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「さて今回皆を呼んだのは、自動化ってやつだな。人間が今までやっていたことを機械にさせる。そういったものの基本回路。今回は温度制御。以前から作ろうと思ってたけど半導体ができるまで放置してた」
「徳丸様、それ発明の前に想定があったという事ですか?」
「まああった。詳しくは聞かないでね。いつものあれだ。回路は本当に基礎の基礎なので単純にパッと聞いて頭で追えるレベルのものだから。温度が電流に影響を与えるのはすでに知ってるよね?ただこれだけじゃ駄目。この特性が極端に大きいものを使う。まあこれは今回はすでに様々な合金や金属で抵抗と温度の関係を調べてもらって作ってもらった」
「他にも2つの金属両端の温度差によって電流が流れるのを利用したものとか。これ逆に電流を流すと簡易的な冷却装置に使える」
「熱くするのも可能ですか?」
「もちろん可能だが、それニクロム線とかの抵抗を利用したもの方が効率良いから…」
「ああ冷却にしか意味が無いからですか」
「さて、回路の続きだ。その前に設定温度があるな。温度をいくつにしたい?ってのがある。んでこれとの差を温度センサーで測る。んで差がどっちかに広がったら、冷却装置や暖房装置を電源をつけたり切ったりする。これで大体OK。ただし、最も単純な自動制御回路だからね。問題があったらもうちょっと工夫できるかもしれない」
「というのものね、これズレやすいんだよ。このずれをどう埋めていくか?が単純なものを複雑にしていく課題じゃないかな」
「確かに単純ですね」
「うん、でも人間が手でやるのを自動でやる。これが電子制御のツボなので、多分ね、今電子制御使わずに自動機械いろいろできてるでしょ?例えば紡績機械とかさ、あいうのももっと丁寧な制御すると多分電子化していくと私は見てる。確かに既存物を組み合わせて作ったもので、新しい発明ってのでは温度センサーの方が大事かと思う」
「でも私は、この電子回路による自動制御装置って大きな発明だと思ってるんだよ。いずれ今ある自動機械がどんどん電子制御になっていけば、今回の事の重要性が分かるよ」
もうちょっと先で良いか?と先送りにしてきたが耐震性の建築を研究させることにした。有名なのはサンシャインビルかと思う。あれ実際どう機能するか?分からないけど、小型の地震なら関東でも現代でちょくちょくある。これで設計通り揺れるそうだ。まあそれが答えと言うわけじゃないが、地震に対して様々な工夫が現代の建物はある。
土地に対して人が込み合ってないので無視してたが、なんというか高層建築?これを作れないってのは気に入らない。なんとなくだが、私は建築にやたらとお金を使うのが嫌いだ。だが、原爆開発の段階になっていよいよ国力そのものが問われると感じてきた。理論上はもう原爆は作れる。
だが実際は無理だ。そのための設備投資が莫大すぎるんだ。しかもだ、日本が戦争に負けそうで強く必要なわけじゃない。遠い未来日本が弱みとなるような爆弾を他国に先に作らせるわけにはいかないんだ。そういった軍事的なアドバンテージから中々他国の知識レベル、技術水準を上げにくい状況にある。
まあ原爆以外に、自国の国力を表すような建物は多少あっても良いのじゃないか?と思えてきた。だがその手の嫌ってる面もあるので、単純に豪華な建物はいらない。どの国も絶対に作れないような高さの建物なら多分日本にふさわしいと考えている。ただそのために大きな問題が、創る技術はある。労力も重機を使えればそれほどでもない。
だが地震が最大のネックになる。じゃ地震に強い高層建築をどうしていくか?を考えるべきじゃないか?と見てるんだ。そして堅牢さが重要になるならそれらは軍事施設や要塞にも応用が利くので副産物もある。すぐに取り掛かる事にした。
電気系の技術者、科学者全般を集めて、電子工作キットをつくってる。この手ので一番失敗しないのが有線通信だ。ようは室内向けなのでインターフォンだ。広い家じゃないとあまり使い道ないけど、うちの生徒ならこれ使えるんだよな。全国に広げてる初等教育の次の段階のなどの生徒などは苦しいと思う。
基本私が直轄で話す相手はというかその直轄で話した弟子たちが教える相手ってのが基本日本の氏族の連中だからだ。まあ家が広いからインターフォン使えるとかどうでも良いけどさ…。
「皆さん、これ皆さんの室内通話のためや教育のためじゃないよ、分かってる?」
「えじゃこれ何のためなんですか?」
「いずれ全国的に展開していく教育のため。ただしすぐは無理分かるでしょ?」
「これ高価すぎますよね…」
「うん、以前こういうの駄目って否定的に言ったけど、科学者にはイマイチだと言った、だが科学を学ぶものがすべて科学者になるわけじゃないでしょ?むしろ技術者の方が多くない?」
「はい、徳丸様の直轄の教えを受けた生徒より私たちが教えた生徒は技術者が多くなります」
「うんこれを使って技術者向け教育をしていきたいから。間違いなくこういうのにすぐ興味を占めるのは電気系の技術者に向いてるから。当然科学者も向いてるけどね。ただね、科学の授業ではパッとしなかった生徒がこの手の工作になったら興味津々になったら多分技術者向きだから。そういう子には科学者を無理に進めない方が良い」
「私はね、科学の根本は謎への探求心だと思ってる。そしてそれを別の言い方をすると未知への好奇心だと思ってる。役に立つものを作ろうとか、手を使って実体験を重視するとか何か違うんだよね。そして、この手の技術者って既存のモノを使って機能を実現したり、それを効率的にとか壊れにくいようにとか改良していく感じなんだよ」
「私が科学者に求めてるのは、もっと斬新で新しいものを作ってほしいんだよ。または根幹となる理論の構築だね。根っこは多分ね技術者も科学者も似てると思うよ。でもね未知に対する強い思いが科学者の方が向いてると私は感じてる。新しいことや誰もやった事が無いものをを常に強く求めない科学者に私は否定的」
「そんなにポンポンできますか?」
「ああ部品に関してはほんと出来ない。トランジスタって画期的発明だからね。あんなのがポンポンと出来ない。だけど、同じ半導体を使った発光ダイオードとかも重要な部品の1つだよ。今はまだ無理だけど緑、青い色とかそろってきたら電球や蛍光灯にとってかわるからね」
「全く新しい重要な部品ってそうは出来ないけど、明らかに用途が違う程度なら似たような原理のものでもできるよ。既存の改良が悪いんじゃない。用途の変化が小さすぎるってのがあかんのだよ。それを考えると新しい部品の発明ってそれなりに出来るよ。ただね、用途自体が大きな変化があるなら。既存の部品の組み合わせでも良いよ」
「生物学も分かる人いる?」
「はい」
「そういえば最近は専門を分ける傾向があるけど、ある程度は別ジャンルやる人もいるね。なんで?」
「研究が進まない時、新しい分野が刺激的だと移っても良いかな?とは思っています」
「へーそういうものか」
そういえば、シュレディンガーなど生物学やってたよな。
「生物って似たような部品の使いまわしすごく多い。だけど全く違う機能を持つ器官が大量にある。原子レベルで見た時に、4元素で大体やりくりしてるしね。割合的にはせいぜいこれにリンが食わるぐらいでしょ。別に新しい部品を創れって事じゃなくて、画期的で斬新な用途を持ったものをなるべく科学者ならやってほしいと思う」
「ただね、ちょっとした改良、改善、故障が少ない、効率的の機能を作っていく技術者も大事だからね。ただね、同じような機能でも斬新な理論なら科学者に期待したいな」
「何故ですか?」
「画期的な効率化ができる可能性があるからね。もちろんそうじゃないケースの方が多いとは思うよ」




