55 不動制度
異世界の街が一日で往来可能な距離に在り小型情報操作携帯端末魔法道具が普及する地域
翻訳機能に依り比較的早期に順調に意思疎通が図られ保護と支援を受ける転位した街の一つ
自宅が転位しなかった人々の利用する避難所
第一会議室
避難所運営委員定例会議
「返答は変わらずか……」
四角に並べられた席に座り該当画面を開く参加者の一人は言った
「関係者が三大組織と対立する選択を選ぶ訳はない」
隣の者が言う
「不服を違法な行動に出すなよ。
異世界人だからと優遇されなかっただけで誰でも試練を受け証を得れば許可は下りるのだからな。
今更云う事でもないか」
「だが……」
「此処に居ては得られない」
「今更だな」
「必要な監督官が街に居ないからな」
「近くの異世界の街に向かえば良い」
「近くに全ての証が取れる街は無い」
「我々の望む情報を得る為には異世界の住民でも修得が困難な許可証が複数必要な様ですからね」
「近くに在っても取れないけどな」
「現状の儘待つのが上策か」
「可能な範囲で情報は集められているし、我々以上に異世界に順応したり寵愛を受けてる転位者と連絡も取れてますからね。
各地で進展が有れば教えてくれるでしょう」
「閲覧制限指定情報以外はな」
「危険な魔法を安易に個人に使用させない為の管理制度だからな」
「戦えぬ者を危険な場所に立ち入らせない措置でもある」
「正解だな。
転位に必要な何かが得れるなら取りに向かいそうな転位者達には心当たりがある」
「自分達は比較的安全な場所で生活し取りに向かわせようとする連中にも心当たりがある」
「此処の事だな」
「転位の完成を待っているだけで強要はしていない」
「我々に強要する力などないからな」
「誰一人特別な力が発現した気配は無いんだ、戦闘経験も魔法に関連する情報も無い我々は大人しく大きな街で過ごした方が無事帰還出来る可能性は高い」
「魔法や道具、歴史文化には触れられますし退屈はしないでしょう」
「だから留まってるだろ?」
昼休憩迄会議は続いた