12 反応の一つ
帝国 帝都 中央区
精霊教会 一室
「地球への帰還か……」
酷似する状況に身を置く者達の映像を見終え男が不安気に言った
「戻る事を決意する事、支援を募る事は悪い事では有りませんよ?」
席を囲む一人が諭す
「彼等の目的は恒久的な人や物の往来方法の確立と地球での魔法、魔力の行使だろ?
魔法が悪事に使われないと思うか?」
「一度目の帰還でも大惨事が起きるかもな」
「魔物が転位してたら既に大惨事だろうけどな」
「まぁ、街と入れ替わった異世界が混じった地球の様子は見てみたい気もする」
「悲惨な見立てが多いのに見たいか?」
「家族の様子とかは知りたいだろ」
「悲惨な見立てが多い中で知りたいか?」
「銃弾の利かない警戒監視対象指定の魔獣、魔物が転位してしまってたら為す術無いですからね」
「其れ等魔物の討伐も帰還の目的の一つだろ。
力を周知させ人々に恩も売れる」
「個人的には戻りたいとは思わないがな。
参加したいなら参加すれば良い」
「抑々早々簡単に帰還なんて出来ないでしょうけどね」
「簡単に使えるなら各地が転位魔法で繋がっているはずだからな」
「戻れる頃には地球にも冒険者協会が誕生してるかもしれませんね」
「なら国は滅んでるな」
「個人が生きてるなら国も残ってるのでは?」
「税金で運営される研究開発機関が国家を護る為の軍事技術研究開発を拒否してた国が個人に戦闘を頼るならば滅んで然るべきだ」
「相手が魔法を使う魔物で突然街に出現したなら民間人の犠牲や戦闘参加は仕方ないのでは?」
「一時的にならな。
平時に戦力を軽視して有事に戦闘力が足りません、個人で戦って生き延びて下さい。
なんて状態が続くなら国は不要だろう」
「国を壊滅させる魔物が地球側に転位したのかは現状不明ですけどね。
平時に国防軽視が赦されてしまって来た代償は大きそうです」
「諜報活動野放し、少子高齢化問題、国民殺害離島不法占拠国への援助。
まぁ、大凡普通の感覚では無い政府国家ですからね」
「国民殺されて国土を略奪した国を援助してた訳だからな」
「そんな決定を下し続けていた最長政権を容認してたのは国民ですけどね」
「近年は漸く真面な行動をしてましたよ」
「隠せなくなっただけだろ」
「個人の発言力が強まるまで放置してた時点で異常だ」
「魔法世界に来た事の方が余程異常ですけどね」
「違いない」
転位者達の会合は続いた