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19 新進気鋭商会の噂
獣人連合国
白狼領 城塞都市
近隣にて比較的容易に採れ安定的に供給されている素材を用い建てられた家々の並ぶ住宅区一画
転位者が下賜された建物内一室
新たな情報を共有する為に転位者達は集り語る
「転位者が関わってそうだな」
「然も、母国同郷の人間がな」
「知らせる為に命名したのだと思います」
一人の他愛ない話から何気なく続けられた話題
関心を寄せぬ者は同室内に居なかった
「大和異国商会か」
「主力商品は味噌や醤油か!?」
「いや、普通に異世界から来たからって示唆だろ?」
「売ってたら買いたいけどな」
「何を売ってるんだ?」
情報提供者は続きを催促された
「知らん。
話の出所らしい教会の役職持ちと人族の国への対応の協議をしていた国の重臣達から聞いたのは二点。
異世界人の創ったらしい商会が中央大陸や周辺で莫大な利益を上げてるって事と其の商会の名前だ」
「其の商会の主力商品は?」
「だから知らんと言っただろう」
「明日聞いてみてくれ」
「和食を売ってるなら輸送を頼んで欲しい」
転位者達の集いは朝方まで続いた




