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十二支愛歌  作者: 那津稀
序章
13/19

13


食事を終えて、オレと美琴は卓袱台を挟んで向かい合っている。

「さて、今後についてだが…どうしたいとかあるか?」

「え…どうって」

瞳を彷徨わせながら答えに困窮している美琴に、悪い、と質問を訂正する。

「悪い、訊き方が悪かった。まず元の世界に帰りたいかどうかだな。そこの所はどう思ってるんだ?」

オレの問いに少しの間考え込んでからゆっくりと口を開く。

「わ、かりません。帰っても、あそこに私の居場所なんて、無いので…」

悲しそうに俯き、段々と小さくなっていく声に何とも言えない怒りを覚えるが、深く息をすることで押さえ込む。

「…なら、ここに居るか?」

そう問いかけると、美琴は勢い良く此方を向いて「ぇ…?」と漏らした後に再び俯きながら「でも、そんな…」と呟く。

「美琴が居なければ多分…いや確実にオレは死んでいた。助けて貰った礼もせずに放り出すなんて非人道的な行いはしたくない」

「私こそ!……あのままだったら死んでました」

一度顔を上げたにも関わらず、また俯く美琴に嫌な予感する。

「…美琴、もしかしてオレが恐いか?」

オレの問いに美琴は俯いたまま勢い良く首を横に振る。

「…なら、人が恐いのか?」

重ねた問いに彼女はビクリと肩を震わせ固まった。

「ちがっ違うんです。恐いわけじゃなくて、助けて貰っただけじゃなくて、こんなに良くして貰って、なのに私、何も返せるものが無くて、申し訳なくて…」

「だから言ってるだろう?命を救って貰った礼だと。何も気にすることは」

「それなら私だって同じです!それなのに私ばかりが貰ってばっかりで…」

…これじゃ平行線だな。オレとしては居てくれるだけで良いんだが。さて、どうすれば納得して貰えるか…

……駄目だ全然思い浮かばない。

沈黙が落ちる。

視線を彷徨わせて目に入ったのは流し横に積まれた皿。

「…ぁ、それなら、料理は出来るか?」

「え?料理、ですか?」

行き成り話を変えたように感じたのか、美琴が口を半開きで見詰めてきた。

「何もせずに此処に居るのは嫌なんだろう?恥ずかしながらオレは料理が出来なくてな」

自身の欠点を語るのは恥ずかしくて、彼女から目を逸らして頬を掻く。

オレが料理すると、黒焦げかネットリとした何かだったり、甘じょっぱ辛いなんていう不思議な味になったこともある。

「料理は…一人暮らししてたんで、ある程度は出来る、と思います」

過去のアレコレを思い返していると、美琴が小さく返してきた。

「よし、決まりだ。これからよろしく、美琴」




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