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蓄音機以外の録音に手を付ける。
「今回集まってもらったのは録音についてだ」
「蓄音機がありますよね?」
「何度も言ってるじゃないか。同じ目的で他の手段を取れるように探れと、そここそが科学なんだ。目的じゃない、手段過程方法こそが科学の肝なんだと。当然違う科学法則が働いてるからだ。技術的にもそれが別の未来ある道を開くことにつながるから。実際今回手を付けるのはその先駆けとなるだろう。すでに蓄音機で手に付けられた録音を別の方法で模索した結果大きな道が開けたと後々語られるだろう」
「今回電気技術者だけじゃなくて電気系の科学者も多く集まってもらってるのはこれぞ科学と言えるようなものだからだ。電話などを通じて音声を電気信号に変える方法をもう皆は知ってると思う。これこそが電気技術を大きく飛躍させるもとになるんだ。すでに徐々に進んでいるが映像もそうじゃないか?」
「そして映写機も完成したが、蓄音機と同じように電気的な方法じゃなくて連続写真として記録している。蓄音機も間には電気を通してるが、根本的には直接音波を記録してて映写機と保存の原理は似てると思う。電気信号になったものをそのまま保存したいんだ。ごめんそれはちょっと違うな電気をそのまま保存は無理だな」
「それこそコンピューターでメモリーと呼ばれるものでしょう」
「ああそうだな。じゃ映写機が特殊なのか。映像信号をじゃレコード盤するのか?」
「確かにそれは出来ない気がしますね」
「やろうと思ったらできるのだろうが、映像信号って白黒なら光の明るさだったかな?レコード盤じゃ保存量の問題が大きいな。電気信号を共通物として同じ記録媒体に保存できるはずだ。これが科学だと言ってるんだ。原理から逆に目的を考えていく。ちなみにこれで失敗することも多いから科学者は技術者に傲慢になってはいかんぞ」
「原理原則はさっぱり分からんが目的物できてしまったは多々ある。これを素直に賞賛すべきだ。だが、その後が大事だ。頑張ってこの原理原則を後からでも探るべきだ。ここで出来てるから良いじゃないか?で何も手を付けないと未来において科学知識が発達した文明に対して遅れた文明を生み出すもとになるぞ」
「私が技術者に厳しいのはここがある。私はなるべく技術者には科学知識を持ったものをあてるようにはしてるし、今の時代無理じゃない?」
「そうですね、徳丸様が発展させてしまった今の技術は科学知識の土台なしじゃ苦しいですね」
「ああ、現場で原理原則蒸で作り上げたとしても、その技術者全くの科学知識素人ってまず居ないよね?」
「そうなります。10年前なら違いますが、今はそういう技術者の人いないですね。古参の人も科学の授業受けてくれています」
「まあいきなりじゃ苦しいだろうし、これ力入れてる。なんといっても様々なものを電気で情報をやり取りするって大きな計画の1つだからね」
「有線電波ですか?」
「そう、送るじゃなくてこれは保存にあたる。大きな電気を使った情報網の1つの装置になるし、後コンピューターの内臓の1つともいえる大きな要素の1つになる。先ほどぽろっと言ってしまったが、電気をそのまま保存するわけじゃないが、電気に蓄音機よりは近いんだよ。何かわかる?」
「そういわれても」
「電気系ならこれでぴぴんと来ないといけない。これからは頑張ってくれ。磁気だ」
「ああなるほど電気と磁気ならほぼ同一に近い存在ですね」
「うん力として扱うには等価な関係にもあるし、かつ電磁波では常に付随するからね。馬鹿正直に磁石を使ってじゃなくて、粉にして粘着剤をつけたテープに張り付けてとかそんな感じかな。当然磁石など近づけたらぼろぼろになるけどね、保存には怖いが仕方ない。後さ、さらに別の保存方法を考えても良いから。例えば光」
「光ですか?」
「光を反射するもので穴をあけて、深度によって保存する情報を変えるんだ。単純になるように2進数に変換して01で保存するってんもありだね。これは磁気にも使えるよ。量子の考えを知ってるならこれ量子的情報の扱いだと思う。離散したデータを使うんだ。これをデジタルと言う、それに対して蓄音機などはアナログ」
「磁気も最初はアナログで波形を直接保存した方が簡単だと思う」
「何故ですか?」
「2進数の返還など演算処理するトランジスタなど回路が必要になるから小型の優秀なものができるまではやめておいた方が良い。段階的に発展するのは後大事だと話してる」
「後発技術を後進国に教えるんですね?」
「そそ、じゃみんな計画開始だ。頑張ってね」
短波による電離層を使った長距離通信の可能性を皆につ伝えた。これは発見を待ちにくい。そもそもこれ短波なんて使えんだろうって素人に解放されたら、素人が長距離通信を実現してしまった。その裏に電離層がありましたって話だ。そうだ電離層がどういうものか?考えてもらうか。
答えは分かってる。宇宙線だ。そういえば宇宙線って研究してるかな?これもついでに伝えておこう。後はそこが分かると確か霧箱が作られた目的になる。あれx線で霧状の水滴を電離化しようとしたはずだ。その副産物で出来た。