56 齎されし魔法道具
精霊達が集い結界が展開する異世界に転位した学園
校舎三階 早朝
「何?腕輪?異世界の装飾品?」
「はい、装飾型魔法道具です」
「魔法道具?」
「えぇ、昨夜頂きました。
腕輪型個人情報支援用端末です」
「端末?」
「はい、厳重に管理されている世界情報記録保管所より存在する情報を検索し閲覧出来る装置との事です。
勿論映像等を記録し提出する事も可能です。
他にも色々機能は在るらしいのですが皆さんが求めていた異世界の事も閲覧制限に掛かる情報以外なら調べる事が出来る代物ですね。
今起動させます」
「なぬ!」
腕輪上の空中に半透明の長方形が浮かび上がった
「悪用防止の為使用者を判別する仕組みが在り登録をしたので残念ながら第三者は使用は不可です。
閲覧制限は此の大陸の国々の未だ魔法を習ってない子供達と同等らしいので詳しい魔法に関する事は調べられないと思いますが、何か検索したい事有りますか?」
「現在地……いや、世界地図の表示は可能か?」
「貰った際に世界地図の方は見れませんでしたが現在街が在る大陸の地図は見れました」
浮かぶ長方形の画面に触れると五十音が表示された
「日本語入力!?」
「各地の転移者達の為に瞬時翻訳機能を追加してくれた様です」
「各地の転移者達?」
「各地……」
「待て、他にも転位した街が複数存在するのか?」
「其の様です。
はい、此方が表示可能な範囲の大陸の地図です」
「あの……地図の事も含めて街の人達に伝えるべきでは?」
「別に隠す予定は有りませんでしたよ?」
「街の位置は何処だ?」
「あっ、現在地を赤く表示させますね」
「可能なら近くの異世界の集落も表示して欲しい」
程無くして教職員が現れ情報支援端末の存在は街全体に瞬く間に広がった




