58 二次魔法災害避難
転位した街から目視可能な距離に栄えていた街
街より移住した者達が集まる民家
「街の崩壊は近いな」
椅子に座り窓より同郷の集団を眺める一人が言った
「過去の情報を提示され大規模な災害が起こると指摘され護衛さえ付けて移動を手伝い到着後も支援するとの宣言を聞いた人間は普通留まりませんよ」
「御丁寧に此方の言語で質疑応答の時間も頂けたしな」
「異世界の情報が翻訳され読めるんだからな。
魔法道具も無い街に留まるより異世界の街を見たい魔法を使える様に成りたいと移動する者は増える」
「脅威を認識させた魔法道具の存在も大きい」
「魔法災害、魔獣襲来の鮮明な映像を見れば防衛手段の乏しい街に固執する意志も薄れますからね」
「尚留まろうとしている連中は居る」
「街の転位した辺りで毎年発生すると云う複合魔法現象に巻き込まれてから認識を改めるのかもな」
「数十年に一度の規模が直撃した場合街の原型は留めないらしいですよ。
そして不運にも予測では今年の規模は大きい様です」
「発生した後では改める時間は無いだろうな」
「俺は街に一時でも戻る気は無い」
「時期的には今にも始まっても不思議は無いらしいですからね」
一人は椅子から立ち上がり自室へと戻った