努力は裏切らない
「ごめんなさいラカン…私、」
「良いんだ、イザベラ…君が決めたことだ。勇者様を支えてあげてくれ」
「あなたと離れるのは辛いけど、私頑張るから、だから…戻ってきたら結婚しようね」
「うん、約束だ」
「手紙書くから」
「…待ってる」
「じゃ、行くね」
「うん。勇者様、イザベラを頼みます」
「………ああ」
そう約束して、生まれた時からずっと一緒だった恋人のイザベラを送り出した。
辛かった。
本当に辛かったけど、彼女が決めた事だから応援した。
会えない日々は辛かった。
でも約束があったから耐えられた。
それでも、心にぽっかりとあいた穴は塞ぐ事が出来なかった。
俺は何日も無力感から引きこもった。
何日も何日も、
だけど、ある日、一つの考えに思い至った。
強ければ彼女についていけたんでは…と。
俺は決意した。
自分を磨こうと。
イザベラは聖女として覚醒し、魔王討伐の旅に出た。
でも、同行しちゃいけないなんて決まりはなかったんだ。
今の俺はゴブリンにすら勝てない弱虫だ。
『優しいだけでいいんだよ』ってイザベラは言ってくれたけど、強くなる努力をしてなかったから、見送る事しかできなかったんだ。
だから俺は強くなる決意をした。
「よろしくお願いします」
「おお、君が入団希望の子だな」
俺は少しでもイザベラに近づきたくて王国騎士団の下部組織、ベアウルフ傭兵団に加入した。
訓練はとてもきつかったけど、イザベラに相応しい男で居たくて、必死に訓練に食らい付いて行った。
その甲斐あって、一年で小隊の隊長を任されるようになり、三年で大隊の隊長を任されるまでになった。
嬉しかった、着実に強くなってることが分かったから。
仲間たちも、とても気のいい奴らで、後輩の女性隊員も、からかいながらも俺の恋を応援してくれた。
だから、魔族との境界防衛線で、イザベラ、君を見た時懐かしさと嬉しさが込み上げて、気持ちが爆発しそうになった。
駆け出す俺。でも彼女の傍には勇者がいた。
それを見て立ち止まってしまった。
___勇者と親しそうにしてる君。
怖くなった。
イザベラ、君を取られちゃうんじゃないかって。
その日は泣いた。
部下の女性隊員に慰められながら、みっともなく男泣きをしたのを覚えているよ。
でも次の日には分かったんだ。
取られちゃうって思うのは、君を信じ切れてないのは、自分の努力が足りないからだって。
自分に自信が無いからだって分かった。
だからより一層、訓練と任務に精を出した。
その甲斐あって、騎士団に抜擢されることが決まった。
僕たちの傭兵大隊、フェンリス傭兵団が。
抜擢してくれたのは、何度か共闘したことのある騎士団長ジャンヌ・リベイオス様だ。
気高く容姿端麗で、民衆から熱狂的な支持を集める団長様だ。
俺も憧れたよ。だから頑張った。
彼女のように輝くために。聖女であるイザベラ、君にも相応しくなる為に。
その甲斐あって副団長まで昇りつめたよ。
この頃からだったな…イザベラ、君からの手紙が届かなくなっていったのは。
俺は焦ったよ。
魔王の側近、四天王とやり合うって聞いたから。
だから、ジャンヌ団長に頭を下げたんだ。イザベラの援護に向かわせてほしいって。
団長は良い顔をしなかった。『副団長であるラカンが居なくなるのは困るな…』って言って。
でも、何度も必死に頼んだら、しぶしぶ了承してくれたんだ。
だから、来たんだよ。
最前線に。
なのに、なんで…。
「ねぇ~、もっとぉ、勇者様ぁ~」
なんで、俺を裏切ったんだよ…イザベラ。
俺は今まで頑張ってきた事がすべて無駄になったことが分かった。
そこには一糸纏わぬ姿で勇者と肌を重ねる、イザベラの姿があったからだ。
「ラカン隊長……」
「なんでだよ…イザベラ…」
「………っ、た、隊長、戻りましょう? ここにいても辛いだけです」
「そう、だな…」
俺は同行してくれた部下のマリアンヌに連れられて、宿屋に戻った。
そこからはほとんど覚えていない。
気付いたら、王都まで戻ってきてしまっていた。
酷く心配した表情のジャンヌ団長と部下のマリアンヌがずっと付き添ってくれたこと以外は。
それから数日は立ち直れなかった。
でも、近くの村が魔族に襲われてると聞いて、体が勝手に動いていた。
落ち込んだからって、人々を守らない道理はない。
魔族を倒し、魔物の群れを駆逐しする。
戦ってるときは、イザベラの事は忘れられた。
だから、殲滅する勢いで、魔物たちを駆逐していった。
来る日も、来る日も。
気付けば、勲章を授与され、爵位を与えられていた。
こんな勲章今更貰っても仕方ないのに。
戦の無い日は、屋敷に引きこもった。
何日も屋敷から出ない事もあった。
時間を作ってはジャンヌ団長とマリアンヌが訪れる。
ほっといて欲しいと毎回、突き放していた。
「いつまでも女々しいですよ隊長!! もう忘れて下さい、あんな浮気女!!」
「そうだぞラカン。女なんてこの世界にはごまんと居るんだ。固執する必要はないだろう?」
その言葉が合図だった。
彼女たちと本気で喧嘩したのは。
何が分かる!! と喰ってかかった。
ずっと一緒に育ってきた。彼女は特別だったんだ!! そう伝えた。
でも、その言葉を聞いた二人が、傷ついた表情で泣き出し、その場から走り去った事を切っ掛けに、頭が冷えた。
俺は何をやってるんだと。
二人とも俺を慰めようとしてくれてたのに。
だから、その夜、謝罪した。
お詫びの品を持参して。
ジャンヌ団長には、ずっと欲しがっていた『戦乙女の指輪』を。
マリアンヌにも、ずっと欲しがっていた『疾風の指輪』を。
それぞれ渡すと、少し怒りながらも許してくれた。
その後、巡回で訪れた村の人達から、感謝の言葉を頂いた。『いつも守ってくれてありがとう』『これ、感謝の気持ちです』といった風に。
村の小さい女の子から『ありがとう。えいゆーしゃん!』言って貰った時は、思わず涙が溢れた。
俺が今まで積み上げてきた事は、間違ってなかったんだって分かったから。
俺はもう吹っ切れていた。
救われたんだ。ジャンヌ団長とマリアンヌ。村の人達、そして村の小さな女の子に。
そこからは、村の人達と少しでも交流を深める為、巡回がてら村の仕事の手伝いに注力した。
交流を深める度、守る力を得て本当に良かったと実感する。努力してきてよかったと。
___それから数か月。
ついに魔王が倒されたらしい。
その頃には、イザベラに対しての気持ちにも整理がついていた。
イザベラが勇者を選んだのなら、祝福をしようって。
俺は勇者凱旋のあと、イザベラから婚約破棄を言い渡されるだろう。
王都でも勇者と聖女は恋仲であるとうわさが広まっているくらいだ。
でも俺はもう大丈夫。
ジャンヌ団長もマリアンヌも『盛大にフラれてきなさい。落ち込んだら私たちで慰めてあげるから』『朝まで一緒に飲み明かしましょう隊長!』と言ってくれた。
俺は良い仲間を持ったなと心から思った。
「勇者様ご一行が王都に帰還したぞー!!」
その声に王都全体が活気に包まれた。
お祭り騒ぎである。
国の英雄が帰ってきたのだ。当然だろう。
「やあやあ、みんな国の英雄が帰ってきたよ」
そういって民衆に手を振る、勇者。
後に続く勇者一行。
その中に成長したイザベラもいた。
彼女は勇者に腰を抱かれ、幸せそうに寄り添っていた。
恋仲であることは十分に分かる。
うん、大丈夫だ。彼女が幸せなら祝福できる。
俺は、眺めていた王城の窓から視線を外し、勇者たちを謁見の間にて迎え入れる為。ジャンヌ団長と共に、陛下の待つ謁見の間へと移動した。
道中、ポンポン、とジャンヌ団長が俺の背中に優しく触れてくれた。
謁見の間に到着し、陛下と王妃様に忠義の礼をした後、他の貴族と同様に下座にて並び立つ。
しばらくすると、勇者一行が謁見の間へ到着したとの報が陛下のお耳に届いた。
陛下が軽く頷くと、大扉に控える城の兵が、大扉を開いた。
___勇者一行が謁見の間へと歩いてくる。
俺とジャンヌ団長は歩いてくる勇者一行を、他の貴族たちと一緒に見つめていた。
勇者一行が陛下の待つ上座前まで、たどり着いた。
剣士の女性と魔術師の男性が、忠義の礼をするため、床に膝をつく。
だが、勇者とイザベラはその場に立ったままだった。
隣に並ぶ貴族達から、どよめきの様なものが上がった。
すると、まだ、発言を許されてもいないのに関わらず、勇者が上座にいる陛下に挨拶をした。
「うっす。王様! たっだいま戻りましたぁ!」
その発言で、場が凍り付く。
ちょうど片膝を立て、忠義の礼をしようとしていた他の勇者パーティ、剣士の女性と魔術師の男性が、信じられない表情で勇者を凝視していた。
だが、すぐに無礼に当たると分かり、陛下に忠義の礼を示す。
二人の額には大量の汗が流れていた。
陛下が眼光鋭く勇者を睥睨している。
今の行為は侮辱にも値する。
いくら魔王を倒した勇者とて、一介の兵士に過ぎないのだ。
どんなことがあろうと、この国のトップは陛下である。
ならば、敬意を払うのは当然の事なのだが、勇者は事もあろうに言葉を続けた。
「褒美はエリシア姫で良いっすよ? あーあと、でかい屋敷をよろしく~」
「陛下に対して無礼であろうが!! この平民風情が!!」
堪忍袋の緒が切れたのか、一人の貴族が勇者を叱責する。
当たり前である。剣を抜かなかったのを誉めても良いぐらいだ。
だが、勇者は、今ので気分を害したのか、剣を抜き貴族に切りかかろうとした。
俺は瞬時にその貴族を守るように抜剣し、勇者の剣を防いだ。
「あんた、マジかおい」
「あ? なんだてめえ……いや、こいつ何処かで」
勇者は俺の顔を見て眉間に皺を寄せる。俺の顔に覚えがあるのだろう。
俺は正直驚いた。俺は勇者の顔なんて覚えていなかったからだ。
勇者と会ったのは村での一回だけ。覚えている方が無理であろう。
だが、今はそんなことはどうでもいい。
陛下の御前なのだ。
「直ぐに剣を納めろ。陛下の御前だぞ」
「ああ? 俺に指図すんじゃ___ねえ!!」
「___っく!!」
勇者が剣に魔力を籠め、そのまま切り伏せようとしてきたので、ジャンヌ団長直伝の斬り払いと足蹴りで、無理やり陛下の眼前へと押し戻した。
勇者が吹っ飛び、勇者パーティーの面々の目の前で転がる。
「なっ!? て、てめえ___」
勇者は押し戻された事に驚き、次いで貴族たちの前で恥をかかされたと思ったのか、俺を睨みつけてきた。
俺はそんな勇者を見て、呆れから軽くため息をつく…この勇者は何も分かっていないと。
国王陛下と王妃殿下の前なんだぞ? 処刑されたいのかこいつは?
俺はこれ以上事が大きくならないように、陛下に進言した。
「陛下、発言宜しいでしょうか」
「うむ、許す」
「勇者殿は乱心のご様子、制圧しても構いませんでしょうか?」
「うむ、その方がよかろう。城の兵たちでは勇者の力には対抗できぬ。『竜殺しの英雄』の力、余の前で存分に発揮するが良い。ラカン副団長殿」
「___御意」
陛下からの許しも得たので、俺は自分の体に魔力を迸らせる。
そして勇者に近づいて行った。
「は___ッ、俺と殺ろうってか? 良いぜ、魔王を倒したちか___ッガ!?」
「………」
勝負は一瞬で終わった。
貴族たちは一瞬の出来事に呆気に取られている。
俺の姿が消えたと思ったら、次の瞬間には勇者に圧し掛かって動きを封じていたのだから当然だろう。
とりあえず制圧は完了した。
勇者は気絶しているので、後は城の兵たちに任せても大丈夫だろう。
「兵たちよ、勇者を捕縛し、牢へ入れておけ。ラカン副団長、そちも列に戻るが良い」
「___ハッ」
陛下の指示に従い、貴族の列へと戻る。
そして、陛下はもう一人の無礼者へ向けて圧のある視線を向けた。
イザベラである。
彼女は陛下の視線に気づかず、呆気に取れた表情で連行されていく勇者へ視線を送っている。
それを見た勇者パーティーの女剣士が、イザベラに対して叱責を行った。
「ちょっとイザベラ、頭を下げな!!」
「___キャッ!?」
女剣士が腕を伸ばし、無理やりイザベラを平伏させる。
そして、陛下に謝罪の言葉を述べた。
「私たちのパーティーメンバーが大変なご無礼を、申し訳ありませんでした陛下」
「………良い、その方に罪はなかろう。だが、その者については『聖女』の称号は剝奪するものとする」
「え、な、なんで!?」
「ば、馬鹿! 口答えするな!!」
「___ぎゃ!?」
「ハァ、これ以上は時間の無駄の様だな。剣士サラ、及び魔術師テオ」
「「___ハッ」」
「その方には魔王討伐の報酬として銀翼勲章及び、名誉男爵の爵位を与え、金貨300枚を与える。これからもこの国の為に尽くせ」
「「___ハッ、ご拝命、受け賜りました。より一層尽力いたします!!」」
「下がってよい」
「「___ハッ」」
陛下の言葉に剣士サラと魔術師テオは謁見の間を後にする。
残されたイザベラはようやく自分の行動が不味かったことに気付いたのか、伏して震えていた。
それを見た俺はなんだか悲しくなってしまった。
少し同情してしまったのだ。
「さて、癒し手イザベラよ。魔王討伐の功績を称え、謁見の間での無礼は水に流そう…だが、『聖女剥奪』は撤回せん。何故だかわかるか?」
「ゆ、勇者様が…陛下の、お怒りに…触れたからで、しょうか…?」
「違う」
「え、で、では、何故…?」
「分からぬか」
「は、はい」
「では聞くが___其方、聖女の証である、契約精霊はどうした?」
「___ッ!」
陛下の言葉に、肩を跳ねさせるイザベラ。それは俺も思っていた。
村にいた時から、仲の良かった小妖精が彼女の周りを飛んでいないのだ。
何かあったのだろうか?
「どうした? 答えてみよ」
「そ、それは…い、いきなり居なくなってて」
「居なくなったと? 違うな。其方は見捨てられたのだ」
「え、」
「聖女とは純潔で無くてはならん。聖女とは女神の使徒であり、純潔は女神に対しての信仰心の表れだ。契約精霊は女神との絆が強いほど強力になる。だが、その精霊がいない。___其方、誘惑に負け、勇者と契ったな?」
「___ッ!」
「当たりか。本当に愚かな…魔王討伐が成ったから良かったもの、もし倒せなかったらどうするつもりだったのだ?」
「………」
「だんまりか___まあ、そう言う訳だ。聖女でないものを聖女と呼ぶなど女神を冒涜する事と同義だ。余はそんな恐ろしい真似できぬでな。だから『剥奪』だ。分かったなら退出せよ」
「………」
「分かったなら退出せよ!」
「___ッ」
居た堪れなくなったのか、イザベラは俯いたまま謁見の間から走り去っていった。
最後の勇者パーティーのメンバーが退出したことで、凱旋式は終了。
漂っていた緊張感も霧散した。
それと同時に謁見の間が騒がしくなる。
最初から勇者が気に食わなかったとか。
使いようはあるから飼い殺しにするべきだ、とか。
色々と貴族たちの思惑が飛び交っていた。
そんな中、恐れ多い事に陛下が俺の傍までやってきて、話しかけてきた。
「ラカン殿、其方がいてくれて助かったぞ」
「陛下! いえ、この身陛下のお役に立てたのなら幸いで御座います」
おそらく勇者を取り抑えた事を言っているのだろう。
俺は失礼にならないように忠義の礼を尽くす。
陛下は軽く頷き、その立派な髭を手で撫でた。
陛下の癖の一つである。
そして、思案顔になって陛下は俺に話を続けた。
そんな陛下を見て、ジャンヌ団長が焦った感じになっている。
「してラカン殿、エリシアの事なのだが…少しは考え___」
「へ、陛下! ウチのラカンはこの後用事が御座いますので! これにて失礼致します!!」
「お、おお? そうであったのかジャンヌ団長? なら仕方ないの、この話はまたの機会にするとしようかの?」
「是非そうして下さいませ!! では失礼いたします!!」
「ちょ、ジャンヌ団長?」
「良いから来る!!」
「あ、はい」
せっかく陛下が話しかけてくれたのに、ジャンヌ団長に無理やり謁見の間から連れ出されてしまった。
陛下の言葉を遮る形になったので、不敬だったのでは? と、少し心配したが、陛下も苦笑を浮かべ、王妃様も楽しそうに微笑んでいるので、不問としてくれたみたいで安心した。
謁見の間から離れた俺とジャンヌ団長はそのまま城から離れ、騎士団へと戻ってくる。
戻ってくると、部下のマリアンヌが近づいてきた。
「隊長! ジャンヌさんお帰りなさい!」
「ああ、ただいまマリィ」
「へへ~」
「ただいまマリィって、ずるいわよ!?」
「へっへ~」
俺は子犬を連想するマリアンヌの頭を撫で返事を返した。
破綻した表情で、為すがままにされるマリアンヌ。隣ではジャンヌ団長がマリアンヌをポカポカ叩いていた。
そんなマリアンヌとジャンヌ団長を見て、俺は謁見の間から走り去ったイザベラの事を少し心配していた。
やはり一度好きになった相手だ、気にはなってしまう。
するとそんな俺を見てマリアンヌが俺の顔を掴む。
「隊長? ___! だめだよ隊長」
「え、なにがだ?」
「とにかくダメなんだよ!」
「えっと、何のことかわからんが」
「良いから私を見る!!」
「わ、分かった」
何に怒っているのか分からなかったが、マリアンヌの言う通りにする。
イザベラの事は心配だが、彼女には勇者もついているので大丈夫だろう。
俺はそう思うことにし、マリアンヌの相手をすることにした。
すると、傍らでジャンヌ団長が膨れっ面になっているに気付いた。
「だ、団長? すんごい顔になってますよ…」
「誰のせいだ! 誰の!」
そう言ってポカポカ叩いてくるジャンヌ団長。
俺は本気で分からなくて、されるがままに団長に叩かれていた。
それから数日後、イザベラが俺の屋敷へ来た事を雇った使用人から聞いたが、直ぐに任務で屋敷を空けなければいけなかった為、言伝を頼んでおいた。
『勇者殿とお幸せに。俺の事は気にしなくていいから、幸せになってくれ』と手紙を添えて。
さあ、今日も任務に励もう。
これからも、俺は国の為、この世界に住む人々の笑顔を守る為、己を鍛え続ける。
努力は決して裏切らないから___