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 発光ダイオードが出来たということは太陽電池が可能になる。発光ダイオードは電気を光に変える装置であり、これと似た装置で光を電気に変えることができる。出来た装置を使って起電力が生まれるか?の実験をする。見事に電気が発生した。当然まだしょぼいものだ。まだこれからシリコン型のダイオードの研究や、他にもどんどん変換効率アップとコストダウンを図っていかないといけない。


 だが世界初の太陽光発電が今発明された。本当はもっと早くできるのだが、トランジスタの発明まで待った。史実の世界初の太陽光発電は変換効率が悪すぎるのと、これから発展していくタイプがシリコン型なのでついでにそれに近いものまで待とうかと。ただこれ現代もどんどん発展してるのでシリコンが最終系だとは思わない。


 その辺りは元からある光電効果調査チームに統括させて研究させることにした。これでこれまでやった研究も無駄にならない。そもそも間になるカメラの露出計の発明がされてない。多分それならここまま進めていけば出来たんじゃないかなと思う…。ただまあトランジスタや発光ダイオードが先に出来てしまったので。


 ロケットランチャーを発展させて、長距離向けミサイルの開発に乗り出した。これに武器だけじゃなくて様々な分野の科学チームも加える。将来的に宇宙ロケットの開発に向かう。まずはナチスのVミサイルのような武器からになる。アメリカもナチスのロケット技術から宇宙ロケットを開発したのでこの流れで良いだろう。


 ただ1つだけ、宇宙に行くには、多段式ロケットがまずは手っ取り早いのを伝えておいた。スペースシャトルでもあれは切り離しように推進補助ロケットを付けている。この概念は宇宙開発の初期には絶対に必要だろう。まあもちろんまずは長距離用ミサイルの完成が先だが。これ制御をどうするんだろうな。その辺りトランジスタなど生きてくるだろうな。


 そういえば無線が小型化出来たので、空を飛ぶためにラジコンを作ってみてもいいかもしれないな。ドローンは遠隔操作で映像機器が必要だと思う。そのため見える範囲のラジコンからスタートしよう。まずは飛行機じゃなくて、モーターカーからスタートするか。


 計算機が完成したので、チューリングマシンやノイマン型コンピューターの概念だけを教える講義を行う。ただここから実際にコンピューターができるのか?は分からない。計算機とコンピューターじゃ大きく違うからな。CPUなどの命令とメモリの回路が必要なのかな。メモリはFF回路が完成してるので後はそれらを小型化するだけだと思う。


 集積回路の概念だけ伝えておいた。これはコンピューターよりましかな?エニアックってコンピューターと言うより計算機だからな。真空管のせいでクソでかくなってしまっただけで。基盤はすでに作成を試行錯誤している。それらとコンデンサなどの機械を組み合わせたものをもっと平面的な小さな回路に合うようにセットしていく。


 いずれはもっと小さくするために写真のように電子部品と回路をセットにした回路図をプリントしていくんだろうな。ただまずは超精密なんてものじゃなくて良いと思う。基盤に直接平面的にくっつけるダイオードやトランジスタなどを作っていく形で良いかと。回路を微細にしていくプリントはその後だよな。


「今回は量子の神髄と言う実験を行う。以前行った2重スリットを使った実験と似てるが、とても重要な実験であるため、こちらを2重スリットの実験を読んだ方が良い。以前のは光の2重スリットの実験とでも言えばいい。あれの目的は光の波の性質を強く示す実験であり、今回の元のとは主旨が異なる」


 以前と違うのは今回は光ではなく電子を使う。以前のものはコヒーレントな光に整えるため1重スリットを通して2重スリットの干渉を調べたが、今回は電子の粒子なので必要が無い。この実験を待ったのは、都合よくだがブラウン管の作成をしたので、それに伴い電子銃を作ってみた。


 んまー電子を放つというので別に曲げる必要が無いので陰極線からの発達なのだが、電子の扱いについて巧みになりビームではなく粒子として打ち出すことに成功したからだ。


「まあ電子の粒子をたたき出すわけで、波と全く違う模様が想像できると思う。それと比較しようということだ」


 敢えて結果は知ってるが、うそを言う。退屈しないように雑談しながらぼんやりと見ていく。最初は点がぼんやりと広がて行くだけだったが、やがて模様が描かれる。十分な時間が経過すると、それは明らかに干渉縞を示していた。


「え、徳丸様これなんですか?」


「君たちは原子程度の大きさなもの集まったような例えば電子が照射されたビームのようなものが干渉縞を作ると見てないかな?」


 そう違って、すぐに陰極線のような連続した電子線を同様に実験して見えた。ざわめきが起こる。


「分かったかい?粒子の集まった線が波になってるわけじゃないんだよ。電子小さな粒1つがそういった性質を持つんだよ。光の波と粒の2重性とは、光が持つそのものの性質で光の場合粒と言っても分かりにくいが、電子は水素においては、間違いなく1つの粒だと君たちが分かってるだろう?」

「その1つが波と粒の2重性を持ってるんだよ。もっと言えば粒だと偏った事を言えないんだ」


「ああだから電子の軌道について波動関数を使うのか」


「その通り」


 さらに進める。スリットのどっちを通ったのか?観測機器で測定してみる。そうすると干渉縞が消えてしまった。


「はい??」


「ふふー、これこそが以前話した確率波の収束だよ」


「測定した瞬間に粒子として確定するって奴ですか?」


「そそ、ただねこれとても重要な実験なので後々アホな解釈が出ないようしないとね。良い言葉として月は見てないと存在しないのか?なんてのがある。こういうの勘違いだから。2つの勘違いがあるが、量子力学はやがて頓珍漢な思想家に勘違いされるから。って言っても日本の情報が世界に広がればそうはならないと思うけどね」

「2つの勘違いは、これはごく小さなものにしか発生しない。次にこれ人間が見るとかどうでも良いから。分かる?」


 しばらくまつ。難しいからね。でもこれ気が付く人は気が付くんだよな。


「あ、観測機器と何かしらの光や電子などが相互作用するからですね?」


「もっと言うと、量子力学的じゃない装置かな…。まあこれは何とも言えない、純粋な量子力学による観測装置なんて意味わからないしね。ただ通常の電子機器って大半が量子力学以前の理論で理解できるものだと思うから。まあこれは難しい。トランジスタも一部量子力学じゃないと説明できないけど。だからと言ってすべてか?と言うと違うからね」

「装置と光や電子との相互作用で、最終的に人間が見るとか知るとかどうでも良いから…」


 ついでに簡単な式を見せて不確定性原理も話しておく。ただこれもっと厳密な式があるがそれは省いた。君らがやれっという課題だ。私も限界がある…。あれ突っ込んだ式、難解すぎるんだよ。


「後これ見ればわかるが、先ほどの極小を数学的に示したものだよ。基準はこの式の通りプランク定数だよ」


 後はこれらが示す意味について運動量と位置を使って片方しか測定できない話で締めておいた。


 染色したDNAの電気泳動を見せていた。


「これなんですか?」


「核酸はね電気的性質を帯びるんだよ。それを利用して分子量によって核酸を分ける方法になる。培地をもっと適したものにするとより分離がしやすくなるから。そこは工夫して」


「それが何になりますか?」


「うん、そこがね…。今はあんまりね。ただね、核酸が生物の設計図の暗号であるのは分かったよね。将来その暗号の解読が用意になったとき、混合した溶液で同じ分子量のだけ調べた方が楽じゃない?」


「ああ相変わらず徳丸様ですね」


「どういう意味?」


「常に良く分からない未来の事を語る事が多々あります。しかもそれを想定して前準備をいつもしてますからね」


「ああなるほど、必要になってからこれやれば良いよね?何故やったか?と言うとこれ核酸の暗号解読より簡単だから…。確かに今必要じゃないね、ただこれ無茶苦茶使えるから。そのなんていうのかな科学技術って時代を経ると全く使わなくなる技術も多いんだよ。効率が良くなるからね。これかなり後の時代でも多分ずっと使えるから」


 うーん、また皆神妙な顔つきに…。ちと早すぎたかな。これよくあるんだよな。時系列に教えてない。何故ならこの技術ってもっと前に出来ない?って技術ってかなりある。必要にならなかったとか、思いつかなかったか?とかね。技術的に難易度が低かったり、知識的に積み重ねがそういらないとか逆オーパーツな事ってたまにあるんだよね。


 後これタンパク質の分離にも使えるから別にそれほど突飛な分析技術じゃない。ついでにそれも教えておくか…。


 放射性同位体のトレーサーについて話しておいた。なんだか最近は前段階ばかりやってる。実際電気泳動は前段階じゃない。この技術水準だとうまく活用できないだけだ。まあそれでも生物学で重要になるこの2つを伝えておく。


 慣れてきたころにギルバード法によるDNA解読を教える事になった。手順を見せていく。


「何か質問はあるかい?」


「これ長大なものじゃダメですよね?」


「そうだね。どうやってか短い単位に切断してとなる。または核酸の連鎖が短い生物に限られる」


「後電気泳動の意味は分かります。ですが、それがなんだ?となります」


「まるで説明してないからね…。実験の流れだけ見せた。これはねAGCTで切れる試薬を使って行うんだよ。それで理論上ってもので考えていく」


「それ危険じゃないですか?」


「まあ2つの意味で危険。大量の核酸の端を放射性元素に置換するし、かつ人間は核酸の塊だからね。だからねこれいずれ改良してほしい。多分できるが、多分今の技術じゃダメ。前段階として足りないものが多すぎるんだよ。実験の道具として放射性同位体の扱いや電気泳動とか必要だったけど、そうじゃない必要な発見がされてない」

「じゃ何故教えたのか?というと、人間を作る設計図を調査できる事に衝撃を受けてほしいからだ。価値観が変わるだろうね。すでに信心深い人は消えてんじゃないかな?とは思うけど、実際これらの仕組みを解明してより神の存在を感じてしまう人もいるんだよね。私は馬鹿なのでそうならないけどね」


「徳丸様が?」


「私は知ってるだけで、発見したわけじゃない。いくつか君ら独自で発見してるけど、もうその点では知性の上では私を超えてるよ。知ってることはあまり突っ込まないでね。何度も言うけど、これあまり真剣にやらないでね、危険なので一日に制限をかけてやるとかして。新しい方法いずれ見つけて」

「さて最後にDNA=核酸については話したよね。RNAってのも対応して話したと思う。そしてすでに発見したと思う。これらが最後にアミノ酸が合成されてタンパク質になっていく。って酷いね、これまだRNAからアミノ酸合成発見されてないね。大雑把なデザインとして覚えておいてよ」

「ただね、遺伝の方法はこれだけじゃない」


「ええ?」


「変に固定観念を作ると発見を遅らせるので、もう話しておくとDNAって暗号物質以外にも構成要素があってそれが遺伝をつかさどってる。ただねこれ例外的だから。遠い将来発見してよ。遺伝の流れはとても重要だけど、絶対に強固なこれだけって、とにかく先入観を持ってはダメだよ。ほぼ例外だから無視しても良いけど、無視できない事例が多分将来出てくるから」


「最後に良いですか?」


「良いよ」


「電気泳動徳丸様が言うには間接的だとの話ですが、これ理論上は解読そのものですよね?」


「ああうーん、御免、さらに発展した方法ではそうなるだろうからって話してしまった…」


 なんとも神妙な顔で講義は終わった。サンガー法では間接的なんだよな…。サンガー法の解読の要はDNAポリメラーゼなので、その発見が出来てない今はやめたんだ。現代だとこっちが主流なのでギルバード法なんて過去の遺物なんだよな。ノーベル賞同時にもらってるが、その辺りノーベル賞っていろいろ考えてあるよな。


 発想自体はとても似てるんだけど、サンガー法の方がより塩基配列の1つ1つの扱いがち密なんだよな。ギルバード法って大雑把にATGCで切るって感じだもんな。


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