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天皇という制度は本当に優れている。世界で唯一無二の長大な歴史を誇るのは伊達じゃない。その点それを利用するに限る。それを曲げてまでやりたい事?と言うと他のジャンルを進めれば?となる。素粒子について知らなくても生物学ってものすごく進むからね。最低限電子雲さえ分かっていれば生化学につながる物理化学は進められるから。
素粒子と関わった生化学なんて聞いた事が無いのだが…。まあ私の無知であったとしても広大なジャンルに影響を及ばさないのは確か。
さてmRNAの発見で、私はノーベル賞とは無関係な部分を着目した。これは実はノーベル賞を取った研究ってその前のファージ感染を使った研究の延長にあるからだ。だからここさえ押さえておけば後は勝手に優秀な人間がいたら進むのだ。それぐらいブレイクスルーだったと思う。
だがノーベル賞を同時に与えるべきだったか?と言うとそうでもない。この重要性ってマニアックすぎる。ただ陽の目を見なかった研究に着目したってわけじゃない。科学者なら結構評価してるからだ。それだけじゃな。私はDNAとウイルスだけ先行して進めすぎた。そのメリットが出たと見たからだ。それでここ面白いなって見てた。
ただ生物学はやがて息詰まる。PCR法がコンピューターの高い集積率が可能にならないと発展しないからだ。あれは自動計測なのが価値がある。爆縮レンズ方式を人力で計算したり、真空管計算機とかやめれてくれとなる。あれの比じゃない…。ありとあらゆる効率化につながるのでコンピューターの発達は必須だ。
夜間の戦闘について、科学技術を使って有利に立てないか?を戦略研究室に計画を立ててもらって技術者と一緒に機械、兵器を作ってもらう。これについてすぐには思いつかないと思うので、まずは赤外線による暗視スコープの検討をしてもらう、熱の可視化となる。特に恒温動物には効果的だと思われる。主に人間だけど。
集団として戦闘に使える戦車を作ったが、決してフォードシステムによる大量生産ではなかった。いびつな進化をしてて、技術はきちんと進化してるが、中途半端な分業システムで、中世からは確かに脱してるし、衣類などは機械が独立してどんどん作ってしまう。分野によっては現代でも通じる量出来てる。
だが戦車は無い。当時のアメリカがすごすぎたんだ。だが最終的にはあれに日本は負けたわけで、資源もそうだが、そもそもの工業力が違った。技術水準も全く違うし。あらゆるところでアメリカは先進国だった。まああくまで軍事を中心に見ての話だが、戦後は何が大事か?となると、電子戦だと思う。
これはサイバーとかじゃない。ありとあらゆる兵器に電子機器が使われてそれにそった発展をする。まあこれもコンピューターもその1つでなんとか進ませようと進めている。ただその前にやはり世界でもかなり進んでいた戦後日本が真似をする大量生産システム。あれを実現しないといけない。戦車はその前段階の工業力でそれなりに作っただけだ。さすがにオンリーワンを作るような作り方ではない。
コドンの解読からmRNAの解読が出来た。これは全くDNAの解読の研究とは違う。こういう方法もあるのかと改めて感心した。史実のものは事実だけ知ってて方法は知らなかった。DNAがすでにできるんだからmRNAなんて簡単だろうと思い込んでいた。これ現代なら全く違う。だって面倒じゃないかと思うからだ。
RNAの解読はDNAの解読を構造の違うRNAに合わせて工夫して解読してるだけで、根本的に違うものじゃなかった。以前から言っていた人工細胞装置が完成してそれを使って人工RNAにタンパク質を作らせて出来たものからコドンをアミノ酸に対応させて解読した。なるほどこういうやり方もあるか。
ついでにtRNAの働きも解明された。セントラルドグマは仮説にすぎなかったがこれで証明された。しかし私はこれ知ってたから提唱したが、仮設だけでこれを組み立てたワトソンクリック達はとんでもないな。まあ私もすべてを開示してるわけじゃないから皆には超絶な天才だと思われてるのかな。期待が怖くて聞けないよ…。
ただ、王道と言うか、全塩基配列決定にはやはりこれまでの解読方法を発展したRNAの解読方法を生み出す必要がある。これに着手する。何故か?というとDNAの解読にはコンピューターによる自動化が不可欠なので短いtRNAやmRNAの解読から始めようとしたためだ。歴史的にもこうだったので、問題ないだろう。
「今日集まってもらったのは、コンピューターについてかな。ありとあらゆる分野に関わってくる。まず最初にちょっと重要じゃない話をする。電子部品で様々な電化製品を組み立てるって生物に似てない?」
「似てますね。だから生物系の科学者も呼んだのですか」
「いやそれだけじゃない。でも科学って視点ではかなり重要。私がどうも電化製品を作るのは科学っぽくないなって思ってるのは、これ既存の知識を組み合わせて生化学的な高分子を作るのに似てるなと思ったから。それと生物の謎を解いていくってちょっと違わない?」
「違いは分かりますね」
「技術は道具に直結する科学って応用科学だと思うんだよ。それに対して生物の謎や、電気や電子に関わる素材そのものの性質を探っていくって基礎科学だと思う。短絡的にすぐ役に立つものを求めると応用化学ばかりになってしまう。でも基礎科学無しに応用化学って発展性が無いよね?」
「そうなりますね」
「仮にだよ、いや仮じゃなくても、日本以外で日本と関わる事が無く他の国の知識レベルで科学が発展するってあると思う」
「難しいでしょうね」
「そうその最大の問題って実は基礎科学なんだよ。為政者権力者がすぐに役に立たないと知識階層に手を貸さないんだよ。それはもっと言えば、基礎科学を重視することは日本だけが突出して高度な知識を基にした技術発展を遂げる事が出来る。私は差をつけたいんだよね。単純な技術って模倣されて終わってしまう」
「でも基礎科学を土台にした高度な技術は多分簡単には真似できない。真似するなら基礎の知識の方を真似しないといけないんだよ。まあこの辺りはこの辺で終わっておく。本題は違うから」
「本題はね、コンピューターの発展と繋がる分野についてになる。まず軍事行ってみようか。科学者以外も来てもらってるから多分さこれ最後にすると戦略室の人たち眠くなってしまうかもしれないからね」
小さく笑いが起こる。
「軍事はね今停滞してる点は2つある。高度な武器の大量生産と大規模施設を必要とする武器ね。前者は戦闘機や戦車を大量に作りたい。これはね、今は必要ないよ。対人に使うだけならそれなりにまとまった10台以内でいい。さすがにそれは作れる体制はできたし、装甲車でかなり代用できる」
「大規模施設とも関係するけど、新兵器開発って自国の利益のため戦争が無いと無駄の極みなんだよね…。でもね車の有用性は農業や土木建築の専門家にも来てもらってるから分かると思うけど、車からちょっと発展するだけなら兼用できるから、この部分で費用として大量に作っても装甲車ならその他と兼用できるのでかなり作れる」
「後鋼鉄の塊の戦車よりはさすがに材料工程が少ないからね。将来的にね敵も日本の新兵器を真似して使ってくる危険性でじゃ数と質で押し切ればいいってなるんだよ。兵器のレベルが似てきたら兵士と同じで数がやはり戦争の決め手になる。後は大規模施設、これは宇宙開発ともつながってる」
「原爆とロケットを作りたいんだよね。一番の問題は、民から集めたお金で作るわけだが、途方もない金使うのに利が見えにくい…。軍事的にはね、今もうロケット弾出来てるから分かるけど、あれもっともっと飛距離伸ばせば大陸を超えて飛んでくる操縦者がいない爆撃機みたいな使い方出来る」
「ただ精度とか関わるとまたコンピューターが出てくるので、その次の世代のものとも関係してくる。ついでにさ宇宙から監視する衛星とかも構想としてはある。望遠って意味でそうとう高度なものが必要にはなるけどね、ただ大きな道?とか橋とかなら見えるんじゃないかな。これを打ち上げるために宇宙に出るロケット技術が必要になる」
「コンピューターはどうなんです?」
「そうだね、これらが満足いくもの出来たら軍事としては発展が無くなるんだよ。だからその次になる。例えば戦闘機などで敵の進行の予測とか計算である程度できる。こういうのを担っていく。ただ計算機があれば良いだけじゃない。コンピュータってのは計算機じゃないんだよね。様々なものの自動化だよね。究極的には頭脳と関わってくるね」
「まあ基本的なものとしてはデータ処理などは計算とは言えないでしょ?こういった基礎的な命令をいくつか作って当然計算もする。この自動化で生物が関わってくる。DNAの分析で大量の分析をコンピューターを絡めて自動化するんだよ。これが今将来に持ち越してる部分」
「コンピューターが出来れば様々な分野に関わってくるからね。ブラウン管から言える事は、XY座標で紙に書くような平面を作ることができる。これを疑似的な立体空間として扱うを製図ではやるよね?建築もそれで関わってくる。車のエンジンとかも設計図すべて関わってくる今回様々な専門家に集まってもらったのは分かるでしょ?」
「楽しみに待っててよ。頑張ってねコンピューターの開発部の人達」
「重圧ですね」
「まあトランジスタがあるから楽だと思うよ。全部真空管で作るとしたら頭痛くなるのは分かると思うから」