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 前もって選抜した大乗仏教の関係者に量子力学の学習をさせてから習得がそれなりに出来たとの報告があったので対談を行うことにした。


「今回の対話について思う所はありますか?」


「はい、徳丸様は龍樹の正しさを学問によって証明してくれようとしてくれてるのですね?」


「まあ普通に見ればそう見るでしょうね。実は逆です。龍樹の誤った考えを指摘するためです」


「何故ですか?私たちの理解が間違ってますか?」


「いえこの数日皆さんは実に難易度の高い事を習得してくれました」


「大乗仏教と量子力学は相性が良いです」


「ええ私もそう思います。私も良い点では大乗仏教のそういった視点はとても優れていると思っています。だが同時に問題点も多いのにそこを全く考えようとせず結論だけ正しいため無頓着でいる点が私は批判的なのです。もっと言うと大乗仏教は過程が駄目なんですよ。科学のように事実に基づいた観察経験から結論を導き出さないからです」

「直感自体には問題が無いです。科学もそういった思考法は多いですが、必ず多くの人の経験観察に基づく検証が入ります。いきなり空だと言われて結論づけても駄目です。発想自体は悪くないと思っています。科学なら仮説だと思います。その仮説を結論だとして理論を構築していくからアホな教義が生まれてしまったのです」

「私は大乗仏教の駄目な点で、当時重視された在家信者への悟りの問題を雑に結び付けた点です。これが最大んの問題です。なおかつその根底となる空も過程がひどすぎると思っています。科学はこの結論にいくためにとんでもない常識はずれな実験を繰り返しています。ここまでしないとこの結論は導き出せないのです」

「それが仏陀がそういったからとして結論を導き出す過程は雑な思い込みによる結果的に正しい結論を導いただけと考えています。過程がどうしようもないので、仏陀の悟りを皆の救いにするような流れになるのです。科学においてこの現象は極小の範囲でしかおきません。人間がこんな事を起こすことはあり得ません」


「それこそ固執した考えではないのですか?」


「それは大乗の視点の良さを悪用したものだと見ています。じゃ何故仏陀は言葉によって教義を伝えたのですか?勝手に人間として境界線を越えて悟りをあまねく光とすることが出来たなら仏陀の対話の一生は無駄と言わざる得ません。これについてどうお考えなのか?」


「そうですね、対話が無駄だと思えませんね」


「ええ、超常的な能力を仏陀は否定しませんが、自身においては断固としてそれを持たざるものだとしています。だから誰でも可能な対話によって悟りを広げようとしたのです。万物の境界線による実体と言うものが思い込みによるもので曖昧模糊なカスミのようなものって発想は優れてると思います。これは科学を持ち出さなくても仮説として発想としてずば抜けたものだと思います」

「ですが、それを使って当時問題だった在家信者の悟りに結びつけたのはいただけないです。これがすべての問題なのです。結論ありきの我田引水の論だと言わざる得ないです。正しい叡智より、この問題の解決のため空は龍樹によって悪用されました。自分自身が悪用してしまったのです」

「量子力学がどれほどの経験と観察を経て確立されてるか?見れば、その過程が一切ない点をもっと問題視するべきです。前も話しましたが、仏陀はバラモンたちを否定的に扱ったのは思い込みによる妄想論ばかりだったからです。その固執からの解脱の境地が涅槃なのではないのですか?」


「そうですね」


「大乗仏教はこの点思い込みの固執によって根幹が形成されていると言わざる得ない。そのことが仏陀の神格化に繋がり、仏教が世界中にある神への信仰と全く変わらなくなってしまったと見ています。特に今後大乗仏教が進めば、別宗教の神への信仰に対抗するため在家信者レベルで仏陀の神格化による信仰にすり替わりますよ?」


「そんな馬鹿な」


「私は未来を確信しています」


 熊子から連絡があった。なんと劉備が降ってきた。勢力を広げていく中で劉備たちとぶつかったのだが、条件付きで降伏してきた。黄巾党の一員になるのではなくて皇帝の配下になるとの事だった。なるほどそれは旨い手だ。皇帝の扱いが悪ければ反乱でも考えてるんだろう。慇懃無礼にさえなってない、目的がすけすけなんだから。


 だが熊子が強く推して是非加えるべきだとして加わった。劉備の実力がまだ良く黄巾党内では分かってないからだ。ただ李北など幹部一同は熱心な熊子とは温度差はあるが反対しなかった。皇帝が心より地位に満足してる事を知ってるからだ。これについては私も今は納得している。当初霊帝の積極的な姿勢が良く分からなかった。


 だが今熊子からの連絡で良く分かる。そもそも宦官と外戚の権力争いでまともに政権を運営出来てなかった。その何倍も国家と国民の事を考えたら良い政治を黄巾党は行ってるのだから、しかも民の生活を直接見れる点で、大きく違いがある事が分かっている。漢では上手く政権が動いていても多分ここまで民衆レベルで歓迎されてる政治ではなかったはずだ。


 ただ、正直言えばもっと印象が良くなると思ってる。本当の仕事は象徴ではない、外交対外戦争においての軸や旗となってほしいのだ。中心メンバーは幹部たちだが、皇帝を補佐するブレーンもつけた方が良い。劉備は何も考えてないだろうが、これはかなり重要な職を受け持ってもらえそうだ。


 皇族の血の保険程度に思ってたが、皇帝が積極的なので劉備の参加が面白くなってきた。劉備は皇帝が積極的なの知らないから面くらうだろうな。まあ拉致みたいに連れてきたからな。だがこっちは違うんだ、むしろ董卓が監禁してた皇帝を救ったつもりがあるから。


 鍛造の科学的見解について読んでいる。私が出した課題だ。なぜこんな事をさせたか?と言うと、鍛造はまだ廃れてない技術である。機械を使ってプレスして様々な製品を鋳造が発達した今も作っている。これは現代日本でも発展した技術であり、それをそのままこちらでもやったのだが、意外にも鍛造の科学的な説明ってあまりない。


 そこでこれをさせる事で、私が常日頃言ってる事で、技術の科学的な見地からの理由付けをきちんとしろという話だ。特に鍛造を重視したのは、鍛造は私がこの時代で科学を発展させる前からかなり発達している。科学を知らなくても技術が発達する良い例だからだ。だから駄目なんだ。


 知らなくてもこれだけ発達したから良いじゃないか?とは思うなって事で鍛造を科学的に説明できるようにさせた。炭素に関してはとてもシンプルだった。単純に鉄の内部にある炭素を叩くことで表面積を増やしたり、鉄内部の炭素を外側に露出するようにして、酸素と反応させるためだ。


 だがこれも元素に関する科学的知識のおかげでこれらの説明がすぐに理解できる。


 後もうわんさか、鍛造に関する現象の調査が数多くある。その1つを取り上げると、空気の問題がある。鋳造の鉄内部に含まれる気体は鉄を弱くする原因となる。これはプラスチックの成型などでもあり、成型物はなんでも抱える問題だ。この気泡を小さく均一化したり、鉄内部から叩きだしたりする。


 これらを様々な科学的検査装置を使って調べてくれた。これで技術がただの技術じゃなくて科学的な理屈を土台として発展していく事の意味を理解してくれると思う。本当は次の段階がもっと重要だが、それはちと私の趣旨ではない。次の段階とは、科学を絡める事で、今度は科学が技術を生み出していく土台になっていくからだ。


 だが私がこれをさせたのは、技術の歴史と科学の歴史の違いについて理解してもらうためだ。いつも言ってるが具体的例があった方が分かりやすいかと思って。


 無機高分子をざっと適当にやってたが、これ案外難しい。何故なら、無機化学って歴史が古いゆえにかなり出尽くしてる。そのためやる事が高度になってくる。歴史が浅くても発展性があまりない。そして最大の問題は、これ大げさに言ってるがガラス工業もその1つだ。単純に有機高分子が発達しため、敢えて無機高分子とジャンル化しただけだ。


 それを踏まえて再度古来からの無機化学も踏まえてきちんとしたジャンルの土台を作る。再統合という感じだろう。その中で真に新しい無機高分子としてカーボンとシリコンを軸にやっていく。これらこそが戦後発達した新しい無機化学だ。ただカーボンやナノチューブはじわじわやってもらう。これは現代においても研究段階で実用としては弱い。


 だがカーボンを柱にしたのは、グラスファイバーが発展してるので、これに続く素材としてカーボンファイバーを伸ばしていきたいからだ。ただ高分子の特徴として大体は複合元素が多い。その点カーボンだけはかなり特殊、何故か?と言うと有機化合物こそがカーボン高分子の代表だからだ。


 無機と有機の境目が難しいため、高純度のカーボン材料を敢えて無機として扱うんだ。その代表であるダイヤモンドを有機だと言う馬鹿は居ないだろうから。それゆえ高分子化合物にしてはカーボン素材は異色の物質なんだ。そもそもカーボン繊維は、有機高分子繊維を燃焼によって炭化する素材だ。そのため有機無機と言うのが馬鹿らしくなるところがある。


 後シリコンの発展性は、有機基を付ける事にある。その点土台は無機だが、枝葉は有機化合物なんだ…。ちょっぴりプラスチック混じってますって感じの部分がある。ただあくまで基としてフェノール基みたいな枝葉としてつけるだけなので無機高分子の発展としてみてよい。ただ用途が、やや熱に強い樹脂と言う感じの扱いが多いのはその辺りがあるだろう。


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