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37  双方方針


転位した街の一つ

南部の大通りに建つ図書館二階

会議室

全体会合予定時刻前

然し参加者は揃い

帰還せし遠征隊の報告が始まる

会を重ねる毎に異世界の景色

情報への驚嘆の声は薄れ

報告は堰き止められず

質疑に寄ってのみ止められた

只別段状況に変化は無く

大きな好転進展を望む者達の欲する回答はなかった

落胆は有れど彼等の表情は暗くない

前回遠征先の街より齎された情報

自分達の街が比較的安全な場所に位置し

教会、領主が監視保護を行っている地域であり

他にも転位した街が存在し他の場所に同様に転位している人々と連絡が取れる


保護、安全な場所の真偽に不安は残るが

無謀にも野生の生物の縄張りに進んだ者達以外

街内部の人間が襲撃を受けたか

問われ思い返せば居ない

教会、領主の監視保護活動

少なくとも今は否定出来る者は居ない

直接警告や保護をしてくれたなら被害は少なかった

喚いた者は居たが

初期に翻訳魔法は無く

敵に成り得る存在と交流を持たぬのは至極当然の対応だ

現に遠征隊は受け入れられ交流している

そして教会、統治者より牽制の御言葉を賜った

自治権を認めても治める地を異世界の領土とし与える事は無いと

彼等が召喚した訳でも無いのに我々の世話を焼いてくれる等

思える方が異常だ

指摘以降会議で喚く者の姿は消えた

魔法道具を扱う者の数は着実に増加し

無法者は処罰を受け治安も回復した

外部との連絡手段が有る

無暗に動かず

有力な帰還の為の情報を待つ

個人個人の思惑欲望

既に進む秘密裏の計画

存在する不安要素を余所に

全体会議の場では現状を維持する事で一致した


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