17 結界内部
転位した街の一つ
結界魔法が展開する学園
「今日も結界を通過したい方々が集まって色々と試してますね」
結界の境界に置かれた扉周辺を見た生徒が言った
「まぁ、内部を護る為の結界ですからね。
往来の為の場所が出来たとて結界の外に居た方々が通れないのは致し方無い事でしょう。
其れでも内部を目指す気持ちも理解出来ない訳では有りませんが……」
「敵対行為と受け取られ反撃を受けぬと良いがな」
「全くです」
「食糧問題が一応解決し周囲の危険な生物達から身を護れる場所ですからね。
気持ちは分かります」
「外で寝るよりも安眠出来るでしょうからね。
ですが、彼等は通れなかった。
堅牢で傷一つ付かぬ結界魔法と建築物の識別魔法が其れを赦さなかったのです!」
「結界内へ新たに人を入れる気は無いと云う事でしょうね」
「えぇ、意図的に排除しているのでしょうね。
内部の人間が物を持ち往来出来ると云う事は結界を一時的に無効化消失させる手段は存在している訳ですから。
ですが、開放したら人が大挙して押し寄せて来たでしょうし妥当な対応でしょう」
「だが、往来が出来る様に成り学園は一部の人間が通常以上の安全と食糧を独占出来る場所と成ったと見られている。
既に街の会議に出席している人間から反感を買っているらしいぞ」
「我々は転位に巻き込まれた彼等以上に巻き込まれた被害者だと云うのに……」
「欠点が消え利益が大きく成ったからだろう。
初めは同情の声も大きかった」
「魔法使いさんに街全体に結界を展開して貰える様頼んでみては?」
「其れをしてくれるなら疾くの昔にして貰えてたのでは?」
「魔法使いに頼むなら魔法の使い方ではないか?」
「一応誰かが今度会えた際には伝えましょうか」
場に居る全員が同意した