93 気の所為
転位に巻き込まれた街が近くに出現した異世界の大陸の街
転位に巻き込まれた者達の住宅
「異世界への転位に巻き込まれた者達は本来異世界に生まれるべき存在だったのではないだろうか
元の世界で生活していた時年々強く感じていた違和感の正体は我々が別世界の、此処の住人だったからではないのか?」
一人が唐突に言った
「数千、数億年を遡る人類の祖先が転位に巻き込まれた者だったとしても今の違和感は気の所為か社会に対し不満が在っただけだ」
「肝心な魔法は使えなかったからな」
「元の世界に魔法が使えなく成る何かが在ったのかも知れない」
「今回転位の魔法に巻き込まれた者達は大勢居るが世界の全員ではない」
「年月が過ぎ何かが壊れたのかも知れない」
「魔法使えなかったし最初に俺達が異世界の土地を踏んだって事で良いだろ」
「あぁ、昔の記録でも出て来ない限りはな」
「元の世界に居た時より此方に来てからの方が元の世界に違和感を覚えるのだが……」
「此処に限れば我々と善悪の価値観に大差なく適切に国家が運営されているからな。
報道は起きた事のみが伝えられ行動してない無責任な者の批判に影響力が無い仕組みが形成されているだけでも此方の方が清浄には映る」
「王族貴族の力に屈しているだけでしょう」
「魔物や外敵を否定出来る力を向けられたくは無いからな」
「民衆、個人が分を弁えた結果なら問題は無い。
国が情報を改竄してたり粛清してないなら元の世界より健全なだけだ」
「元の国と違い悪評の流布や誹謗中傷での収益は全て没収された上で刑罰も科されるから旨味が無いってのも有るかもな」
一人が時刻を確認し周囲に告げると全員練習場への移動を始めた




