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十二支愛歌  作者: 那津稀
第一章 蓄亥
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「キャアァア!?」

!?3体だけじゃ無かったのかと後ろを振り向くと、そこには少女以外何も無く薄桃色の瞳が此方を向いていた。

「進!?本物だ!じゃあやっぱりあたしがヒロインなんだ!」

その瞳を見た瞬間、言いようのない嫌悪感が体中を駆け巡った。

これ以上ここに居たくない。さっさと“ハンキ”を消してトンズラしよう。

再び“ハンキ”に向き直ろうとすると、背後から抱きつかれる。

「進ぅ、あたしこわいよぉ」

(そう思うならどっか行け!!)

咄嗟の事に動きが鈍り、その隙に2体揃って嘴を此方に向けて迫ってくる。

1体は何とか捌けたもののもう1体の攻撃をモロ腹部に喰らってしまった。

「ッ…!!」

(……昨日といい今日といい、オレは腹部に呪いでもうけてるのか?)

反撃しようと突き出した槍は中途半端になり避けられる。

舌打ちしそうになったのをギリギリで飲み込み触るのも嫌だから柄で脇腹を打ち「離れろ!」と叫ぶ。

何か聞こえた気がするが無視して“ハンキ”に集中する。

“ハンキ”の1体はアイツを飛ばした方向に行ったが、見た感じその上を通り過ぎる速度だったから無視してこっちに向かってきた奴を柄で受け流す。そのまま反撃しようとすれば上へと飛び上がり躱される。

(本当に飛ぶ存在は面倒だ。攻撃が当たらない)

再び突っ込んできた“ハンキ”に迎え撃つように槍を突き出すと、ソレは丁度“ハンキ”の目に刺さりそこから思念体が漏れ出る。

(ああ、早く終わらせて美琴の所に戻らないと)

さらに続けて槍を横に薙ぐが倒すまでは至らなかった。

チッと抑えられなかった舌打ちが漏れる。ソレにつられたか、はたまた悲鳴が聞こえないから多分全然当たらないのに嫌気が差したかアイツに向かってた奴もこっちに攻撃してきた。

(ああ、もう。さっさと倒れろ、よッ!)

向かってきた奴に槍を突き出す。相手のスピードも合わさって確かな手応えを感じたが、やはり倒すまでには至らなかった。引き抜く序でに柄で後ろに回ってきた“ハンキ”を殴りつけると力尽きたのか消えてゆく。

「よしっ残り一体」

気が抜けたのは認める。だって早く美琴の所に帰りたかったから。

気付いたときには目前に“ハンキ”の爪が迫っていて、慌てて右に避けるが間に合わず左上腿を盛大に抉った。

紅い血が舞う。

「い゛ッッああ゛あ゛ぁああぁあッ」

痛い、痛いいたいいたいいたいッ!!!

音が遠い。視界が狭まる。

がむしゃらに槍を振るうが手応えが無い。


白に犯されゆく視界の中、此方を不安そうに見詰める美琴の顔が浮かんだ。


ああ……美琴に、会いたい


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