80 所詮想像上
転位した先の土地を治める国より保護され支援を受ける転位した街
「想像していた異世界と違いますよね……」
街の人々に配給される物資食糧を運ぶ無人輸送車両の列を見て一人が言った
「魔法、魔力が在る世界だ。
我々の想像以上、想像出来ない発展進化を遂げて当然だろうよ」
「街、他人が付いて来てる時点で想像してた異世界とは違うからな」
「一部の街の人達が民主主義では無い、自由では無い。
保護支援では無く隔離監視だと喚く転位は普通想像しませんよ」
「一匹の魔物にさえ勝てない連中が保護してくれている国家の体制批判とはな……」
「街全体が巻き込まれそうな場所で発言される前で助かりましたね」
「此処に来た兵士達の身分なら領内の危険分子への武力行使に上の承認は不要らしいですからね。
慕われる領主、命を捧げる国家への侮辱を兵士達が赦さず其の場で斬られてた可能性は高いです」
「対話、保護を選択してくれた領主に感謝だな」
「先遣隊が会話出来た瞬時翻訳が可能な魔法道具の御蔭ですね」
「別の転位した街の書籍等の解析情報が共有されたと言っていたな」
「別の転位した街か……」
「想像していた異世界と違うな」
途切れる道路を進む無人車両の後部を眺めながら一人は言った