97 航路範囲外
異世界の街
転位した街より辿り着いた巻き込まれた者達の交流会
会場とされた料理店の並ぶ四人席の一画
「飛行船は恒常の自然障壁を超えない範囲で運用される様ですね」
「此処は対象範囲外だな」
正式決定を閲覧した一人が落胆し言った
「転位魔法が完成し設置されている場所が無いのに今日迄効力を発揮している過去の惨事を防ぐ制度を崩す理由は無いからな」
「恩恵を狙い一緒に騒いでる国や団体も在るが三大組織も障壁の先の土地に在る国々も決定を覆しはしないだろう」
「当時の混乱や損失を経験し理解している長命種が赦さないのかもな」
「長命種が居なくても当時の記憶を見れる魔法が在るなら簡単に障壁は崩したりしない筈だ」
「此方としても異世界壊滅の原因には成りたくないので魔法を知る者達の決定に従うべきだろう」
「転位魔法が何処かに完成するか我々の世界との繋がりが残る場所が見付かったなら運んで欲しいが……」
「未だ完成したとの声明は無いし拒否を示されるよりは検討を重ねてくれてる方が有り難い」
「搭乗した場合必ず即時帰還する事を条件としても人は増えないが周囲の影響は受けるかも知れないからな」
「転位が残る場所とか絶対特殊な土地ですからね」
「飛行船に搭載したり移動可能な転位魔法を完成させてくれたなら特異な場所の影響は解決する」
「発動や維持に膨大な魔力が必要そうな転位魔法を移動させても使えますかね?」
「魔力を濃縮した石は在るし必要な魔力を供給出来れば可能だろう」
「転位現象が維持に膨大な魔力を消費するなら周囲の環境を護る為に破壊された可能性も在る」
「生物からも魔力を奪い悪影響を与えるなら対応は取るでしょう。
喩え転位が特殊な現象だろうとも恩恵より被害が大きいなら維持には動かない筈です」
「被害が在るなら国が存在を報せ避難をさせるだろうし転位魔法の維持で被害は出ていないと思いたい」
「未だ転位現象が残ってるのかも転位の影響を受けた残滓的な物さえ在るかも不明だけどな」
主催者が声を掛ける迄会話は続いた