、これは今まであった考えの見方を変えるだけで慣性の法則などの世界を記述した力学の法則なのは変わらないんだよ。特に慣性の法則は深くかかわってるからよくわかるかと思う。見方が全く違うから奇抜だが、扱ってるものは全く同じなんだよ」
「一つ話しておくとこれまでの法則が間違っていたとかじゃないからね?極端な話をした場合見方が変わってくるだけで、それは量子力学も全く同じだから。極端に小さな領域ではまるで法則が違うが、巨視的な見方ではこれまでの論は通用するから」
「慣性の法則も使えなくなったわけじゃないと?」
「分かりやすいのは光だろうね。光に運動系の速度を加算することは出来ない。これが決定的に慣性の法則とは違う部分だから。正直言えば私も特殊相対性理論を説明するのに四苦八苦だったから、一般は君たちだけで頑張ってほしい。ある程度なら語れるが緻密には勘弁して」
「私より多分その点優れてると思うものを選出したから。敢えて言うならこの先必要になるものとして直線的空間の数学じゃなくて曲線的な空間の数学が必要になる。これを別個に数学者と協力して作り上げないと無理だと思う」
「一つ重要な視点として、自由落下するリンゴを持った人はリンゴの重さを感じることは出来ない。この想像が一般相対性理論の軸になっていく。これ以上は無理だ後は高度な思考力と高い数学力を持った君たちが進めてくれたまえ」
あそういえばニュートンがリンゴの落下で重力に至った話はこの時代じゃないんだったな…。リンゴにした意味ないな。リンゴは一応もう日本に入ってきてる。寒冷化の問題から寒い地域と相性がいいから早くから取り寄せたからね。
EPRパラドックスについて、なんとこれらの実証的な実験が私が指示しなくてもやってくれた。アインシュタインがおかしいとしてきたとおりになった。ゴーストの存在である。まあこれ解釈がむつかしいんだよな。謎の未知情報があるわけじゃない。
ボーアは離れていても1つのものだと考えるって発想だった。大乗は基本マクロじゃ意味がないのだが、唯一これだけが1つのものが無限の広がりを持つんだよな。それでも仏陀の悟りが無限の救済をもたらすのはおかしいと思う。悪い意味でのこじつけだよな。
量子コンピューターを進めようと思う。時代がめちゃくちゃじゃないか?なら良いんだ。この手のいつまでたっても進まないものは早くやっても特に問題がない。技術体系が全く既存のコンピューターと違うので早すぎるってのがないんだ。どーせほとんど進まないだろう。
ただどうしても必要だったのが、エンタングルメントについてだ。これが分からないと問題だった。そういえばスピンについて知っておいたほうが良いな。スピンはかなりむつかしい。初期は電子が自転してるような意味でスピンと名付けられたが、その後その発想は正しくないとされた。
じゃ何故残ったのか?と言うと、マクロで磁性体に強い磁場を加えると回転力が生まれる。電子がこれに似たものが発生するため。実際これはマクロ的な球の回転なのか?と言うとこれが難解…。ただこれアインシュタインが発見してて、だからEPRにつながっていくのかと。
大やっぱに伝えてみるが、ざっとした概念はあるが、実際実験をするものは単純なマクロ的世界観を持ってない。もっと言うと世界観を作らないケースが多い。計算上の物理学になってる。そうじゃないともうやってられないらしい。だから大雑把に伝えて丸投げしたい。
スピンが概念として確定したら、量子力学の話かな。スピンによって01のデジタル概念をもたせて、そのあとが重要になる。0でもない1でもない状態こそが量子コンピューターの神髄になる。観測したら決定してしまういわゆるシュレディンガーの猫状態だ。
スピンが自転してるのか?ならこれは強くイメージはやめたほうが良い。だが計算的には角運動量が求められる。量子力学をある程度かじったら粒子は観測機器などから発せられる量子と量子のぶつかり合いで決定される最終的なものにすぎないって点。
本質的なものはよくわからない謎の物体になる。それを存在確率の雲と呼んでいたはずだ。こんな謎物体の自転って何?ってなる。まあ結果として角運動量が求められる。これしか分からん。だったら自転だろ?ってなるが、そうならないのは量子力学を学んだものなら分かる。
この手の話は、うちの科学者たちもいい意味で考えることをあきらめている。だってそれをごり押しすればまさに形而上学のような話になるのだから。マクロのイメージに落とし込むのが無理だろう。だってマクロじゃないんだから量子力学なんだから。




