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意外なことに近畿勢が乗る気だった。寒冷化の前にやはり後発組なのだ。九州では先発組で僕たちは良い土地を取ったのに、それで去った後発組や九州でいまいちの土地にいた集団が近畿に行ったんだ。だからって嫌がらせされてるわけじゃないが、楽に広げられる土地が無い。僕が過剰な武力を渡してないのが大きい。
もちろん後発なのは理解してるから鉄器はできる限り豊富に渡してるが、争って奪っていくってほど密度の高い場所じゃない。なんとも中途半端な形で居座ったのがある。まあ親族は分かってるが、この目的は大王家にあるんだ。今は苦しいが、大王家がやがて近畿を支配するから九州はその恩恵から遠くなるので、早くから中央に取り入るべきだと近畿の親族には言ってるが、納得はしてくれてるが、だからってわれら集団の最上位の決定に忠誠を誓うようなものは全くない。
成果が出てはいるけど、だからって土地が広がっていくわけじゃないってのがね。大王家とのつながりは圧倒的に近畿組が深い。僕の狙い通りだ。だが、だからってそれを利用して土地を広げていくようなものじゃない。この先広げていくのに未開の地ってのは近畿の意味が大きく出る。北海道組も協力してくれるし。
でも理解はできても本当に不思議。多分あれだろうな。これが特別良い土地で、もう100年ぐらいたってたら全然違ったんだろうな。親族以外この土地で暮らしていく価値が分かってないのと、親族も関係が深くなってるだけでいまいち分かってない。僕はそれが大きな価値に後でなると見てるんだ。
藤原なんて物部に比べたら雑魚だった。今もいるけど、この2族はそういう関係だろう。なのにああなったんだ。答えは大王の近くにいたからなんだ。じゃないとクーデターなんて誘いもしないからな。何かあったときすぐ頼られるようにしておくべきなんだ。南はぼちぼちだ。そもそも力入れてない。フィリピンを目指すのはかなり大変なんだ。でもアウトトリガーカヌーと航海術ってフィリピンで得たんだよな。
台湾からフィリピンにはそんな高度な航海術じゃない。オーストラリアやニュージランドから太平洋に拡散しろっていったらそりゃ大変だからな。だからとりあえず沖縄台湾と広がってきて、フィリンピンは1つの関門ではある。ただ間に小さな島があるから。台湾にいったら目指してほしくなるな。漁業って観点なら良いかもしれない。都合の良い島を拠点に出来ればすごく便利だから。それもこれも調べてみないと分からないか。
後南米まではいかないと思うけど、いずれ行くならと思って南米産のいろいろ頼んでおいた。トウモロコシは北米もあるよな。コメについて全く考えてなかったけど。陸稲なら多分いける。ただ収量は悪化する。どうしても米に拘るならこれである程度はなんとかなる。ただコメのメリットの輪作障害の無さからくる収量の多さがいかせないのはな、
後現在有名なアーカンソー州ならある程度可能。難しいのは最低河から水を引き入れないといけないけど、どれぐらいがある。ミシシッピ川沿い以外は無理だな。それでも広いからなんとかなる。一番の問題は遠いな…。米作りを目指してたどり着くべきか。後ちょっと雨量が少ない。
陸稲でごまかして、やがてここにたどり着くってのが理想かな…。アメリカルートは念のためカルフォルニア金山教えておいた。無理やりこれで暮らしていければと…。川の砂金でとれるので、農業をやるならそのうち見つかるだろう。佐渡島は抑えたのに?やぱりこれも寒冷化…。
正直寒冷化とそれにともなう倭国大乱さえ乗り切れば、科学知識の蓄積と技術発展で多分普通になんとかなる。後大王家とのからみだな。強くなりすぎるとまずい。初期の大王家まじ強い。つかー動員する兵の数が多い。だから倒すにはこっちも数が必要になる。しかも倒したくないんだよな…。藤原とかすげー美味しいもんな…。
藤原って衰退したように見えるけど、それは公家藤原だけで、武家藤原はきちんとあっちこっち武家勢力として生き残ってるんだよな。
んがー、敢えて難易度の高い太平洋陸地から離れたインド洋を省いていたので気が付くのが遅れたが、時計の問題が大きくのしかかってきた。さらに磁場のずれも問題になってきた。これまで経験則による天体や様々なものから職人技の航海術を磨いてきたが、後の時代で精密な時計を創ればいいやと放置してきた。それがどうも簡単じゃない。
水時計の発達で機械時計もちょっと発展する。中国だけだけど。これ結局機械時計を最初から作れよって回り道になる。つぼになる部分があって、そこさえあれば機械時計ってそんなに難しくない。時計って正確さの追及が発展の歴史になってて、まさにそれが欲しいんだ。経度の測定がままならん。
時計、天文、それを支える望遠鏡。などなど絡めて、科学的天文学の有用性を船乗りたちに知らしめるはずが…。まあこれが一番簡単かと思ったが先に農業や医療だろうな…。ただあれ科学っぽくないんだよな。近代に入って、馬鹿にされること多くなったけど、それは経験したからこそ出てきたもので、要素還元主義ってそれまでの単純な観察とは一線を画するんだ。
何度も皆に言ってるが、科学の肝は確認を怠らない疑いの目と実証なんだ。実は科学って太古からあるんだ。じゃ何故近代にこうも爆発したのか?なら、まあ宗教が大きい。大半の地域でこれらが宗教で叩き潰されたのに対して、キリスト教はグノーシスのせいだろうな。隠れグノーシスたちが神の世界を推し進めたからな。
もちろん正統派のキリスト教も一部推し進めた。一部なのはガリレオを見ろだ。
ただ、これはブレーキであって、推進力は要素還元主義なんだ。そこから演繹的に導かれるデカルトの機械的世界認識になる。ニュートンも全く同じだから。アクセルが本質じゃないってのは、近代修正されてるからね。それでも科学だ。農業の根幹たる生物学が、この強力なツールにのるのはDNAの発見からなんだ。
量子力学に失望したシュレディンガーが生物学に行ったのは当然だと思う。そこには近代初期欧州が体験したロマンあふれる科学があるんだから。
奥の手を使った。歯車がいっぱい時計にあるイメージがあると思う。ただ色が違うのがちらほらある。それが荒い歯車とそれにつながる鹿威しみたいなのがある。あれが重要なんだ。時計作ってる人たちに教えた。後は振り子時計を教えた。後はゼンマイ。ただゼンマイはかなり問題。まあでかい物なら作りやすいかな?
ゼンマイは後回しで良い。大きな時計の重しの重力を使えばいらない。とりあえずは木で作って、後で鉄でなんとかしていくしか。重し式なら絶対金属が必要なゼンマイいらないし。金属加工が大変なのわかるが、ほぼ僕が作ってるじゃん。これじゃダメなんだよ。だから科学なんだ。まあ大洋航海はずっと後回しになってて、寒冷化でも必要が無いから無視してるけどさ。先にキャラベルが出来そう…。