82 対策
異世界の街 第二外周区 長屋 転位した者達の集会
「統治に多大な影響を及ぼす事柄に対策が施されていないと思うか?
一方的に情報を押し付け時間の都合上と良い訳をして不都合な情報を隠したり改竄したり。
暗い声質や不安を煽る音楽を加え悪印象を強めたり、他社との健全な競争を排除し子会社関連企業を格安、無料で宣伝誘導し利益を増加させたり。
祖国の様な振る舞いは許されず消滅してる。
端末の御蔭で他者の改編無い情報を選択、収集、提供する方法が有るのに彼等に国民を操作する権限を与え続けなかった異世界の国々は賢明だな」
放送局報道商社は存在するのか
訊ねた新たな移住者に先行到着者の一人が答えた
「国益を優先出来る貴族が多く賄賂や偏向報道印象操作に因る妨害活動が効かなかったのでしょうね」
「若しくは只の保身だったのかも知れない」
「いや、保身とかでなく普通に国益を損なう行為に対応しただけでしょう。
違法と定めた不法行為を解決しない所か存在する権利を与える様な国家は国家として真面に機能して無いだけです。
司法と行政が健全に機能してる国家なら賭け事を禁じてる国で賭博場は駅前に堂々と存在してませんし不法滞在者が勝手に土地を占拠し利用を始めたら逮捕し強制送還されるのが正常でしょう」
「此処に来てから何度元の国を批判しただろうか……」
「現状戻れず暮らしているのだから比較はするだろ」
「相手が魔法を使える世界じゃ分が悪過ぎだな」
「国際連携会議にて問題の元凶、当事国の否決で制裁等の行動を取れない等と云う愚かしい事態に至る欠陥制度も存在しませんしね」
「だが運営の為に多額の国民の納めた税金が支払われていた」
「無駄遣いは他にも色々在ったろ」
「だから日々異世界との差に落胆している」
「え?寧ろ喜ぶべきだろ。
俺達は異世界の側に居るのだから」
「だよな。
比較的安全な場所で、異世界の住人から様々な事を教われる環境に居るのに落胆何ぞするかよ。
分立してる半数以上が機能不全にも関わらず何の咎も改善も受けず権力を握ってる奴等が甘い汁を吸い続ける為の仕組みを壊しても自身へ恩恵は希薄だが魔力は違う。
強く成れるし此の世界で生き残れる確率が上がる。
異世界からは何も出来ない祖国の腐敗、汚職を考えるより自分達の安全と成長を優先すべきだ」
昼食時歓迎の食事会が開かれる料亭に向かいながら新たな移住者達は街を案内された