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十二支愛歌  作者: 那津稀
序章
10/19

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「おに…さっきも言ってましたよね」

美琴の問いに頷き返し、丁度良いから“オニ”の説明をする。

「“オニ”とは、さっきも言ったように、人を襲う存在だ。守護者の役割は、外部の脅威の排除もあるがその多くは“オニ”を討つ事だな」

美琴の頭に置いていた手はそのままに言い切った後に覗き込むように彼女の顔を見ると、彼女はキョトンとした表情で此方を見ていた。

「何か聞きたいことがあるのか?」

「えっと、あの…鬼って昔話とかに出てくる真っ赤な肌で頭に角があって牙や爪が鋭い、あの?」

「………」

何の昔話の事を言ってるのか分からないけど、余りにも見当違いな事を言ってるから無言のままデコピンをお見舞いする。

「痛い!何するんですか!」

「悪い。何を言ってるのか分からなかったからつい」

「なぜ!?」

ぎゃいぎゃいと騒いでる美琴を横に置いておいて“オニ”についての説明を再開する。

「と言うか美琴もさっき遭ってたぞ。ほら、俺と会う前に襲われてたアレ」

オレが言った言葉を三拍ほど開けて理解したのか「えーーー!!?」と叫び声をあげた。

慌てて耳を塞いだけどちょっと耳がキーンてした。

「煩い。声を落とせ」

「あ、ごめんなさいっで、でもあのまっくろくろすけな牛が鬼何ですか!?」

「オレもあそこまでの“オニ”は初めて遭ったけどな」

声量が少し落ちたので耳から手を離し息を吐く。

「抑も“オニ”は“人の怨みや妬み等の負の感情が何らかの要因で姿を得たモノ”だと云われている」

「人の負の感情?」

美琴がまた不安そうな表情をしていたので、大丈夫だとまた頭を撫でる。

「人の感情は身体に収まりきるモノではないからな。身体(そこ)から零れ落ちた感情の欠片が“思念体”と言って、喜び等の正の感情はより白く、嫉妬等の負の感情はより黒くなってそこら辺に漂っている」

「で、でも私そんなの見たことないですよ?」

「それはそうだろうな。正の感情の思念体は直ぐに世界の気の流れに溶けて視えなくなるからな。逆に負の感情の思念体は路地裏等の薄暗く気が澱んでる場所に滞ってる傾向があるけどな。そういう所に入らなければ視ることも無いだろう」

そこまで言ってからふと疑問が浮かんだ。

「なあ、美琴。答えたくないなら答えなくても良いが、何故あんな所に居たんだ?思念体を視たこと無いなら普段から出入りしてるわけじゃ無いんだろう?」

オレが疑問を口にすると、美琴は再び俯いて黙り込んでしまった。

「……悪い。聞かれたくなかったか。忘れてくれ」

今まで撫で続けていた手を下ろしてそう言うと、美琴が慌てたように「違います!」と声をあげた。

「違います!私、多分どころか絶対に別の世界から来てて、元の世界で家を……追い出されたんです」


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