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 未だに占領しない海外との戦争に対して文句があるようだ。まあこの時代に先進的過ぎるからな…。仕方ないのでまた朝廷に赴くことになる。まあ宰相なんだから毎回出ろとなるが、正直将来のためにやってるだけで、実質的なこの国の頭脳って私の周りで事足りるんだよな…。


 じゃ何故?将来私が楽するためだ。その役割を担ってもらうため至らぬ点を知ってるが、練習してもらってる。後些事を代行してもらってる。祭祀などは一切かかわりあいたくないし…。なくしてしまいたいが、正直それは今の代の陛下がいるうちは無いし、簡素程度に将来するつもりだ。


「皆さんの中でまだ納得してない人がいるため再度この話をします。ちょっと新しい切り口で話します。まず前提として世界帝国のようなものは確実につぶれます。どれだけ頑張っても外から壊されないなら内から壊れます。今私たちがそれが実現できそうなのは圧倒的な軍事力によるものです」

「ですが、内から崩壊するならこれが問題になります。軍事的優位が内側の分裂によって破壊されるなら働かないからです。そして壊れた時に、圧倒的だった我が国の軍事力を支える科学知識とそれらが生み出す技術は全世界に広がってしまいます。これが一番怖いんですよ」


「ですが信善殿、それなら今行ってる他国への技術拡散はどうなのですか?」


「そこは痛い質問ですね。すぐには気が付きませんが、高い軍事力をずっと見せ続ければ、いずれ我が国の知識が圧倒的差を生んでいると気が付きます。そうなるとその知識を奪おうとする力が働くでしょう。ゆえに戦争をまず徹底的に減らします」

「私は現地の話を部下から聞いてますが、神の力みたいにかなりの敵の皆は信じてる部分があります。これは私は想定していませんでした、まったくの計算外です。ゆえにこれ利用しようと思っています。短期で一気に片づけて、この状態を維持します」

「それを前提として先ほどの質問ですが、だから適度に友好度によって知識技術を流出します。意図的です、ですがその技術はあえて落とした技術知識にします。これで100年はごまかそうと考えています。ごまかしきれるなら200年ぐらいはそうしたいです」

「ただ、先ほどの矛盾は根本的には解消しません。将来的にはかなり高い技術知識を流出します。すべてではないです。ただ重点を絞ってそれ以外は放出してします」


「何故?」


「まず100、200年の優位性でさらに私たちは先に進みます。それでも今ほどの優位性は無理でしょう。じゃ何故?科学知識は多くの人ひ広がった方が発展するからです。そういった皆で共有しあう枠組みを作って、私たちもその恩恵を受けます」


 ざわざわしはじめた。無理もないか。だがこれ絶対譲れないんだよな。


「将来のことなのでかなり先にまたこの話は話し合いましょう。その時の日本を動かす人たちはこれが理解できます。情報を完全に秘匿するのは無理なのと、全世界を弱体化するような政策はあまりとらない方がいいでしょう。その目的は敵視するからです。弱体化政策が正当性を持つのは、絶対的な敵対関係だけです」

「それ以外は弱体化政策は安易な決断だと理解した方がいいです。1つの戦略で有効な戦略ではありますが、規模が大きくなるとちょっと考えたほうがいいですね」

「当面は以前から話してるように、意図的に劣った技術情報をあえて流してごまかします。これ誤魔化しだけじゃないです。私たちが優れてるのは見せつけたほうが良いからです。人間ってのは大体ちょっとでも敵視する感情があればその相手を軽視する傾向があります」

「この程度なら努力すれば追い付けると思わせたほうが良いです。特に友好国が豊かになるのは私たちに得ですからね」


「軍事だけに絞ったらどうか?」


「無理です。その軍事が多岐にわたって科学知識と関わってるので、完全に技術や情報を遮断するってその方向なら結論になってしまいます」


「要するに占領には軍隊がどうしても必要になるからそこから様々なことが漏れるというわけか」


「ええ、確かに以前戦いに勝った国でも緩く関係性を結んでも我が国のような発展は抑える話をしました。これも重要なのですが、軍隊で支配するとなるとさらにむつかしくなります。恒久的に軍事組織を置くならおそらくその国家に軍人以外もかなり入り込むことになります」

「彼らすべての生活のための基盤を整えていくとやはりある程度発展させていくことになります。それでも抑えようと思えばできます。奴隷的な扱いですよね。この場合軍事費がさらに跳ね上がりますね。ただどちらが得か?となると同様に発展させていくより奴隷的扱いのほうが得です」

「何故ならいずれ反抗的になった場合投資した設備全部取られて独立されます。これが下の下の方法です。完全に日本に同化させるように広げてるのが、本国の南北にある日本地域です。これでさえ賭けの部分があります。原住民が住んでるので、彼らを長い目で見て同化させようと考えています」


「奴隷化?同化?しか無いという事だな」


「ええ中途半端な支配が一番駄目です。そして奴隷化は軍事で徹底的に押さえつけるわけですから軍事費が膨大になります。ただ同化させずに発展させるよりマシです。私が南北を同化しようと考えたのが日本人より原住民が少ないからです。逆ならまず同化なんて無理です」

「発展した農業地域じゃないので確実に日本人のほうが南北の地域は増えます。そういった計算からです。我が国の高い武器の性能からすれば多数民族に対する少数による勝利とそれによる支配はできます。ただ、その場合多数民族相手に同化は無理だという事です」


「だが蝦夷地域で同化を積極的には進めてないではないのかな?」


「ええ長い目で見てです。後無理にしなくていいと思っています。所詮少数派なので、頑なに避ける集団もありますが、おそらく多数は同化してしまいます。圧倒的に私たちの生活のほうが生きやすいですからね。そもそも私たち自身も彼らと似た生活をしてたんですよ。それをやめたのは発展した農業による生活のほうが生きやすいからです」


「彼らを敬ってるのかと思ったよ」


「まあそう見えるようにしてるだけです。その方が仲良くしやすいでしょ?短期的に同化を強引に進めるか?または長期的に同化していくか?って時間の問題に過ぎないです。だから無理やり支配していくような事は避けてくださいと言ったまでです」

「今までは距離があったから同化しなかっただけで、農業をできない地域でも工業を行ったり効率的な漁業を行っていれば自然と同化してしまいます。特に若い世代は近くで魅力的な生活を送る集団の生活を無視するなんて耐えられませんよ」


「だから長い目で見てか」


「ええそれはこの国でも同じです。今までの生活を年を食うほどどれだけ不便でも続けたがるんですよ」


 シリコンは光電効果の延長のようなもので開発できるため任せていたが、ペロブスカイト太陽電池はまず無理。だから基本構造である自然に存在する鉱物を示して進めてもらう。灰チタン石になる。ポイントは結晶構造にあるため今X線回折によって調査できるためすべて任せる。


 はっきりいってペロブスカイト太陽電池と呼ばれるが、実際はこの結晶構造と類似した別物質のほうが圧倒的に効率がいい。現代日本において鉛を中心に据えた物質が他に類を見ない効率を誇る。どれぐらいすごいかと言えば、もともと効率がシリコンに比べてパッとしなかったが、鉛を軸にしたペロブスカイト太陽電池によってシリコン並みの効率を出せるようになった。


 これによって安かろう悪かろうって存在に過ぎなかったが安くて同程度までに発展した。じゃ夢の物質じゃないか?というとそうでもない。鉛と言えば水銀と並び人体に悪影響を与える。ただ私はこれ簡単には見つからなければ、そのまま進めてもいいかな?とは思ってる。


 普及させた後に劣化で入れ替えればいいかと。確か劣化はするんだ。コストが安いからシリコンに比べてかなりお得と言うだけで。劣化に関しては保護層との組み合わせで変わるのだが、それでも根本的に生物のように過酷な環境に弱い。


 ただシリコンが丈夫なのか?と言うとどちらかと言えば工業製品としてはそうでもないので、コストが安く回転させやすい点で総合的にはメリットになるかと。


 コンピューターを進める前に、そろそろICをフォトリソグラフィで作っていく装置にテコ入れをしたい。


「今日集まってもらったのは、いよいよ材料は整ったと思う。集積回路を作るため方法は確立できたと思う。これからはそれを特別な方法で作っていくことにする。以前も話したけど、印刷の技術を使う。そこで重要なのはプレーナー式だと言うのは分かるかな?」


「はい」


「でも何故説明できる?」


 沈黙が広がる。


「最初はあらかじめ作られた部品を置いてセットの回路を作るって考えだったと思うけど、プレーナー式ってのはね、部品を半導体にその場で作るんだよ。ただこれだけもうすでにできてるから、作り方が問題になる。これを印刷技術を使う。すでに概要は話してあると思う」

「印刷の時原版の金属板を加工でしょ?半導体も金属板に近いから似たような技術で加工するんだよ。ただ半導体だけじゃダメ、導体となる金属などを重ねて作っていく。後は当然絶縁物質も必要になるけど、これは半導体となるシリコンの酸化物で可能なので表面を処理すれば可能だと思う」

「後は今回写真の技術を応用した印刷技術の専門家に来てもらってるから彼らと組んで集積回路に応用していってほしい。集積率は上げなくていいから、まずは仕組みを確立してほしい」


「機械を作る機械を作るって話ですよね?」


「そうそうICって機械を作る機械を作ってほしい。そういえばプリント基板はもうできてるよね。あれも印刷のエッチングの技術だからね。ICとプリント基板でものすごくすっきりすると思うから」


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