130
後々遺伝子操作に関わるものが多々あるため、あえて研究報告を待たずに伝えておく事になった。
私の何の指示もなしに逆転写をするウイルスが発見される。生物学にとってこれはとても重要。セントラルドグマは、DNAー>RNAー>アミノ酸って流れになる。要するに一方通行だ。逆転写はDNAへの書き込みを可能にする。多くの場合任意の塩基配列を持ったRNAをDNAに組み込み新たな形質を発現するというものだ。
医療、農業に劇的な進化をもたらす。ただ農業の方は遺伝子組み換え作物は慎重に対応している。食べるものなのでどんな問題があるか?分からないからだ。生物学と言えば有用な生物を作り出すのに技術的な操作というのは交配による選択程度だったと思う。そこが劇的に発展する。
科学の発展は戦前が大きい。だが戦後もイマイチなのか?と言うと、それまで地味だった分野が劇的に発展する。それが遺伝子工学と情報工学だ。もちろんすべての分野で発展してるが、キセキの19世紀と比べると物理の発展は地味だと思うし、それらと密接に関係する宇宙開発も戦後のものだが大きくは発展しなかった。
宇宙で重要なのは人工衛星だろう。これはものすごく大きい。やはり他のジャンルなら上記の2つが圧倒的だろう。有機化学の高分子化学もコンピューターの発展の寄与が大きい。あらゆる分野に影響を与えているし、遺伝子工学自体もコンピューターによる恩恵を受けている。
27歳になった。すべてにおいて順調に進んでるが、正直私が手を入れてない。ある程度うまく回るようになってきたので勝手に任せている。だが統制経済ってじわじわした改善には向かないが、模倣する社会がある場合は上手く行く。明治維新とかバブル後の中国の成長とか。だがナチスはこれに当たらない。
何故あれが上手く行ったのか?は謎だ。十分に成熟した社会では、大きな成功は見込めない。ニューディル政策がまさにそれだ。ただ不況対策にはなる。その後借金を抑えるためやめるとすぐにしぼんでしまう。この辺り難しい。ナチスはいろいろ問題もあった、まず戦争でうやむやになったが、アメリカが停止した国債による需要喚起を無理やりつづけた点。
これ本来なら財政破綻していた可能性がある。だがその辺り検証する前に敗戦という大きな出来事でうやむやになってる点。次に、実際はケインズより金本位の停止による信用拡大だった点。インフレで貨幣が増えた事ばかり言われるが、金本位による信用収縮の方が問題だった。ナチスの好景気の頃には恐慌後のハイパーインフレは終わっていたはずだ。
ケインズに意味がないのか?なら全くないわけじゃないと思うが、短期間ではあまり意味がないだろうと思われる。ただ長期間やれば財政に問題がのある国なら破綻する。現代日本がそうなら無いのは国内で国債を回していけるだけの体力はあるから。当時のナチスドイツと同列にはできない。
となると効果的な統制経済というのは、模倣側の低い国力の国家による高い国力の国家モデルの模倣だけになる。そうこれが私ならできる。まずはフォードモデルの確立にある。民間から起こったので民間の方が良いのでは?これは間違ってる。あれは分業をさらに効率化させる方法にある、それは統制経済でも十分に可能だ。
ただし、一定の水準まで引き上げた後は民間による競争原理の方が効率化できる。こういった統制経済を一切やらずに民間だけで世界一の工業国家を作り上げたアメリカはとんでもない国だと思う。あの国が恐慌に陥ったのは当たり前だ。あまりにもすぐれた生産力が逆に需要を追い越してしまったんだ。逆に言えば世界一の生産力を民間だけで作り上げたと言うことだ。
ただ、これらはすでに手を付けている。準備段階となる手工業による分業化や、繊維などの軽工業の機械化はすでに終わっている。後はこれを全国展開だが、需要がまだないので無理なんだ。ただ海外に一応進出している。周りが親日国家ばかりなので経済を壊すため安く売ってないんだ。極端に相手国の生産を壊さないように代わりに利ざやをたっぷり稼ぐようにしてるだけだ。
国内は安くして、自ら関税をかけてるようなものだ。全国に広げる工業力はすでにある。生産力で問題なのは重工業はまだってだけだ。そういえば車だけは急いで作っている。これは鉄道を補うためだ。線路の鉄を奪われたなくないので、私の領地と経済的に発展した地域にしか広げない。その代わり悪路で良いように悪路に強い車を主に生産している。
車高の高い所謂4輪駆動の車だ。この点は勝手に進むだろう。その点個人が買うのではなく、運送業として車産業は伸びる可能性が高い。ただこれもすでに手を入れてる。で、道路網となるが、私はこれはあまり賛成できない。鉄道をなるべく広げたいからだ。道路の方が広げやすい。あんなもの盗まれないからだ。
今やるなら道路が良い。そうだ私の経済圏だけ舗装された道路を創ろう。
大きなダムをつくる事にした。今まで小型のダムや水車を使って電力を供給してきたが、土木の底上げをするためもっと本格的なダムを作った方が良いと思う。治水にもつながるし、かつこれだと民間より統制経済の方が向いてる部分がある。一石何鳥にもなる。今までなんで無視してきたかというと小型のダムで足りていたから。
小型のダムってそれほど難しくない。護岸工事の延長でできる。だがそれじゃだめなんだ、難易度を敢えて高いものでやらないと、そして最も大きな問題である富に中々基礎研究は貢献できないって点、このため作れなかった大型実験装置を作る土木技術の土台になる。サイクロトロンって要はコンクリ設備じゃないけどね…。
後中国の黄巾党による支配がどんどん進んでいる。前から分かっていたが、洛陽を押さえたら後は時間の問題だろうなと思っていた。そもそも漢は崩壊寸前。そして農業の基礎が全く違う。寒冷化のこの時期に圧倒的な生産力を誇る農業を展開できる。これが何より強い。後基本的に国民国家なので、兵数が多い。
かつ武器は圧倒的な高性能。領地が広くなることで技術者を取り込むことで旧式の武器も豊富に生産できる。すでに中国の半分を支配した。それにまだ機能してないが漢の皇帝を抑えている。制度が違いすぎて権威として弱いのはあるが、いずれ生きてくると見ている。逆に言えばこれで統一出来なきゃ上が無能すぎる。